BASI×上田誠_関西クリエーター対談・前編

東京に進出=クリエーターとしての成功、のような風潮があるのは、今に始まったわけではないですが、まだまだそれを感じずにはいられない昨今。インターネットを含め、物理的な距離が急速に縮まった今でも、関西でクリエーターが活躍するのは難しいのか。また、ジャンル違いのクリエーターが交わると、どんな意見が飛び出すのか。そんな素朴な疑問に対して、地元へのこだわり、愛着を持ちながら、それぞれ作品を発表し続ける関西のクリエーター2人を迎えて対談しました。
取材・文/吉永美和子 写真/成田直茂
2人のクリエーター・プロフィール
上田誠(うえだ・まこと)
京都を拠点にする活動する劇作家・演出家。1998年に劇団[ヨーロッパ企画]を結成。
BASI(ばし)
岸和田を拠点に活動するMC。1998年にヒップホップバンド・韻シストを結成し、03年にメジャーデビュー。
質問1.なぜ東京ではなく、関西を活動の場にしているのですか?
「一種の反抗・・・まではいかない、チャレンジみたいな気持ち」(BASI)
「東京でも売るけど、育てる畑は絶対東京以外にしておきたい」(上田)
BASI 「韻シストがメジャーデビューした時、実際に“東京に行くかどうか”って話になったんです。ただ僕には嫁がいるし、メンバーには子どもがいる奴もいるから、大所帯は大所帯なんですよ。そうなるとどうしても、大阪に居続けることを選びますよね」
上田 「僕は東京に行くとか、あんまり考えたことないですね。関西に限らないと思うんですけど、演劇って土の匂いと相談しながら作るというか、その土地のお客さんに響くものを意識せざるを得ないところがあって。だからもし東京に拠点を移したら、作品作りを土ごと変えなきゃいけなくなるのが、大きな問題だなあと。実際、たまに東京で芝居を作ると、同業者や批評家に観られることを、すごく気にした作り方になるんです。自分の中の鉛筆の芯が尖る、みたいな。それでそれで表現にとってはいいことなんですけど、その点関西だと、たとえば普通のOLさんが昼間は働いて、夜に芝居を観に来てくれてんねんな・・・っていうことを、ちゃんと実感することができる。それは僕には、いい環境なんです」
BASI 「その感覚はわかりますね。僕らも地元を離れてライブしに行くと、同業者だったり、別ジャンルのクリエイターだったりを意識する感じがしますから。普段より丸みがなくなっていくというか」
上田 「ただその分関西は、ちゃんと一般の人に面白がってもらえるものを提供して、人気者にならないと、息の長い活動は難しいかもしれない、とも思います。だから意外と、ミュージシャンズ・ミュージシャンみたいな人が生きていける土地ではないのかも(笑)」
BASI 「あとは東京に行かんでも、大阪に住みながらでも何か結果を出せるんじゃないか、全国に届けられるんじゃないか? っていう、一種の反抗・・・とまではいかないけど、チャレンジみたいな気持ちも、当時はありましたね。それで結果を出せたら、ちょっとは物事を一人前に語れるかな、と。結局は、それが今も続いてるだけなんです」
上田 「ですよね。それに東京は他にも劇団がいっぱいあって、東京の土から出てくる作物はたくさんある。だったらもっと違う土地から出てくる物がある方が、ジャンル自体も盛り上がるだろうし、それが僕らの個性や強みになると思ったんです。東京でも作物は売るけど、育てる畑は絶対東京以外の所にしておきたい、ということで」
BASI 「僕らも音源を作ったら、まず東京でイベント打ってワーッと話題を作って、1週間後に大阪で同じことをやるってサイクルでやってるんですけど、多分それと同じことですよね。しかも(韻シストの)レーベル名が[LIL FARM(リルファーム)]って言うんです(笑)」
上田 「まさにファーム=畑だと(笑)。それって長い目で見ると、お客さんも“あの人たちまたあそこで、何かコソコソ新しい物作ってるよ”っていうのを敏感に感じるようになるだろうし、それが面白いと思うんです。これからもそれを繰り返していきたいんで、今みたいに京都を創作のベースにして、たまに東京に行くというスタンスが、僕にはちょうどいい。それはBASIさんも、同じこと言うてはるなあと思います」
BASI 「そうですね。要は“どっちもうまく使う”ということです」
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