美輪明宏「宇宙の法則は跳ね返せない」

2017.5.8 13:00

1996年に初演された舞台『葵上・卒塔婆小町』の再演に挑む美輪。100歳の老婆に扮した美輪が、20歳の美女に早変わりするのも見どころ。81歳となった今、「演じるのは今回でおしまいになるかもしれません」とも

(写真5枚)

美輪明宏が演出、美術、主演を務める舞台『葵上・卒塔婆小町』が7年ぶりに再演。5月18日~21日に「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)にて上演される。美輪が大阪市内で会見を開き、公演に向けて、作品への思いを話した。

「陰と陽、吉と凶、光と闇。いいことがあれば悪いことも起きる。こうした相対するものがこの宇宙の法則であって、何人たりとも跳ね返すことはできないのです。かわいいと言われてちやほやされてきた人も、ある程度の年代になればみんな横一列。そのときの落差が大きくなれば、心に負う傷も大きいのです」と、美輪は持論を絡めて語る。

本作は、三島由紀夫が能を現代劇に翻案した戯曲集『近代能楽集』に収録されている『葵上』と『卒塔婆小町』の2作品。「美と醜」「若と老」など、美輪が提唱する「正負の法則」に即した恋と愛の物語だ。『葵上』は『源氏物語』の『葵』をもとに作られ、光の昔の恋人・六条が、毎夜生霊となって光の妻・葵のもとに現れるという、幽玄かつスリリングな作品。一方『卒塔婆小町』は小野小町と深草の少将の伝説をもとに、老婆と詩人の物語として描いたもの。

「病気、怪我、容姿、才能、財力・・・、人間である限り誰もが何かしらのコンプレックスを持っています。だから人に対して妬み、嫉み、ひがみを感じる必要はないのです。そういうことも、この芝居を通じて考えていただければ、キレイに生まれるばかりが幸せじゃないんだなということがお分かりいただけると思います」。美輪明宏でしか表現し得ない、悲しくも美しく、幻想的な恋と愛の物語をお見逃しなく。

取材・文/黒石悦子、写真/御堂義乗

『葵上・卒塔婆小町』

作:三島由紀夫
演出・美術:美輪明宏
出演:美輪明宏、木村彰吾、ほか

日程:2017年5月18日(木)~21日(日)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:11000円(全席指定)
※未就学児入場不可
電話:0570-200-888(キョードーインフォメーション)

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