映画界も「アイドル戦国時代」へ・・・

2015.4.13 11:06

© 2015平田オリザ・講談社/フジテレビジョン 東映 ROBOT 電通 講談社 パルコ

(写真4枚)

音楽シーンではアイドルは「戦国時代」を過ぎて、もはや定着した感があるが、映画界では今が「アイドル戦国時代」。2014年は『DOCUMENTARY of AKB48』、『BELLRING少女ハートの6次元ギャラクシー』、(BiSの)『アイドル・イズ・デッド ノンちゃんのプロパガンダ大戦争』などが目立ったが、2015年はより百花繚乱。

その筆頭となるのは、ももいろクローバーZ主演の『幕が上がる』(公開中)だ。高校演劇部員演じるメンバーが稽古場で身体に芝居を叩きこんでいく模様は、彼女たちのハードなパフォーマンスの練習風景を見ているようである。『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』(公開中)は実際の舞台裏に潜入。ダンス指導・牧野先生のシゴきに、松井玲奈が崩れ落ちるところが壮絶だ。カオスなパフォーマンスで新たなアイドル像を提示したBiSの解散ライブにAV監督が密着した『劇場版BiSキャノンボール2014』(公開中)は、「アイドル×AV」という禁断の組み合わせが究極の対立図となり、今年屈指のおもしろさだ。

アイドル映画は、彼女たちのリアルな活動だけでなく、当時のアイドル事情が物語の中に構造的に組みこまれている(もしくは、自然と組みこまれてしまう)点が興味深い。今のアイドルは映画的なドラマがあり、エモーションを与えてくれるし、何より儚さがある。

元アイドル茉里主演『世界の終わりのいずこねこ』
元アイドル茉里主演『世界の終わりのいずこねこ』

その「儚さ」という点で注目したいのが、猫系小動物アイドル・いずこねことしての活動を突如終了した茉里主演の『世界の終わりのいずこねこ』だ。舞台はアイドル不在の近未来。ネット配信している少女が、人類滅亡の危機に立ち向かっていく物語。茉里本人すら予期していなかった「終了宣言」は、飼い主と呼ばれるファンを含めたそのすべての動揺を誘ったが、その空気感が映画から伝わってくる。なんとなく笑って日常を過ごしているけど、「我々は何処(いずこ)へ行くのか」という、先行きない未来に向かう不気味な不安がはりついている。

多種多様なアイドルが登場する昨今。どんなに苦しくてもステージでは笑顔を絶やさず、エネルギッシュに歌い踊る彼女たちに、「ヲタク」以外も次々と魅了された。それが空前の「アイドル戦国時代」を呼びこんだ要因のひとつ。『世界の終わりのいずこねこ』で描かれている、女の子が人々に希望を与えていく姿は、いろいろ大変な日本の状況の中で、アイドルに求めているものに近いのかも知れない。「今の時代のアイドル映画」としてひとつの金字塔になりそうだ。

今やアイドルは、かわいいだけでは生き残れない。ライブではダイブもするし、観客のド真ん中で歌ったりもする。でも、ちゃんとキラキラしている。「アイドル」という枠をうまく使い、意外性のあるアイデアで引きつけていく。時には男よりも泥臭く、ロックバンドよりもロックなアイドルたちの姿は、まるで生きた証しをそこに焼きつけているかの様でもある。そんな彼女たちの、いつもとはまた違う表現を映画で発見してほしい。

文/田辺ユウキ

【直近のアイドル映画作品】
私立恵比寿中学・廣田あいか主演『たまこちゃんとコックボー』(公開中)
アップアップガールズ(仮)出演『劇場版プロレスキャノンボール2014』(公開中)
でんぱ組.inc主演『白魔女学園 オワリトハジマリ』(6/13公開)
ゆるめるモ!・櫻木百出演『家族ごっこ』(夏公開)
せのしすたぁ主演『ねもしすたぁ』(夏公開)

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