イッセー尾形「今はユーモアのない時代」…50年以上続ける“一人芝居”で伝えたいこと

4時間前

会見に登壇したイッセー尾形

(写真6枚)

映像でも舞台でも、主役でも脇役でも、数多くの名演伝説を残す俳優・イッセー尾形。彼のライフワークとなる一人芝居の新作が、今年も「近鉄アート館」(大阪市阿倍野区)で開催される。73歳の今もなお精力的に新作に挑む理由を、イッセーが事前会見で語った。

■ 「勝つ人よりも負ける人の方が、おもしろい」

今どきの金髪ギャルから昔気質の老人まで、文字通り老若男女を巧みに演じ分けた短編一人芝居を7本ほど上演する『右往沙翁劇場』。今回も、あやふやであることを正当化する上司や、デマを信じ込んだ老婆などが登場する予定だが、昨年の『右往沙翁劇場』で宮沢賢治の世界を取り上げたことで、現代の見え方が少し変化したという。

『イッセー尾形の右往沙翁劇場《番外編》銀河鉄道に乗って』(2025年)より。撮影:浅田政志
『イッセー尾形の右往沙翁劇場《番外編》銀河鉄道に乗って』(2025年)より。撮影:浅田政志
『イッセー尾形の右往沙翁劇場《番外編》銀河鉄道に乗って』(2025年)より。撮影:浅田政志
『イッセー尾形の右往沙翁劇場《番外編》銀河鉄道に乗って』(2025年)より。撮影:浅田政志

「原風景の日本の世界から現代に帰ってみると、なんと無味乾燥でユーモアのない時代なんだろうと。せめて舞台の上だけでも、そんな時代を笑い飛ばす力のある、たくましく生きている人たちを演じないといけないと思いました」と語り、なかでも「今の若い人は本当に素直だけど、実は世の中をあざむいていたら、それは怖いと(笑)。特に『心を動かすことができない若者』について思案中です」ということで、現代の若者気質を大きく反映した作品にも挑戦するそうだ。

会見に登壇した、イッセー尾形

一人芝居をはじめて50年以上経つが、未だに満足はできないという。「自分なりに『今はどういう時代なのか?』と仮説を立てながら作るけど、実際に演ると妥協したり、安全弁をかけることがあるので、なんとかそれを減らしたいと年々思います。もう『なにに負けたのか?』と反省ばかりの人生は嫌だ」と笑う。

それでも続ける理由として、「やっぱり、やってみなければわからないから。それに勝つ人よりも負ける人の方が、多様な理由や言い訳があっておもしろいし、その言い訳が宝物になりますからね」と明かした。

会見に登壇した、イッセー尾形
『イッセー尾形の右往沙翁劇場《番外編》銀河鉄道に乗って』(2025年)より。撮影:浅田政志
『イッセー尾形の右往沙翁劇場《番外編》銀河鉄道に乗って』(2025年)より。撮影:浅田政志

特に今回は「いい意味で、ゆがんだ現代人を笑ってもらえたら」という希望を。「これからどうなっちゃうんだ? という世の中だからこそ(キャラクターを)笑ってほしい。笑うというのは『これはおかしいことだ』と世界を認識できる、人間のとても大事な能力ですから。74歳の主観から見た、時代の海の波打ち際でチャプチャプしている人物たちを観ていただきたいです」と呼びかけた。

『イッセー尾形の右往沙翁劇場 2026 in 大阪』初演となる大阪公演は、4月10日~12日に開催。チケットは6000円で、2月8日から発売開始。

取材・文/吉永美和子

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