楳図かずお監督、大阪で片岡愛之助とトーク「バッチリだった」

2014.8.29 19:00

「ぐわしっ、出来る人が羨ましい・・・」と楳図かずお、左は主演の片岡愛之助

(写真3枚)

「恐怖漫画の神様」「赤白ボーダー」「ぐわしっ」と聞けば、誰もがすぐに分かるだろう。そう、御歳77歳にして、まだまだファンキーな楳図かずお先生。その天才芸術家が、満を持して映画『マザー』にて監督デビュー。自身と母の関係を描いた自叙伝的な側面を映しながら、次第に底知れぬ恐怖の世界に誘われる、本格ホラー映画だ。

その公開に先駆け、現在「梅田ロフト」(大阪市北区)では、撮影に使われた衣装や小道具、漫画原稿さながらの直筆絵コンテなどを展示した『マザー展』(入場無料)が開催中だが、「映画公開1カ月前」を記念して、楳図かずお監督と主演の片岡愛之助さんが大阪入り。展示会場の視察に訪れた。

展示物に熱心に見入りながら、トークに興じる2人。監督の自宅で行われた撮影の様子や、『漫画』の世界を表現するにあたり、歌舞伎役者である片岡愛之助さんの存在がいかに「バッチリだった」か、楳図漫画におけるグワシやサバラは「歌舞伎でいう『見栄』に通ずると見た!」など、撮影当時に思いを巡らせながら懐かしそうに振り返った。

その後には「タワーレコード梅田NU茶屋町店」に場所を移し、招待された100名のファン(ボーダー率めちゃ高し!)とともに、ヒロインの舞羽美海さんも交えてトークショーがおこなわれ、楳図先生大ハッスルの楽しいひと時となった。

左から片岡愛之助、楳図かずお監督、舞羽美海
左から片岡愛之助、楳図かずお監督、舞羽美海

77歳にして初監督となった楳図さんは、「時期が早かったら、みんなライバル意識を燃やして協力してくれなかったかも。このタイミングでよかった」と語った上で、自分のやりたい世界を実現するのに、CGが強い味方だったことも明かした。

一方、監督の分身である楳図かずお役を担った片岡さんは、「最初は、楳図先生の自伝を撮るという話だったので、即刻お断りしたんですよ。だって、似ても似つかないないでしょう?」と、2人の胸板の厚さを見比べて笑いを取りながらも、「漫画家・楳図かずおを感じたままに演じてくれれば」と監督から改めて申し出があり「光栄だった」と快諾したエピソードを語った。

直筆の絵コンテ(「キラキラした目」の注釈が!)
直筆の絵コンテ(「キラキラした目」の注釈が!)

また、楳図かずおの人生を取材するうちに恐怖に巻き込まれる雑誌編集者を演じたヒロイン・舞羽さんは、監督の描く絵コンテの素晴しさに言及し、「表情も細かく描き込んであるのでとても参考になった」と感謝する一方で、「注釈に『キラキラした目』って指定があって、(そんな少女漫画みたいな表情)できるかしら? と不安にもなりました」と、苦労を明かした。

漫画らしいと言えば衣装にもひと工夫あったようで「シーンによって、僕が着ている衣装の、赤白ボーダーの幅が違うんです。強気な時は太め、弱気な時は細めと、心理描写を表している。普通ならシーンが繋がらなくなるからダメだとなるけど、これぞ漫画のアイデア! すごいと思った」と感心の様子。片岡が色々な取材記者にそのことを打ち明けてみたところ「誰ひとり気付いていなかった」というボーダー幅の違いも、ぜひ劇場で確認してみて。

取材・文・写真/hime

映画『マザー』

2014年9月27日(土)公開
監督:楳図かずお
出演:片岡愛之助、舞羽美海、真行寺君枝、ほか
配給:松竹メディア事業部
© 楳図かずお/小学館 ©「マザー」製作委員会

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