今週末、飲みたいワイン。第13回
カテゴリ:お酒
家飲みの日々が続くなか、偶然立ち寄った天満橋のワインショップ[salvis wine & records]で、お薦めのヴァンナチュール(自然派ワイン)の複雑な味わいに開眼。カタカナや専門用語が苦手な人でも楽しめる! 週末に飲みたい、小さな作り手による物語のあるワインを紹介します。
第13回
“アスリート”がテーマのワインシリーズ。
『GAMAY / Les ATHLÉTES DU VIN』
今回はフランスのロワール地方トゥーレーヌの赤ワインをご紹介します。
ロワール川沿いに広がるロワール渓谷地方は古城が点在する風光明媚で肥沃な土地で、「ジャルダン・ド・フランス(フランスの庭)」と呼ばれ、トゥーレーヌ地区はその中心部あたりです。観光資源が豊かな土地では、ワイン生産も観光用や地元用のみに終わりがちで、代わりにネゴシアン(ワイン商)が多い傾向があります。
フランスのワイン生産には、大きく分けて「ドメーヌもの」と「ネゴシアンもの」があります。
「ドメーヌもの」は、ブドウ栽培から醸造、販売までを一括で手がけるワインで、「ネゴシアンもの」は、ネゴシアンが生産者からブドウやブドウ果汁を買い取り、醸造、貯蔵して販売するものです。
ドメーヌものは、個性を出しやすい反面、悪天候や病害などで生産量が減る年も。対して、ネゴシアンものは安定してブドウを買うことができますが、味に個性を出しにくい面があります。
この「Les ATHLÉTES DU VIN(レ・ザスレット・デュ・ヴァン)」というワインシリーズはいわゆるネゴシアンもので、ブドウはロワール沿岸に拠点を置くワイン生産者やブドウ農家のグループ「VINI BE GOOD(ヴィニービーグッド)」から購入しています。
訳すと「ワインアスリート」となるこのシリーズは、「VINI BE GOOD」の人びとの通年の働きぶりを見て、「これこそ真の“ATHÉLETES(アスリート)”ではないか!」という発想から生まれました。

スポーツとワイン瓶を絡めたユーモラスなイラストを手がけるのは、ビオワイン界で有名なデザイナー、ミシェル・トルメーさん。生産者が取り組むスポーツをヒアリングして、イラスト化したものもあるそうです。

ナチュールワイン界ではややネガティブなイメージもあったネゴシアンものですが、近年では「Les ATHLÉTES DU VIN」のようにユニークなコンセプトで、おいしくてカジュアルなワインを展開するところが増えています。
どんな味ですか?
ボージョレー・ヌーヴォーと同じブドウ品種「ガメイ」の赤ワインは、イチゴやラズベリーのような香りと程良い酸味が軽やかです。皮が薄くタンニンが少ないので、味に骨格のあるピノやカベルネよりも親しみやすいと思います。昨今、世界的な健康志向の広がりで、素材の味を生かしたシンプルな食事が好まれる傾向にあり、ガメイのような飲み心地のいいワインは人気です。
飲んでみました。
渋くてどっしり重ための、唇が赤くなるような赤ワインが苦手で、しばらく敬遠していたのですが、このワインはベリー系の香りがフルーティーでフレッシュ! 少し冷やせばさらに爽やかで、野口さんの「昼からでも飲める“赤”」の言葉に納得。赤ワインといえば肉や濃厚ソースの料理と合わせるイメージでしたが、このワインなら和食にも合わせられますね。


今週のワイン
ガメイ 2019
産地:フランス・ロワーヌ
2,600円(税抜)
salvis wine & records
[天満橋]
大阪市北区天満3-3-18 順源ビル1F
TEL 06-6356-7072
12:00〜20:00 水曜休
Instagram(@salvis_wine)
店主・野口一知さんがセレクトする小さな作り手のワインと、好きな音楽のレコードを扱う専門店。ワインはヨーロッパを中心に約200種を扱い、その約8割がナチュールワイン。知識ゼロでも、味の好みや飲む相手などを伝えれば、ぴったりのワインを教えてくれる。奥には隠し部屋的なバー空間があるのでぜひお尋ねを。全国発送可。
プロフィール
MeetsRegional編集室 1989年創刊以来(今年で31年目突入!)、関西の街をフォーカスし続けるリージョナル・マガジン。編集部員をはじめ、誌面に携わるさまざまなスタッフが自分の足で探してきた店や人、モノやコトを、私感たっぷりにご紹介。街や酒場の“ゴキゲン”を言い訳に、どうにも飲める(飲み過ぎる)スタッフ多め。現在、「WE♥酒場」をキャッチフレーズに、酒場にまつわるエトセトラを12カ月連続で特集中。毎月1日発売。
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