横尾芸術を代表する「Y字路」が集結

「温泉」シリーズの展示風景
2000年以降の横尾忠則(美術家、グラフィックデザイナー)さんを代表する「Y字路」。このシリーズは、横尾さんが故郷の兵庫県西脇市を訪れた際に撮影した写真に端を発しています。
子どもの頃に通っていた模型店が無くなったことを知った横尾さんは、その跡地を撮影します。しかし、現像した写真に写っていたのは、郷愁とは無縁の見知らぬ風景でした。横尾さんはその写真を元に私的要素を排した絵画を制作。2つの消失点を持つ左右対称の構図は彼の自由な発想の受け皿となり、多彩な作品へと発展していきます。
そんな「Y字路」のうち、2006年以降の作品を中心に約70点を展示するのが本展です。出品作品の中には、紀行文の挿絵として制作した「温泉」、大勢の観客の前で描かれた「公開制作/PCPPP*」(PCPPP*=Public Costume Play Performance Painting)、画面を黒く塗りつぶした「黒いY字路」、オーロラとY字路がオーバーラップする「オーロラ」など、特定のテーマに基づく作品群がありますが、筆者のおすすめは「公開制作/PCPPP*」と「黒いY字路」です。

「公開制作〜」では、作品と共に制作風景を記録した映像が展示されています。制作プロセスや場の空気が伝わる映像は資料としても貴重で、展示作品と映像を見比べるなど一般的な絵画展では得られない感興が味わえます。
「黒いY字路」は、一度克明に描いた絵を黒で塗りつぶした作品で、「見えるものを敢えて見えなくする」珍しいアプローチが取られています。会場に入った瞬間はそれこそ真っ黒で何も見えませんが、5分ほど経つと目が慣れてきてイメージがふわっと浮かび上がってきます。それはまるで忘れていた記憶が甦るような感覚で、「見ること」と「記憶」の本質を突き付けてくるようなスゴみを感じることでしょう。
取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)
「横尾忠則 続・Y字路」
期間:2015年8月8日(土)〜11月23日(祝・月)
時間:10:00〜18:00(金土曜〜20:00) ※入館は閉館30分前まで、月曜休
会場:横尾忠則現代美術館(神戸市灘区原田通3-8-30)
料金:一般700円、大学生550円、高校生・65歳以上350円、中学生以下無料
電話:078-855-5607(総合案内)
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