宮藤官九郎「自由になれた気がする」

2016.6.17 07:00
(写真6枚)

「初号を見た人たちが、青春映画として観られるって」(宮藤監督)

──宮藤監督は、脚本仕事を含めると、長瀬さんとは結構仕事をしてますけど、これだけ密に向き合ったのは初めてですか?

そうですね。役について話したりすることは今まで無かったんで。あっ、ドラマ『うぬぼれ刑事』(2010年・脚本と演出が宮藤監督)のときはちょっとしゃべったなぁ。でもそれは脚本だけだったんで、あ、違うな。オレ、監督もしたな(笑)。そのときは最初に、方向性だけを擦り合わせしたんですけど、今回はわりとちゃんと話しましたね。

宮藤官九郎監督
宮藤官九郎監督

──劇団って、稽古して、本番を迎えるまでの長い時間を一緒に過ごすことで、連帯感が培われていくじゃないですか。結果的かもしれませんが、先ほどのスタジオでの練習や舞台的なセット、念入りな打合せなど、宮藤監督の本職である演劇の手法を映画で展開したことが功を奏したと。

そうですね。今回はみなさん忙しい人たちだったので、リハーサルとかはできなかったんですけど、スタジオでの音出しとか、それこそ(鬼の)牙を作るから歯形とらなきゃいけないとか、そういうことでしょっちゅう顔合わせてたのが結果的に良かったのかもしれないですね。なんかこう、劇団っぽいっていうか。

──劇団は、まさに宮藤監督のホームですよね。

そう。でも実は、うち(大人計画)の役者は2人しか出てなくて。しかも、荒川(良々)くんは1シーンだけだし、皆川(猿時)くんも半分過ぎるまで出てこないから、ホントに近しい人が出ている場面って、実はあまり無いんですよ。でも、やってることがやってることだから、すごく気心が知れてる人たちでやってるような感じがありましたけど。

──清野菜名さんや尾野真千子さんは初めてですよね?

初めてです。清野さんも尾野さんも、あと宮沢(りえ)さんも。脚本で絡んだことがあるのは、神木(隆之介)くん、桐谷くん、森川(葵)さんとか。長瀬くんだけなんですよね、そういう意味でお互いよく分かってるというか。別に長瀬くん、大人計画じゃないしなぁ(笑)。

──とはいえ、宮藤組みたいなイメージはありますね。

なんか、そんな感じになっちゃてますけどね。今回、合成が多かったのもあって、いつもより多く見る機会があったんですよ、編集の段階で。で、よく考えたら、初めての人が多かったんだなぁって思って。

──今回、宮沢りえさんをはじめ、坂井真紀さん、古田新太さんら、豪華キャストが名を連ねていますが、驚いたのがそのなんとも贅沢な使い方というか。

それもけっこう学んだんですよ。要するに、映画って1日空いてれば出られるんですよ。(閻魔大王の)古田さんなんて、撮影したの1日ですからね。1日しか空いてなかったから、それをまるまる使って。さすがに疲れてましたけど(笑)。「この辺にこのくらいの大きさの神木くんがいると思って、あと、この辺には誰々がいると思ってやってください」って説明しましたけど、途中からもう「はい、はい」って、一切質問が無かったですからね(笑)。

古田新太が演じたのは、地獄で一番偉い「えんま校長」
古田新太が演じたのは、地獄で一番偉い「えんま校長」

──まぁ、何も知らずに来ていきなり地獄セットですから(笑)。

後日偶然会ったとき、古田さんが「あの映画はなにが面白いのか分からん」って言ってて。「いや、大丈夫です。繋がってますから大丈夫ですから」って言いましたけど。「あれだけワケの分からないのに・・・面白いらしいな」って、びっくりされました。

──あと、Charさんや野村義男さん、木村充揮さん、ROLLYさんらを地獄のミュージシャンとして出演されています。でも、一番驚いたのは歌舞伎役者の中村獅童さん。正直、気づきませんでした。

でしょうね(笑)。獅童さんに出演オファーのメールを出したら、「精子の役、やらせていただきます。ありがとうございます!」ってすぐ返事がきて。「獅童さん、精子じゃなくて、我慢汁の役ですよ」って送ったら、「なおのこと、一生懸命やらせていただきます!」って返ってきて(笑)。それこそ本人、なんの映画か分かってないまま、来たと思います。セリフも一言だけですし。

──1番お堅い仕事なんですけどね、出演者のなかでも。

よく受けてくれました。ほかの人には出来ないですけどね。

──ただ今回、宮藤監督ならではのクセもありつつ、男女年齢問わず楽しめるエンタテインメントな作品となりましたね。

そうですね。初号(試写)を見た人たちが、すごく清々しい気持ちになる、青春映画として観られるっておっしゃってて。図らずもですけど、そうなったなぁと。いかんせん地獄だし、ちょっとホラーだと思ってる人もいるみたいですけど、そうじゃないってことを早く知って欲しいですね。

宮藤官九郎(くどう・かんくろう)
1970年7月19日生まれ、宮城県出身。脚本家だけでなく、俳優、映画監督、演出家、ミュージシャンとしても活躍。脚本家として、ドラマ『タイガー&ドラゴン』、ドラマ『あまちゃん』、映画『舞妓Haaaan!!!』、映画『謝罪の王様』など、多くの話題作を手掛ける。2005年には、映画『真夜中の弥次さん喜多さん』で映画監督デビューし、新藤兼人賞金賞受賞。

映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』
2016年6月25日(土)公開
監督:宮藤官九郎
出演:長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子、森川葵、桐谷健太、清野菜名、ほか
配給:東宝/アスミック・エース

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