上半期、抜群に面白かった外国映画
2017.8.23 18:00

「アメリカがどこ向いてるのかわかる」

斉藤「あれ観ました?『パトリオット・デイ』。ボストンマラソン爆弾テロ事件を描いた」

春岡「観た、観た。面白かった!」

斉藤「やっぱマーク・ウォールバーグとピーター・バーグ監督は、今やもうハズレのない鉄壁のコンビだよね!」

春岡「実際にあった事件とかをドラマチックに再現するのはホントにうまい。まあ、大変な事件ではあるけど」

斉藤「地方都市というか、まあ、ボストンだから地方でもないんだけど、そこに物語が繋がっていくのよ。ボストンという街のプライドを謳いあげる一大讃歌へと」

春岡「特にボストンはそうだよな。アメリカ人にとって、ニューヨークやワシントンより大事な街だから。あそこがテロで犯されるというのは、日本でいえば、東京ではなく京都が爆破されるようなもんだから」

田辺「そのボストンの一番のお祭りが・・・」

斉藤「そうそう、汚された!という意識が何より強い。警察側も24時間以内に体制を整えるけど、テロの犯人もまた結構やるんよね(笑)。逃避行の途中でいきなり拉致される中国人とかさ」

春岡「その中国人も若くして儲けていて、アメリカ人は『なんだよ、こいつ』って思ってんのよ。で、そいつが人質になるんだけど、ある意味負けてねえの。いつまでもアメリカの言いなりになる中国じゃねえぞ、というか」

斉藤「そうそう。どうやら実話らしいのよ(笑)」

田辺「それを聞くと、今のご時世において、中国人の描かれ方が面白くなってきましたよね。『メッセージ』もそうですけど、中国人にアドバイスされてアメリカ人が地球救うとかって、今まで考えられなかった図式ですよね」

春岡「映画を観てるとよく分かるよ。今、どこに気を遣って映画を作っているか。アメリカがどこ向いてるのかわかるもんね。もうすぐだぜ、劇中で使われるカメラなんかが、ソニー製から鴻海製に代わるのも(笑)」

田辺「『キングコング:髑髏島の巨神』でも最後、中国人のお姉ちゃんが助かりますしね」

斉藤「ジン・ティエンね。もはや中国の海外作戦向けの女優だから」

春岡「輸出用のキャラクターだから。中国が映画を観るようになってさ、そりゃ市場のパイがでかいもん。1億そこらの日本を相手にしている場合じゃないって。その20〜30倍の人間がいるだもん」

斉藤「『ローグ・ワン』もそうでしょ。ドニー・イェンだけでなく、チャン・ウェンまで顔をそろえて。あのキャスティングは素晴らしいよね。でも、チャン・ウェンって『スター・ウォーズ』シリーズは全然知らないんだって。なんせ1作目が中国では公開されてないらしいから」

田辺「ほか、上半期で漏れているものはないですかね?」

斉藤「あれ!『お嬢さん』を入れないと。あれは良かった。もうパク・チャヌク監督は日本を好きで好きで仕方がないんやろうなって」

田辺「僕は、四十八手をちゃんとやっていくのに吹き出してしまった(笑)」

春岡「妙に安っぽいんだよ、そこが良いんだけどな」

斉藤「あれは意図的でしょ。本気で耽美的にやらないのがパク・チャヌクなんですよ。たぶん、三島由紀夫とかが好きなんでしょう。三島の未発表戯曲の映画化だよ、って言われたらそう思っちゃうもん。朝鮮時代のブルジョワ階級が日本にかぶれて、ああいう生活をしてたのが面白かったと本人は対外的に言ってたけど、ちゃうやろ。ただ日本文化が好きなだけやろって(笑)」

田辺「原作は、イギリス作家の『荊の城』なんですよね。その舞台を、日本統治下の朝鮮半島に移したという」

斉藤「そう、超有名ミステリー作品で筋もあんまり変えてないのにあんなになっちゃう(笑)。『お嬢さん』はベスト3に入れないと」

田辺「僕の上半期ベスト3は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』『ローガン』、それと『メッセージ』ですね」

斉藤「そっかあ。じゃあ、僕はそこを外して『お嬢さん』『人生タクシー』『パトリオット・デイ』かな」

春岡「一番は『沈黙−サイレンス−』。で、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『ムーンライト』。ちょっと真面目かって感じだけど(笑)」

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