大阪で、日本の木彫仏1000年の技法展

《菩薩立像》飛鳥時代(7世紀)東京国立博物館
「大阪市立美術館」(大阪市天王寺区)で、ユニークな切り口の仏教美術展「木×仏像」が、6月4日までおこなわれています。
仏像の中でも木彫仏に着目し、飛鳥時代から江戸時代まで約1000年の流れをたどるもの。通常、仏像の展覧会は、時代、様式、仏師をテーマに構成されますが、本展のキモは技法や木の種類などです。たとえば技法では、飛鳥時代から平安時代初期までは「一木造(いちぼくづくり)」といって、頭部と体幹部を1本の木から作りました。
しかしこの方法には、木材の外側と内側の乾燥度の違いから「干割れ」を起こしやすい欠点があります。そこで像の内部を削る「内刳り」(「背刳り」とも)がおこなわれるようになり、平安時代初期から後期には、仏像を割り、内刳りを施して再接合する「割矧造(わりはぎづくり)」が生まれました。そして平安時代後期になると、複数の部材を組み合わせる「寄木造(よせぎづくり)」へと発展するのです。

技法の進化に伴って使用される木材も、クス(飛鳥・白鳳時代)からカヤ(奈良時代〜平安時代初期)へと変化し、それ以降は主にヒノキを使用する一方、ケヤキ、クス、サクラ、カツラも用いられています。また、霊木や寺社の古材を用いることで、仏像の霊威を高めることもおこなわれました。

本展では、そうした木彫仏の変遷を、主に地元関西の寺院から拝借した55件で紹介しています。頭でっかちのプロポーションが可愛らしい「菩薩立像」、内刳りの様子が分かる「観音菩薩立像」、裂けた顔の下から本来の姿が現れる瞬間を表現した「宝誌和尚立像」など、個性的な仏像が沢山見られるので、マニアならずとも見逃せません。
仏像と観客の目線が合うように高さを調整した展示台、陰影を強調して仏像の立体感を伝える照明、360度あらゆる位置から仏像を鑑賞できる配置(担当学芸員の齋藤龍一氏談)など、展示の妙にも注目を。そして最後の展示室では「立体曼陀羅」を思わせる華やかなフィナーレが待ち受けており、観客を驚きと陶酔の世界に導いてくれます。期間は6月4日まで、一般1300円ほか。
取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)
『木×仏像 飛鳥仏から円空へ 日本の木彫仏1000年』
期間:2017年4月8日(土)〜6月4日(日)
時間:9:30〜17:00 ※入館は16:30まで 月曜休 ※5/1は開館
会場:大阪市立美術館(大阪市天王寺区茶臼山町1-82)
料金:一般1300円、大高生1100円
電話:06-4301-7285(大阪市総合コールセンターなにわコール/8:00〜21:00)
※会期中に関連イベントあり。詳しくは公式サイトにて
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