次は21年後、女人高野で秘仏公開

2015.3.9 16:46

女性でも参詣できるお寺として知られている「慈尊院」

(写真2枚)

弘法大師空海が高野山開創する時に、参詣の要所となる位置に造られた「慈尊院(じそんいん)」。弘法大師空海の生母が、「我が子の開いた山を一目みたい」と訪れても、当時女人禁制のために高野山に入れず、ここで暮らしたことから、女性でも参詣できるお寺として広く知られ、女人高野とも呼ばれています。

平安時代末期に建てられ、重要文化財に指定されている弥勒堂に安置されている秘仏、国宝の弥勒菩薩が4月2日から、ご開帳。この秘仏は弘法大師空海の生母が崇拝したもので、21年ごとにしかご開帳されないため、非常に美しいままの姿を拝むことができます(ただし、2004年の世界遺産登録に際し特別開帳されたため、今回のご開帳は10年ぶり)。今年はちょうどその21年の周期がめぐってくることと、高野山の1200年記念の年が重なっている貴重な機会です。

国宝の弥勒菩薩が安置されている彌勒堂
国宝の弥勒菩薩が安置されている彌勒堂

また、「慈尊院」は、子授け、安産、育児、授乳、良縁を願い多くの女性が訪れますが、作家有吉佐和子の『紀ノ川』に乳房型の絵馬を奉納する場面が描かれたことから、多くの人々が自作でおっぱいの絵馬を奉納するようになり、今では乳房型の絵馬が置かれるように。さらに、地元のブレストセンターの医師の発案により、乳がん患者の治癒を願って畳1畳分の絵馬が奉納されたことに始まり、乳がん平癒のお守りが誕生。今では日本で初めての乳がん治癒願いの寺院としても多くの人々が訪れるようになりました。

寺院には、なでるとご縁が結ばれるというみろく石、痛いところをさすると良くなるピンズリさんなど巡りたいところはいっぱいありますが、寺院内だけでなく、町石道(ちょういしみち)もぜひとも歩いてほしいところ。この古道は弘法大師空海が年に九度、母に会いにこのお寺を参った道ですが、歴代天皇、法王、将軍、そして何より一般庶民が1000年以上もの間、それぞれの願いを胸に高野山に向かって踏み固めてきた表参道。ぜひともこの記念の年にその地に足をつけ1200年の長い歴史に思いを馳せたいものです。

取材・文/浅野はるか

慈尊院 「高野山開創1200年 弥勒菩薩ご開帳」

日時:2015年4月2日(木)~5月21日(木)
住所:和歌山県伊都郡九度山町慈尊院832
特別拝観時間:8:30~16:30
秘仏拝観料:500円
電話:0736-54-2214

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