京の名店の調度を手掛けた黒田辰秋展

2017.8.31 07:00

黒田辰秋 金鎌倉四稜捻茶器 1965-70年 北村美術館蔵 写真/渞忠之

(写真6枚)

京都・祇園で生まれ、独学で木工を極め、1970年に木工芸における初の重要無形文化財保持者(人間国宝)となった黒田辰秋(1904〜1982)。彼の業績をたどる『京の至宝 黒田辰秋展』が「美術館「えき」KYOTO」(京都市下京区)で、9月2日よりおこなわれます。

黒田は塗師の末子でしたが、上塗りだけでなく素地作りから一貫制作をしたいと思い、木工と漆工による作品制作を志しました。20歳頃に陶芸家・河井寬次郎との出会いから民藝運動のリーダー柳宗悦の紹介を受け、「上加茂民藝協團」に参加。同団の解散後は、ベーカリーショップ「進々堂」の創業者・続木斉や、祇園の菓子舗「鍵善良房」の今西善造から注文を受けて、店内調度を制作。次第に独自の表現を追求するようになりました。

黒田辰秋 螺鈿八角菓子重箱 1933年 鍵善良房蔵 写真/渞忠之
黒田辰秋 螺鈿八角菓子重箱 1933年 鍵善良房蔵 写真/渞忠之

また黒田は、白洲正子、志賀直哉、川端康成といった目利きとの交流も深く、映画監督・黒澤明から別荘の椅子を作る依頼も受けています。1966年には宮内庁からの依頼で、新宮殿正殿の扉飾り、大飾棚、椅子などを制作。そうした大作と並行して、茶器や飾箱などの小品も作り続けました。

黒田辰秋 拭漆楢彫花文椅子(「黒澤明の椅子」) 1964年 豊田市美術館蔵 写真/渞忠之
黒田辰秋 拭漆楢彫花文椅子(「黒澤明の椅子」) 1964年 豊田市美術館蔵 写真/渞忠之

彼の作品の特徴は、技術の高さはもちろんですが、素材本来の美しさを生かした造形にあります。素材と対話し、自然のありのままの稜線や文様をいかに近づけられるかを生涯追求し続けたのです。本展では全3章・約90点で黒田辰秋の歩みを紹介します。京都が誇る木漆工芸家が作り上げた、至高の世界を堪能してください。

文/小吹隆文(美術ライター)

『美術館「えき」KYOTO開館20周年記念  京の至宝 黒田辰秋展』

期間:2017年9月2日(土)〜10月9日(祝・月)会期中無休 
時間:10:00~20:00 ※入館は19:30まで(変更の場合あり)
会場:美術館「えき」KYOTO(京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町)
料金:一般900円、大高生700円、中小生500円(9/11は無料)
電話:075-352-1111(大代表)

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本