大阪・阿倍野に開業「亜笠不文律」が目指す、令和の新たな「町の本屋さん」とは?

3時間前

本屋「亜笠不文律」店に入る前から情報量多め!

(写真13枚)

近年、規模の大小問わず書店の閉店が相次いでいる。2月28日には遊べる本屋「ヴィレッジヴァンガード本店」閉店のニュースが大きな話題に。日本における書店の数は現在ピーク時の3分の1以下となる一方で、近年、都市部を中心に個人経営の独立系書店がじわじわと数を増やしている。店主の趣味嗜好を反映し、客層を定めた業態は、独自性の高い店づくりからコアなファンを生む傾向にある。

2025年3月31日に開業した本屋「亜笠不文律」(大阪市阿倍野区)は、現在、大幅に減少している「町の本屋さん」をベースに、カフェや独立系の要素を併せ持つ書店として地域住民とカルチャーを結びつけ、注目を集めている。今回は、同店の店主であるアガサ・ジューンさんにお話をうかがい、前後編でお届け。前編では、開業までのエピソードや最新書店業界事情を、同店の魅力やこだわりとともに、紹介する。

取材・文・写真(一部)/伊東孝晃(赤犬 タカ・タカアキ)撮影/Lmaga.jp編集部

本屋「亜笠不文律」
赤犬のボーカル タカ・タカアキとしての活動でも知られる、ライターの伊東孝晃が本屋「亜笠不文律」を徹底取材

◆ 「もう自分で店を作るしかない」二極化する書店業界の「中間地点」とは?

「亜笠不文律」のオーナーであるアガサさんは、2000年代初頭から18年間にわたって大手書店チェーンに勤務。その他にも校正・校閲をはじめ、本に関わる様々な職種を経験している。2021年頃から自身で書店の開業を考えるようになり、2024年の大晦日で勤務先の書店を退職。本格的に準備に入るが、開店までには様々な紆余曲折があったという。

店内には雑誌から小説、コミック、実用書まで幅広い本が並ぶ
店内には雑誌から小説、コミック、実用書まで幅広い本が並ぶ 本屋「亜笠不文律」

「もともと独立するつもりはなかったのですが、当時の業界を見ていると、理想とする店で働くには、『もう自分で店を作るしかない』という結論に至りました。私は、漫画や雑誌、小説などが揃い、さまざまな情報にアクセスできる“町の本屋さん”に子どもの頃から通い詰めていたので、やるならその業態しかないと思っていたので、当時増えつつあった独立系書店の業態は考えていませんでした。ただ、そんな町の本屋さんがどんどん潰れ、書店業界では大型チェーンか独立系かという二極化が起こっていました。そこで、自分の金銭面や人手の状況を鑑みて、どのような業態ならやっていけるかを考えた結果、独立系と町の本屋さんの中間地点でいくという結論に着地しました。ただ、当時そんなお店は自分の知る限りなかったので、すべてがゼロからのスタートでした」

準備期間中も書店の厳しい状況は加速し、2023年度は前年度から577店もの書店が減少。実に1日に1店舗以上が閉店したことになる。そんな中、アガサさんは次のハードルである「物件選び」に直面するが、家賃やロケーションなど望む条件に当てはまるものは、なかなか見当たらない。3年もの時間をかけて内見を重ねた結果、阿倍野区の住宅街である北畠で、タバコ屋をリノベーションした長屋に行き着いた。

書店「亜笠不文律」
店の周囲にはスーパーや焼肉店、団地などが建ち並び落ち着いた雰囲気を漂わせている。雑誌なども幅広く扱う 書店「亜笠不文律」

「町の本屋さんを個人経営で成り立たせるには、やはり、ある程度の賑わいや本に対するニーズがある地域が良いと思っていました。そこで昔からなじみがあった北畠に行き着いたのですが、ここは住民の数も多くて子育て世帯からご年輩の方まで、年齢層のバランスも幅広い。『書店があってしかるべき地域なのにないな…』と以前から思っていたので、もう絶対にここだなと。タイミングよく理想的な物件に巡り合えたので、いろいろ運命を感じました」

(次のページは)◆ 「めちゃくちゃハードルが高い!」新規開業が極めて難しい書店業界の今

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