決定!2016年下半期ベスト邦画(前編)

ジョージ朝倉の同名少女コミックを実写映画化した『溺れるナイフ』 © ジョージ朝倉/講談社 © 2016「溺れるナイフ」製作委員会
山戸流の演出に、小松菜奈もぞっこん?
──『溺れるナイフ』と違って、『君の名は。』は全国300館以上で上映されて、子どもも観るという大前提・戦略がありますからね。
春岡「草食男子だかなんだか知らないけど、その世代にも受けているということはやっぱり認めざる得ない事実だし、その戦略通りに作れてるのはスゴいことだよ」
斉藤「まあ、いまだにセックスにこだわりまくっている僕からしたら、その現状はちょっとなぁ。だから、山戸結希の生々しさはすごく好感がもてる」
田辺「性的なものをちゃんとやりつつ、わたしはメルヘンが好きなんですみたいなこともちゃんと出しているのが面白い」
春岡「メルヘンこそ性的だから。それこそ、今回の話は神話やん。神話では、男女のまぐわいがなければ、この世界は成り立たない。立派な哲学だよ」
斉藤「山戸結希をデビュー作からずっと観てると、ひょっとしたらこのヒト天才かもしれないとなんとなく感じてたのね。でも今回みたいにメジャーデビュー作でも自分の好きなように撮らせてもらって、とりわけ若年層に支持されて、きっちり結果を残したっていうのが一番スゴいことだと思うよ。それは、上半期に大絶賛した『ディストラクション・ベイビーズ』の真利子監督にも言えると思うけど」
【リンク】「怪作誕生、真利子監督&柳楽優弥に訊く」

田辺「おそらく最後は大林監督みたいに、全部自分でやるようになる映画作家になると思いますね」
春岡「それでいいと思う。それに応えられる役者だけ見つけてきたらいいだけで」
斉藤「でも、応えられない役者連れてきても、彼女は面白いのよ。たとえば重岡大毅(ジャニーズWEST)くんを連れてきたのは、彼女の意志か商売上の戦略か知らないけど、長回しシーンで台詞をトチってもそのまま使う。でも、場の勢いを残したほうが絶対そのキャラクターの味わいが出るという確固とした判断が働いてる」
春岡「そうそう。映画っちゅうのは、完璧でありゃいいってもんじゃないから。『君の名は。』の声をやってる上白石萌音もいいじゃん。最後に『コウちゃんにもう会わないで』って言う、あの目の強さ。目に一点だけ光当てて、この場面はこの演出、この照明っていう、明らかに意志的な目を作り出していて」
斉藤「ラストはあまりの青春っぷりに恥ずかしくなったという声も聞いたけど、とんでもない。惜春の感情が爆発して僕は決壊しました(笑)」
春岡「菅田と小松がバイクに2人乗りしてるんだけど、併走が下手でさ。それまでびっくりするぐらいキチッとした絵を撮れてるのに、なんなんだよって。でも、その疾走感が妙に気持ちいいんだよな、びっくりした」
斉藤「菜奈ちゃんによると、あれも即興みたい。セリフも決めてなくて、横に併走してる山戸結希があの2人に向かって台詞を大声で言ってそれをリピートするみたいな。『黄色―!』とか『赤ー!』とか(笑)。で、丁度トンネルに入ったところでなんだか感極まるのよ。そこのリズムが最高やったから、たぶん1回しか撮ってないんじゃないかな」
春岡「そのシーンももちろんなんだけどさ、全体的に編集のリズムの良さに驚いた。あれこそセンスだよ。映画って、実はなにやってもいいんだから」
斉藤「彼女は映画学校とかの出身じゃないからね。上智大で勝手に映研作ったという」
春岡「映画の基本を学んでないというのは、ゴダールと同じで素の強さだよね。おそらく、誰かになんか言われたら、理論武装してがんがん言い返してくるタイプなんだろうけど、でも、実はなんにも考えてなくて、センスだけで撮れていると思うよ」
田辺「山戸さんの作品からは、スタッフや出演者に関しても、その場限りの関係で終わってもいいというくらいの瞬間性を感じます。仲良くなろうなんて意識はまったくない。撮りたいものを撮る、まさに孤高の作家ですよ」
斉藤「でも、小松菜奈ちゃんの目の輝きと、撮影時を振り返って話すテンションの高さでは、山戸結希演出にぞっこんだったけどね(笑)」
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