希代の日本語ロッカー、吉井和哉の10年

2003年にソロ・デビュー後、米国レコーディングなどによってイエローモンキー時代とはまた違った境地を模索し続けてきた希代の日本語ロッカー、吉井和哉。代表曲の数々に新曲や初収録のカバー曲なども加え、この10年の動きを惜しみなく収めた初のベスト『18』は、ソロ・キャリアの集大成にして到達点と呼べる濃密な内容となっている。この10年の軌跡、そして次のステージへと果敢に向おうとする吉井和哉の魅力を語ってもらった。
取材・文/吉本秀純 写真/長谷波ロビン
「自分の人生をどういう音で奏でるか、そんな10年だったのかも」(吉井和哉)
──ソロとしては初のベスト盤となりますが、通常盤でも2枚組の総括的なボリュームで、10年かけて作られた壮大な1枚のアルバムのような印象を受けました。
「そうですね。まず、吉井和哉って名前は聞いたことがあるし元イエローモンキーの人だという認識はあるけれど、一体どういう音楽をやってるのか?となった時に、自分でも人に紹介する時に、このアルバムと1枚に絞れるものがなかったんですね。やっぱりどのアルバムにもそれぞれにヒストリーがあって迷うなと。じゃあ、逆にデビューして10年経つので名刺的なモノを作っていいんじゃないかというのがあったのと、その代わりに通常のベストではなくて新しい形態のベストにしたかったというか。新曲、新録、新カバーなどを含めた、むしろミニ・アルバムにベストが付いているみたいな(笑)。10年が経って吉井和哉もまたリニューアルしようと思っていたので、福袋的に出し惜しみなく全部聴いてもらおうと思ったのが、今回に出したキッカケですね」

──まさにこの10年の総決算というか。改めてソロになられてからの歩みを振り返ると、いかがですか?
「僕のソロのスタートというのは、ちょっと手探りで始まったところがありまして。そもそもイエローモンキーというのは自分が得意なことをしていたバンドで、でも得意なことだけでこれから先もやっていっていいのかとクエスチョン・マークが付いちゃって、もっと違う可能性をソロでは探っていきたかったんですね。で、今振り返ると、結局は36歳から46歳の10年間なんですけど、ひとりの人間としてどう生きていくのかを音楽をやりながら模索していた10年だったと思うんです。なので、いわゆるポップ・ミュージックというよりも、少しキザな言い方ですけど自分の人生をどういう音で奏でるかというか。それをしていた10年だったのかもしれない」
──なるほど。あえて模索の道を選んだ10年だったと。
「で、結果として10年経ってわかったことは、やっぱり自分の中にある素直なメロディというか、得意なことをやるのが一番いいし、僕の場合は『ないものねだり』をしていたなというのがすごくありますね。でも、こうして出来た曲を振り返って聴いてみると、その過程も無駄ではなかったと思うし、今は非常に晴れ晴れとした気持ちになれています。卒業証書を持って、桜の花びらを見ながら佇んでいるような(笑)」
──(笑)。でも、曲順は一部前後していますが、今回のベストを通して聴くと、そのソロとしての10年間の変遷がとても明快に表れているのがわかります。
「ソロ・デビューした時は、変にロックであろうとかオルタナティヴであろうということにすごくこだわっちゃてたんですけれど、今は逆に言葉とメロディだけの人間でありたいというか。それがホントに自分の魂みたいなものなので、次の10年はそれを誰とやるかとか、どんなサウンドをデコレーションするかという方向に変わっていくと思います。ソロの初期は、自分の歌よりもむしろジョシュ(・フリーズ)のドラムと作った曲を聴いてアメリカの空気を感じて、みたいなところもあったんですけど。でも、今回の最後に『血潮』という曲が出来た時に、この曲もドラムはジョシュなんですけど、ものすごくベタな吉井和哉のメロディでジョシュがホントにグルーヴしているのを聴いて・・・実はそれが一番オルタナティヴだったんですよね(笑)。あぁ、ココかって(笑)」
──『血潮』は、沖仁のスパニッシュ・ギターも加わった異色の仕上がりですが、これこそ到達点と呼べるような強度と躍動感のある曲になっていますね。
「ま、でも、それも10年があったからこそなんですけどね。いきなりこの曲は作れなかったでしょうし」
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