静かなる緊張、神戸で舟越桂の彫刻展

手前:《山を包む私》 2000年 個人蔵 奥右:DR0003《「山を包む私」のためのドローイング》 2000年 個人蔵 奥左:《「山を立てる」のためのドローイング》 2001年 作家蔵
現代日本を代表する彫刻家、舟越桂。彼の1980年代から現在までを俯瞰できる個展が「兵庫県立美術館」(神戸市中央区)にて開催中。最新作を含む木彫作品30点と、素描、版画など約40点が見られます。
展覧会は3つの章で構成されています。第1章は1980年から1990年代初めに制作された半身像。半身像であること、大理石の玉眼を持つこと、彩色されていること・・・といった、舟越作品に特徴的なスタイルが確立されたのはこの頃です。その静謐なたたずまいは、発表から30年前後を経た今見ても十分に新鮮です。
第2章は1990年から2000年代初めの作品。第1章と同じ半身像ですが、山を思わせる胴体や、双頭の人物像、具象表現からはみ出た腕の付き方など、表現に明らかな変化が見て取れます。周囲の環境を含めたより大きな世界を、人物を通して表現しているかのようです。

第3章は2000年から現在の作品で、半人半獣・雌雄両性の特徴を持つ異形の存在「スフィンクス」を中心とした作品が並んでいます。異形とは何か、スフィンクスとは何か。それは人間誰しもが抱えているが、外見には現れないもうひとつの側面(ダークサイド?)を示しており、第1章の作品と見比べた時、作家の表現がどれだけ深化したかが窺えます。
このように時系列で作品を見ながら、一作家の変遷をたどれるのが本展の魅力です。また、木彫作品と共に展示されている素描やスケッチブックを見ると、舟越さんがどれほどドローイングを大切にしているかが分かります。静けさの中にも心地よい緊張感と興奮を孕んだ、見応えのある展覧会です。
取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)
『舟越桂 私の中のスフィンクス』
期間:2015年6月27日(土)〜8月30日(日)
時間:10:00~18:00(金土曜~20:00) ※入場は閉館30分前まで ※月曜休(7/20開館、7/21休館)
会場:兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)
料金:一般1,300円、大学生900円、高校生・65歳以上650円、中学生以下無料
電話:078-262-0901
関連記事
あなたにオススメ
コラボPR
-
【大阪・関西万博2025】最新情報まとめ!地元編集部が取材してわかった、人気グルメから穴場スポットまで
NEW 2時間前 -
大阪のおすすめビアガーデン2025年最新版
2025.6.12 10:00 -
万博から30分…大阪の駅近ホテル、快適すぎた[PR]
2025.6.12 07:00 -
京都・川床おすすめランチ&ディナー、鴨川・貴船・高雄エリア別【2025年】
2025.6.11 15:00 -
ホテルで贅沢に…大阪アフタヌーンティー2025年完全版
2025.6.9 11:00 -
大阪スイーツビュッフェ・リスト2025年版、ホテルで甘いものを満喫
2025.6.9 10:00 -
奈良のおすすめビアガーデン2025年最新版
2025.6.6 16:30 -
京都・滋賀のおすすめビアガーデン2025年最新版
2025.6.5 11:00 -
神戸のホテルで贅沢に、アフタヌーンティー2025年最新版
2025.6.4 11:00 -
神戸のおすすめビアガーデン2025年最新版
2025.6.3 14:00 -
京都のホテルで楽しむ、アフタヌーンティー2025年最新版
2025.6.3 12:00 -
Olive LOUNGE船場でつながるイイ関係。[PR]
2025.5.30 17:00 -
万博・今だけの1杯も!大阪の巨大公園でイベント[PR]
2025.5.28 11:00 -
華やかスイーツ!大阪のいちごビュッフェまとめ・2025年版
2025.4.10 11:00 -
淡路島の観光&おでかけ&グルメスポット、2025年最新版
2025.4.2 19:30 -
テンプル大学、学生たちの京都生活。【PR】
2025.4.1 11:00 -
大阪から行く高知のおでかけ・グルメ2025最新版
2025.3.31 16:45 -
2025年は開業ラッシュ!大阪・梅田の新商業施設まとめ
2025.3.27 12:00 -
華やかスイーツ!京都のいちごビュッフェまとめ・2025年版
2025.3.24 10:00 -
華やかスイーツ!神戸のいちごビュッフェまとめ・2025年版
2025.3.7 14:00 -
【カメリア・マキの魔女占い】2025年上半期の運勢は?
2024.12.29 20:00