野村万作と萬斎、関西初公演でセリフ無

昨年の「万作を観る会」(2016年11月27日)での模様 写真/政川慎治
人間国宝の狂言師・野村万作が演出する狂言『楢山節考』が10月22日、「大槻能楽堂」(大阪市中央区)で上演される。主演の老婆・おりんをつとめる万作と、山中に棲むカラスの役で登場する野村萬斎が18日、大阪市内で会見をおこなった。
初演は1957年。1956年に発表され、ベストセラーとなった作家・深沢七郎のデビュー小説『楢山節考』を、当時26歳だった万作を中心に狂言・能様式で舞台化。2015年に58年ぶりに再演され話題を呼び、翌2016年には東京、山梨、新潟で上演。そして2017年秋、いよいよ関西初上演を果たす。
貧しい山村に伝わる棄老伝説が題材の本作。物語は、70歳を迎えたおりんが「口減らし」のため山に棄てられる場面から始まり、在りし日の回想シーンを経て、やがて降り積もる雪に埋もれていく様を描いていく。おりんの回想の場面では小説や映画版でも印象的な、自らの歯を石で折る場面も狂言の様式で表す。
劇中、一言も言葉を発しないおりん。「おりんにセリフはありませんが、だからこそ手の動き、足の動き1つ1つに深い思いを込めて演じたいと思います。おりんを山へおぶってきた息子・辰平(深田博治)に『後ろを振り向かないで帰りなさい』と促す、その肩をそっと押す手つきにも、愛情や優しさが感じられるものにしたい」と万作。指先まで全身全霊を込めて演じたいと意気込む。

一方の萬斎は、雪に埋もれてゆくおりんを上空で見つめるカラスを演じる。「カラスも一言もセリフがなく、鳴き声だけで伝えるという、とても斬新な発想で作られた役です。静かにおりんを見守っているようであり、朽ち果ててゆく彼女を『いつ食ってやろうか』と待っている存在です」と不敵な笑みを浮べる。本作には、すべてを包み込むような自然のやさしさと、命を繋いでいくことの残虐性が表裏一体で描かれていると話す。

ほかに萬斎による狂言『呼声』、能の『山姥』のクライマックス部分を人間国宝の能楽師・大槻文蔵が紋付袴姿で演じる舞囃子も上演される。チケットはS席8000円、A席7000円、学生席3000円。各プレイガイドで8月25日より発売される。
取材・文・写真/岩本和子
『「楢山節考」を観る会』
日時:2017年10月22日(日)・14:00〜/17:00~
会場:大槻能楽堂(大阪市中央区上町A-7)
料金:S席8000円、A席7000円、学生3000円
電話:03-5981-9778(万作の会)
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