輝き続ける女優・広末涼子の生き方「仕事が自分の一部になった」

2012.9.11 12:00
(写真3枚)

日本中に鮮烈な印象を与えた少女から、人気と実力を兼ね備えた大人の女優へ。キャリアを重ねるごとに女優として着実に進化しながら、いまなおピュアで瑞々しい魅力を振りまいている広末涼子。内田けんじ監督の最新作『鍵泥棒のメソッド』では、堺雅人と香川照之という強者2人を相手に堂々たるコメディエンヌっぷりを披露した彼女が語った、作品について、そして女優として、ひとりの女性としての幸福──。

取材・文/井口啓子 写真/江藤海彦
スタイリング/平野真智子(NOMA) ヘアメイク/岡野瑞恵

「向いてないと思っていたのですが・・・」(広末涼子)

映画『おくりびと』(2008年)『ゼロの焦点』(2009年)などで近年、女優として目覚ましい活躍を見せている広末涼子が今回タッグを組んだのは、デビュー作『運命じゃない人』でカンヌ映画祭4冠に輝いた若手ホープ、監督・内田けんじ。そしてトリプル主演の共演相手は、堺雅人と香川照之という日本映画界きっての旬の鬼才俳優たちだ。

「堺さん、香川さんとも話していたのですが、今回はOKが出るたびに撮影が終わりに近付いていくことが残念になるぐらい、本当にお芝居をすることが楽しいチームでした。やっぱり内田監督の本(脚本)がすごいんですよ。コンドウの几帳面なキャラクターとか、書く文字とか部屋ひとつをとっても個性が出ていて、2人が入れ替わると桜井の汚なかった部屋がキレイになっていったり、小さい配慮が細部にまで行き届いていて、役者がちょっと考えたぐらいの役作りなんてもう何往復もしてそこに辿り着いているから、対抗する意識も沸かないぐらい。本当に内田監督の頭のなかで、お芝居もセリフのテンポもそれぞれのキャラクターもカット割りも構造が完璧にできあがっていたので、演じる私たちも監督のイメージにどこまで近づけるかという感じで、最後まで迷いなく、3人のトライアングルのなかの独特の間や空気感を楽しむことができました。なんだか舞台を作っていくような感覚の現場でしたね」

堺雅人、広末涼子、香川照之の3人 © 2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会
堺雅人、広末涼子、香川照之の3人 © 2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会

今回、彼女が演じたのは「真面目に努力すれば結婚できると思っている」ピュアだけれどちょっとズレた感覚をもつ雑誌編集者・香苗。クールに抑制した演技の中に豊かな情感とコミカルな味わいがに滲み出る、これまでに見たことのない「広末涼子」がそこにいる。

「今回は感情を表に出さない女性の役だったので、私も自分のいつも出すリアクションや感情表現を封印して演じました。最初はさじ加減がわからなくて、怒ってるように見えないかなという不安もありましたが、内田監督が広末さんはすごく思いが出てくる人だからもっともっと消しても伝わりますと言ってくださって。実際できあがって観て、あ、伝わるんだって。なんだか新しい発見でした。コメディという要素についても、自分ではこれまで向いてないと思っていたのですが、内田監督には『コメディ向いてるからやった方がいいよ』と言っていただいて、可能性をポンと投げてもらえたのがうれしかったですね」

映画『鍵泥棒のメソッド』

2012年9月15日(土)公開
監督・脚本:内田けんじ
出演:堺雅人、香川照之、広末涼子、荒川良々、森口瑤子、ほか
配給:クロックワークス
© 2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会

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