仲代達矢「当時の俳優は死に物狂い」
2017.7.12 12:40

俳優の仲代達矢が11日、大阪「シネ・ヌーヴォ」(大阪市西区)で開催中の『小林正樹映画祭』に登場。同劇場で上映中の自身の主演作『人間の條件』についてトークイベントをおこなった。

大阪の映画館「シネ・ヌーヴォ」でトークショーをおこなった仲代達矢(11日・大阪市内)画像一覧

この『人間の條件』は、1959年から1961年にかけて公開された反戦映画の傑作。名匠・小林正樹監督が、自分の意志に反して青春期を戦争と共に歩む若者の姿を、全6部(9時間31分)にわたって描いている。

観客と一緒に久しぶりに同作を鑑賞した仲代は、「本作は、(原作者の)五味川純平さん、小林監督の戦争体験が基にある、偉大なるリアリズムの映画です。私自身も、『天皇陛下のために死ぬ』、『一億玉砕』というなかで育った人間なので、運命的なものを感じている作品。出演するにあたっては、実際に軍隊教育を2カ月受けてから、撮影に入りました。(撮影現場では)塹壕(ざんごう)に入って、全身が真っ黒になった。『もう、助けてください』と思っていても、そんな私をキャメラはジーッと撮っていたんです」と過酷な毎日をふり返った。

大勢の観客が詰めかけた、「シネ・ヌーヴォ」での仲代達矢トークショー(11日・大阪市内)画像一覧

また、足かけ4年の撮影となった本作。オフはもちろんあったが、役作りから離れることはほとんどできなかったという。「1・2部の撮影が終わってから、この映画の撮影は半年の休みに入ったのですが、その間、太ってはいけないので体重制限をしていたんです。その間に撮ったのが、黒澤明監督の『用心棒』(1961年公開)でした。全然、キャラクターが違いますけど(笑)。そして、3・4部をやってから、また黒澤さんに呼ばれて、『椿三十郎』(1962年公開)に。そして、最後の5・6部(完結篇)の撮影に入りました」と、黒沢映画出演の裏話も明かした仲代。

人生の不条理と人間の運命にずっと対峙し続けてきた小林正樹の特集上映画像一覧

ちなみに小林正樹と言えば、『カンヌ国際映画祭』で世界十大監督のひとりとして称えられている映画監督。仲代は、そんな小林作品に11本出演。「それまでオーディションに9本落ちて、もうダメだと思っていたら、小林監督の『黒い河』(1957年)でギャング役をやらせてもらえた。そうやって小林監督に拾われて、『人間の條件』に出させていただいた。(殴られるシーンも)本当に殴られて顔が腫れているし、なかには私のことが嫌いなんじゃないかというくらい、厳しい殴り方をする先輩もいました。ただ、当時の俳優はみんな死にものぐるいでしたから。怖いこともたくさんあったけど、これが縁になればという気持ちでずっとやってきました」と、これまでの道のりを懐かしんだ。仲代の出演作を含む特集上映『生誕101年 小林正樹映画祭』は7月21日まで同劇場で開催中だ。

取材・文・写真/田辺ユウキ

『生誕101年 小林正樹映画祭』

期間:2017年6月24日(土)〜7月21日(金)
時間:作品により異なる
会場:シネ・ヌーヴォ(大阪市西区九条1-20-24)
料金:前売1回券1200円、前売5回券5000円、フリーパス券13000円(限定20枚)
URL:http://www.cinenouveau.com/sakuhin/kobayashi/kobayashi.html

  
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