京都で開幕、ヤマザキマリの展覧会「恥を忍んで出した」…貴重な作品が集結

2時間前

内覧会にて山下達郎らの肖漫画前で、思い出エピソードを語った漫画家・文筆家・画家のヤマザキマリ(2月20日・京都市内)

(写真8枚)

京都駅ビル内「美術館『えき』KYOTO」(京都市下京区)で、開催中の展覧会『ヤマザキマリの世界』。漫画家・画家・文筆家として活躍するヤマザキマリの足跡を辿り、貴重な手描き原稿や著名人の肖像画など、多彩な作品が集結する。

■ 笑いから生まれた?『テルマエ・ロマエ』

展覧会『ヤマザキマリの世界』より、『続テルマエ・ロマエ』展示コーナー
展覧会『ヤマザキマリの世界』より、『続テルマエ・ロマエ』展示コーナー

17歳でイタリアへ留学して油絵を学び、さまざまな国での暮らしから、固定概念にとらわれない痛快な作品を生み出すヤマザキ。本展では自身が「たくさんの絵を描いている自覚がないまま、これだけたまっていた」という、幼少期のお絵描きや絵日記をはじめ、28歳で漫画を始めた頃の「恥を忍んで出した」という絵コンテも展示。

『テルマエ・ロマエ』など代表作の原画がズラリと並ぶ漫画コーナーが圧巻で、手塚治虫風ローマ人といった遊び心あふれるドローイングも。内覧会に出席したヤマザキは、1度は画家を断念して漫画家になった過去を振り返り「編集者から『写実からもっと遠く、目を大きくして、足の長い男女を描けませんか?』と言われてしまい」と少女漫画のフォーマットに試行錯誤したそう。

だが、同人誌のために、デッサンのタッチでローマ人を描いた作品が漫画家たちには好評で、「1番ラクに描け、これでいいのか!と気づいて。次回作に向け、ローマといえば日本と共通のお風呂。お風呂からローマ人がバシャっと出てきたら?とゲラゲラ笑って描いたのが、『テルマエ・ロマエ』の始まりでした」と明かし、「初めて自分が描きたい絵で、初めて描きたい世界」だったため、「このまま走っていける」と確信したという。

展覧会『ヤマザキマリの世界』より、『プリニウス』など人気作の原稿が勢揃い
展覧会『ヤマザキマリの世界』より、『プリニウス』など人気作の原稿が勢揃い
展覧会『ヤマザキマリの世界』より、ドラえもん誕生日&漫画連載55周年記念トリビュート企画の作品
展覧会『ヤマザキマリの世界』より、ドラえもん誕生日&漫画連載55周年記念トリビュート企画の作品

■ 山下達郎からの提案で、再び油絵の世界へ

展覧会『ヤマザキマリの世界』より、桐竹勘十郎(浄瑠璃師)、山下達郎らの油彩肖像画
展覧会『ヤマザキマリの世界』より、桐竹勘十郎(浄瑠璃師)、山下達郎らの油彩肖像画

漫画と並行して、画家時代に習得した画法を活かせるイラストの仕事も増えていき、多方面で活躍する存在に。本展には、国内外の情景を描いたエッセイカットをはじめ、シンガーソングライターの山下達郎、落語家の立川志の輔らの肖像画も展示され、暗い背景から人の顔が浮き出ているような独特の存在感を放つ。

ヤマザキは、山下から肖像画を依頼された際に「これだけ漫画と執筆・イラストで経済的に困らないなら、もう1度油絵に戻っていいんじゃないの?」と提案され、「校長室に飾ってある感じではなく、イタリアで学んだ画法で描いてほしい」とのリクエストも。作品はアルバムジャケットになり、周りからの「夜、目が光るよ」「音楽室に飾ってあるやつ」という反応がおもしろかったそう。

展覧会『ヤマザキマリの世界』より、4~5歳の頃のお絵描きも登場
展覧会『ヤマザキマリの世界』より、4~5歳の頃のお絵描きも登場

過去には画家を断念しつつも、「半世紀以上絵に向き合ってきた結果が、ぐるっとまわって、油絵に戻ってきた。私にとって人生の一節、そういう趣旨でご覧いただけるとおもしろいのでは」と呼びかけたヤマザキ。「体力を使う漫画は還暦でやめて油絵を描こうと思っていましたが、気づいたら来年還暦で。まだ進められていない漫画もあるので」と今後への飽くなき挑戦も垣間見れた。

展覧会『ヤマザキマリの世界』より、エッセイなどへの寄稿イラストも展示
展覧会『ヤマザキマリの世界』より、エッセイなどへの寄稿イラストも展示
展覧会『ヤマザキマリの世界』より、フォトスポット
展覧会『ヤマザキマリの世界』より、フォトスポット

展覧会『ヤマザキマリの世界』の開催は3月30日まで。時間は10時~19時30分(入館は閉館30分前まで)。料金は一般1100円ほか。

取材・文・撮影/塩屋薫

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