宮藤官九郎「自由になれた気がする」

「長瀬くんは珍しく、ちょっと話す機会があって」(宮藤監督)
──今作は世界初の「地獄コメディ」ということで、主演は『真夜中の弥次さん喜多さん』でもタッグを組んだ長瀬智也さんが、地獄専属ロックバンド・地獄図(ヘルズ)のボーカル&ギター・キラーKを演じています。特殊メイクと衣裳、ギターとかつらの総重量が10kgという鬼役ですが、これが相当ハマってますね。
長瀬くんは珍しく、台本を読んだ後にちょっと話す機会があって。(キラーKという役を)こういう風に考えてるって言ってくれて、まったく一緒ではないけれど、近いことを考えてくれてて。そこで、衣装はこんな感じになりますとか、ギターはこんな感じのやつですとか、本番前にちゃんと打合せをやってたんですよ。で、そんなことしてたら、地獄のバンドメンバーである神木(隆之介)くんや桐谷(健太)くん、清野(菜名)さんと一緒に、読み合わせをすることになって。じゃあ、ついでにバンドの練習もしようかと、三茶(三軒茶屋)のスタジオを押さえたりして。
──読み合わせの流れから、バンドの練習に?
そう。まぁ、長瀬くんはTOKIOをやってるから当然できるんですけど、清野さんとかは演奏は初めてで。そしたら「1人で練習してるより楽しい!」とか、お芝居やってる以上の連帯感みたいなのが生まれたんです。初めて会って、「こういうシーンを撮ります。では、よろしくお願いします」って感じだと、多分きつかったでしょうね。やっていくうちに、こういう風にハモった方が良いんじゃないかって、自分で歌入れしたデモ音源を持ってきたりして。なんか、すごく前のめりにやってくれましたね。
──それは相当、前のめりですね。
そうそう(笑)。あと最初、鬼をやる長瀬くんが、どこまで振り切っていいのか、それとも、来たばっかりで地獄に慣れていない感じを出した方がいいのか、かっこよさげにやってるんだけど、どこか間抜けな感じがいいのか。そんなことをずっと話してて。僕としては、力いっぱいやれば自然にそういう部分は見えてくると思ってたんですけど、本人は結構細かいとこを気にするタイプというか。細かいところが気にならなければ、あとはなんにも気にならない人なんですけどね(笑)。でも、「バッチリです」っていったら、そこからは潔いですよね。

──顔で弾いてる感じがなんとも素晴らしいです。
長瀬くんって、俺より10近く年下ですけど、なんか実年齢よりちょっと古いもの、わりと仰々しいロックが好きみたいで、モトリー・クルーとかキッスとか。今の若い人たちにとって、もうちょっと等身大の、飾らない自然体の音楽がロックみたいだけど、40代の我々からすると、設定が「悪魔」とか「鬼」とかの方がロックだから、長瀬くんはそれをすごく理解している。珍しいですよね、若いのに。
──長瀬さんは資料で、「北欧系じゃなくて、西海岸っぽい明るいメタルにしたいなあと。エイティーズメタルなハイトーンボイスで歌いました」と語っていますが、その違いが分かってるのは大きいですね。
そうですね。僕はよく分かりませんが。
──その長瀬さんが率いるバンド・地獄図(ヘルズ)が歌うのが、元THE MAD CAPSULE MARKETSのKYONOさんによる主題歌『TOO YOUNG TO DIE!』(作詞は宮藤監督)。オープニングで披露されるこの1曲が、宮藤監督がイメージする「地獄」を一発で表現しています。
最初、今回の劇伴(劇中音楽)は全部、向井(秀徳)さんにお願いしようと考えてたんですけど、主題歌だけ違う人の方が良いんだろうなーって思ってたら、向井さんもそう言ってくれて。それで名前が挙がったのが、KYONOさんだったんです。
──イメージ通りでしたか?
イメージ通りというか、もうね(笑)。KYONOさんは「オレ、あんまりメタルは詳しくないんですけど・・・」って言ってて。「僕もなんですよね。でも、イメージとしては、すごいリフがガンガン鳴ってるんだけど、サビになると急にメジャーになって、きれいなメロディで・・・」なんて言ってたら、ホントにイメージ通りにあがってきたんで、すごいなぁと思いましたね。
──この曲をスタジオを練習したんですか?
そうです、そうです。それと、挿入歌の『天国』(作詞:宮藤官九郎、作曲:向井秀徳)。なんのイメージも持たずに書いた歌詞ですけど、『TOO YOUNG TO DIE!』も『天国』も、映画を撮り終わったあとに振り返ってみると、最初からこの映画でやろうとしてたことが歌詞のなかに詰まってて。適当に書いたわりにちゃんとしてるなって(笑)。最初から決まってたんだなぁーって思いましたね。
──先ほどの絵コンテもそうですが、歌詞の世界感がそのまんま映画になってるっていうことは、宮藤監督の頭のなかのイメージが、これまで以上に強いものとしてあったということですか?
そうかもしれないですね。それは物語というより、舞台とそこに立ってる人たちのイメージですかね。まぁ、長瀬くんがとにかく乗らなかったらこの映画出来ないなと思ってたんで、長瀬くんに最初に理解してもらえて映画がスタートした感じはありますね。

宮藤官九郎(くどう・かんくろう)
1970年7月19日生まれ、宮城県出身。脚本家だけでなく、俳優、映画監督、演出家、ミュージシャンとしても活躍。脚本家として、ドラマ『タイガー&ドラゴン』、ドラマ『あまちゃん』、映画『舞妓Haaaan!!!』、映画『謝罪の王様』など、多くの話題作を手掛ける。2005年には、映画『真夜中の弥次さん喜多さん』で映画監督デビューし、新藤兼人賞金賞受賞。
映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』
2016年6月25日(土)公開
監督:宮藤官九郎
出演:長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子、森川葵、桐谷健太、清野菜名、ほか
配給:東宝/アスミック・エース
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