関西小劇場で活躍、故深津氏の演劇祭

2016.8.2 07:00

『深津篤史コレクション』1&2巻は『うちやまつり』や阪神・淡路大震災をテーマにした『カラカラ』などの戯曲が中心、3巻では彼の演劇論や人柄が垣間見えるエッセイやインタビューも

(写真2枚)

関西を代表する劇作家・演出家の一人で、2014年に46歳の若さで逝去した、劇団「桃園会」主宰の深津篤史(しげふみ)。彼の遺した作品を全3巻にまとめた『深津篤史コレクション』(松本工房刊)が、命日となる7月31日に刊行。それにあわせて9月から来年にかけて、桃園会ら11団体が『深津演劇祭』と題して彼の作品を上演する。

「演劇界の芥川賞」の異名を持ち、野田秀樹や三谷幸喜などそうそうたる劇作家が受賞している「第42回岸田國士戯曲賞」を受賞。その後、大杉漣や奥菜恵らが出演する舞台『象』の演出を手掛けるなど、関西以外でもその才能を認められながら、生涯関西の小劇場にこだわって活動を続けた深津。彼は、孤独を抱えた人々が、切ない愛から衝動的な殺人まで、様々な形で「関係」を持とうとする様を、冷徹なほど静かな視線で描き続けた。

『深津演劇祭』の初回は、コンプリ団による『カラカラ』
『深津演劇祭』の初回は、コンプリ団による『カラカラ』

9月から来年以降も断続的に行われる『深津演劇祭』には、関西だけでなく東海や首都圏の劇団も参加。関西の劇団「コンブリ団」のはしぐちしんが、阪神・淡路大震災をテーマにした『カラカラ』を自らのユニットで上演したり、関西以外からは日本を代表する社会派劇団「燐光群」がエロスとタナトスに満ちた名作『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土日除ク)』に挑戦するなど、深津の世界を理解しながらも、新しい光を当ててくれそうな舞台がそろっている。中でも桃園会が、深津の言葉を再構成した新作を来年2月に上演するのは、特に見逃せないだろう。各公演の詳細は公式サイトにて。

文/吉永美和子

『深津演劇祭』
公演:
コンブリ団『カラカラ』 2016年9月2日~5日(大阪・ウイングフィールド)
エイチエムピー・シアターカンパニー『壁の中の鼠』2016年10月7日~11日(京都・アトリエ劇研)
ほか

『深津篤史コレクション』
発行:松本工房
Collection I:3,240円
Collection II:3,024円
Collection III:2,700円

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