横尾忠則の異色展覧会、神戸で

2016.12.21 12:00

3階展示室より、入口周辺の様子/12月17日から開催の『ようこそ!横尾温泉郷』(横尾忠則現代美術館)

(写真5枚)

「横尾忠則現代美術館」(神戸市灘区)では『ようこそ!横尾温泉郷』と題し、美術家/グラフィックデザイナーの横尾忠則が描いた、銭湯と温泉をテーマにした絵画、版画、ポスターの展覧会がおこなわれています。

本展で展示されているのは、2004年に東京の元銭湯の画廊で個展をおこなった際に発表した「銭湯シリーズ」と、2005年から約3年間にわたって雑誌の企画で国内の温泉地を巡り、紀行文と共に制作した「温泉シリーズ」、そして1970年代から今日にかけて日本各地を舞台に制作した絵画、版画、ポスターです。

「温泉シリーズ」や日本各地を描いた絵画、版画、ポスターが見られる2階展示室。座敷に座ってゆったりと鑑賞を/12月17日から開催の『ようこそ!横尾温泉郷』、横尾忠則現代美術館
「温泉シリーズ」や日本各地を描いた絵画、版画、ポスターが見られる2階展示室。座敷に座ってゆったりと鑑賞を/12月17日から開催の『ようこそ!横尾温泉郷』(横尾忠則現代美術館)

展覧会は美術館の2フロアで行われており、2階は「温泉シリーズ」と日本各地を舞台にした作品、3階は「銭湯シリーズ」を中心に構成されています。また、会場には横尾の作品以外に、蛇口、風呂桶、マッサージチェア、脱衣籠、体重計などのアイテムも。さらに、2階には座敷、3階には浴槽が設けられており、観客はそこに入って座りながら作品を鑑賞できます。また、3階の別室に洗い場を模した図録閲覧スペースを設けるなど、ムードを高める演出も抜かりがありません。

「銭湯シリーズ」が見られる3階展示室。室内中央の浴槽に、靴を脱いで入ることができる/12月17日から開催の『ようこそ!横尾温泉郷』、横尾忠則現代美術館
「銭湯シリーズ」が見られる3階展示室。室内中央の浴槽に、靴を脱いで入ることができる/12月17日から開催の『ようこそ!横尾温泉郷』(横尾忠則現代美術館)

作品はいずれも見応えありですが、特におすすめなのは「銭湯シリーズ」です。横尾が子どもの頃に母に連れられて通った銭湯(女湯)の記憶に端を発する同作では、浮世絵師の鳥居清永、西洋美術のピカソ、アングル、ドローネ、デュシャンからの引用や、画面の上下左右のイメージが繋がっているなど、様々な仕掛けが散りばめられており、見飽きることがありません。浴槽に入って寛ぎながら、じっくりと鑑賞してください。

また、美術館1階のオープンスタジオには卓球台が設置され、観客はいつでも温泉卓球ができます。2017年2月11日(土)には「横尾温泉卓球大会」が開催されるなど、関連イベントが充実しているのもユニークな展覧会です。期間は2017年3月26日まで、一般700円。

文・写真/小吹隆文(美術ライター)

『ようこそ!横尾温泉郷』

期間:2016年12月17日(土)〜2017年3月26日(日)・10:00〜18:00(金・土曜〜20:00)※入場は閉館30分前まで ※月曜休&12/31~1/13休 ※3/20開館、3/21休館
会場:横尾忠則現代美術館(神戸市灘区原田通3-8-30)
料金:一般700円、大学生550円、高校生・65歳以上350円、中学生以下無料
電話:078-855-5607(総合案内)
※会期中に関連イベントあり。詳しくは公式サイトにて

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