バンドからソロへ、黒木渚の決意「だって、解散までしたんだから」

2014.4.24 12:00

「期待してくれる目がないと、私も強くいられない」(黒木渚)

──言い方としては語弊がありますけど、すごく面白いアルバムだと思います。だからこそ、すごく、その根本をお尋ねしたくて。

あぁ、なるほど。

──よく音楽に救われたって話、あるじゃないですか。黒木さんが孤独な状態からポジティブに入れ替わった瞬間、そこに音楽はあったんですか?

いや、そのときは文学でした。村上春樹さんの『ノルウェイの森』でしたね。寮では音楽が規制されて、流行りの音楽とか聴ける環境じゃなかったんで、図書館にあった『ノルウェイの森』を。結構劇的に考えが変わりましたね。

──そんな黒木さんが、文学じゃなくて音楽を選択したのは?

音楽を始めたのが、大学の軽音楽部に入ってからなんですけど、私、文字書いたり、文章書いたり、絵を描いたり、いろんな表現方法を持ってるはずなんですけど、なぜ音楽を選択したかというと、限られた字数の中で発する言葉と、それに付随するメロディ、音階が合わさると、ホントに最短距離で人の心に入っていけるんですよね。それは、絵画で抽象的なものを書いたり、文字を連ねて長い説明文を書くよりかは、断然に早いっていう。

──小説1冊読むのに半日かかるところを、音楽ならものの3秒でいけるという。

そうそうそう! それに気づいて、だから一番やりたいことなんじゃないかなって。

──あと、これもあるかもしれないですね。音楽を作ることで、自らの感情の発散や解放をするという。

もちろんありますね。楽曲を作ることと、ライブはやめられないですね。

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──では、ライブの位置づけはどういうものですか?

結構依存してるかも、ライブというものに。『革命』のPV撮影で馬に乗ったとき、人生でこんなに疲れることってある!?ってぐらい疲れてて。そのとき、心からライブをしたいって思ったんですよ。体が弱ると精神状態も弱気になるじゃないですか。何のためにこんなにボロボロになって頑張ってるんだろうって。馬なんか乗っちゃったりして。何してるんだ、私みたいな。なんか一瞬迷っちゃったんですけど(笑)、そのときに強くライブしたい、人に会いたいって思ったんです。

──会いたい、と。

そう。とにかく会いたいんですよ、私は。今すぐライブしようって思ったときに、あぁ、私はこれのために生きてるんだなと。自分が何をすべきか、ブレかけてたピントが合ったんです。

──じゃあ、ちょっと意地悪な言い方しますけど、人に会いたいって、それこそ都心に行けば人に会えるわけじゃないですか。でも、そういうことではないんですよね。

うん。何なんですかね? 私に期待してくれないとダメなんですよ、たぶん。1本筋が通ってステージに立っていることを期待している人に対して、答えることが好きなんですよね。循環することが好きというか。そういう人たちがいないと、私も普通にいっぱいダメな部分があって。放ったらかすと、それがどんどん増殖しちゃうんで。やっぱ、期待してくれる目がないと、私も今みたいに強くいられないと思いますね。

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──なるほど。で、そのライブ、しかもワンマンが5月に大阪「umeda AKASO」であります。『革命がえし』ってツアータイトルが付いてますが、どんなライブになりそうですか。

ソロになったらまずひとりでステージをやるという目標があって、修業と題してエレキ1本もって全国を巡ったんですよ。で、その次は、私と巨匠。たとえば、ドラムで参加してくださった柏倉(隆史)さんと1対1でライブをするという企画をしてて、オケを流しつつ、2人なんで生楽器は2つという。気を抜いたらやられるじゃないですか。うまいから(笑)。対決することで、次の次元にひっぱりあげてもらおうと。そこで力をガンガンつけて。で、5月のワンマンツアーは、そこからどんどん人を募っていって、フルバンドの形態を作り上げて回ろうかなと思ってます。

──the HIATUSやtoeで活躍する柏倉さんをはじめ、黒木渚のサポートメンバーはみなさん超売れっ子の方々ですよね。

そうなんですよ。だから、忙しいんですよね(笑)。なかなかスケジュールが調整できない。この人とライブやったら、爆発的に解放がありそうとか、そういう予感がする人を呼んで。ベースの佐藤研二さんとか、今までやったことないタイプの方とやって、変態ワールドを作って回ろうかなと(笑)。

──アルバムでは強い決意を高らかに宣言されたわけですけど、ライブで直接ファンの人に見せてこそ、という想いもあると思うんですよね。

そうですね。歌い聴かせてこそ、みたいなところはあって。CDの出来にはすごく満足してるんですけど、やっぱり持ち歩ける小さい渚というか。でも、これじゃ満足できないときにこそ、会いに来てほしいんです。私が一番大切にしているのが声の倍音で、その中にすごく感情が籠もるんですよね、周波数みたいなものが。それはどうしてもCDには入らないんですね。それを全力で歌い聴かせたいと。会いに来てくれた人には、今日ここでステージの上で死んでもいいという覚悟でやりますから。

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