是枝裕和監督、ファンからの質問に「説明するのは恥ずかしい」

2013.11.29 13:00

大ヒット記念の大阪ティーチインイベントに登場した是枝裕和監督(右)と井浦新

(写真2枚)

動員260万人を突破した、是枝裕和監督の映画『そして父になる』。その大ヒットを記念して先日、大阪市内で是枝監督、そして出演の井浦新によるティーチインイベントが実現。封切りからすでに2カ月が過ぎたにも関わらず満席となった場内からは、熱い感想が相次いだ。

井浦がティーチインを初めて経験したのは、是枝監督の『ワンダフルライフ』(1999年)に出演したとき。是枝監督は「あのときは僕が30代、井浦さんは20代でしたね。井浦さんは当時、自分のことを『洋服屋をやっています』と自己紹介していた」と懐かしそうに語り、今や映画、ドラマに引っ張りだこの井浦も「ようやくここ何年かで『役者をやっています』と言えるようになりました。それまでは何だか恥ずかしくて。『ワンダフルライフ』や『DISTANCE』(2001年)のときは、(自分が)フワッとしていて、お芝居をやらせていただいていいのかな、という気持ちでしたから」と振り返った。

この日集まったお客さんは、すでに何度も本作を鑑賞しているような雰囲気で、非常に細かいコメント、質問が続出。「映画ではピアノが重要になってきますが、ラストシーンは電線が五線譜のように見えますよね。このあたりにこだわりがあったのですか」という指摘に対し、是枝監督は「そうですね。(ふたつの家族による)最初の子どもの交換シーンで、鉄塔と送電線の間を車で走るその様子が五線譜に見えて、そこから考えるようになりました」とうなずきながら、「だけど、こういうことを改めて言葉で説明するのは恥ずかしい」と照れ笑いを浮かべた。

映画『そして父になる』 © 2013「そして父になる」製作委員会
映画『そして父になる』 © 2013「そして父になる」製作委員会

福山雅治演じる主人公の勤務先で、人工林の研究をしている男に扮した井浦には、「お子さんが2人いらっしゃるということですが、この映画をきっかけに子育てについて考え方が変わりましたか」との質問が飛び、「どんな状況であろうと、大人の都合で子どもに接することをなくそうと思いました。今回の作品は大人の考え方ですべての物事が動いていく。子どもはそれに巻きこまれてしまう。子どもたちにとっては『どっち(の親)を選ぶか』ではないじゃないですか。僕は子どもができて以来、父と子の映画を観るとすぐ泣いちゃうんですよ」と本作から受けた深い影響を話した。

この映画のテーマとなるのは、子どもと育てた時間をとるか、それとも血をとるかという部分。人生負け知らずの男(福山)が、その狭間で揺れ動きながら父親として成長をとげていく。ティーチインの最後に是枝監督は「『一緒にいる時間が大事だよね』という感覚を僕も持っています。だからこそ、血のつながりにこだわる男の価値観が崩れ落ちるところを描きたかった。細かいことを(本作では)たくさんやっていますので、何度も観て欲しい」と強くアピールした。

取材・文・写真/田辺ユウキ

映画『そして父になる』

監督・脚本:是枝裕和
出演:福山雅治、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー、ほか
配給:ギャガ

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