大阪で約2カ月間だけ…中之島美術館のオファーで実現した「日本初個展」

5時間前

内覧会で新作壁画『スノーデン』前に登場したサラ・モリス(Lmaga.jp撮影)

(写真8枚)

国際的アーティストであるサラ・モリスの日本初となる大規模個展『サラ・モリス 取引権限』が、「大阪中之島美術館」(大阪市北区)で開催中。大阪にゆかりのある作品や本展のために制作された大型壁画など、約100点が勢揃いする。

■ 念願だった「日本初個展」…絵画が約40点ほか盛り沢山

新作壁画『スノーデン』、サラ・モリス、2026、大阪中之島美術館にて制作(Lmaga.jp撮影)

1967年に英国で生まれ、ニューヨーク在住のサラ・モリスは、色鮮やかなグリッドによる幾何学的な抽象絵画で知られ、各都市を独自の視点でとらえた映像など多様な作品を制作。いずれも変わり続ける社会に目を向け、内在する経済構造が時に美しく、シニカルに表現されている。

(手前)『プール-ココウォーク[マイアミ]』、奥は『ミッドタウン』シリーズ(Lmaga.jp撮影)

同美術館は開館前に日本で初めてモリス作品をコレクションに加え、今回は念願だった日本初の個展が実現。本展では初期作品から最新作まで約40点の絵画、17点の映像作品ほか、ドローイングや関連資料など、約30年にわたる彼女のキャリアを網羅した内容となる。

(手前)コロナ禍のステイ・ホーム期の作品『ジレンマ[スパイダーウェブ]』など(Lmaga.jp撮影)

注目すべきは、本展のための新作壁画『スノーデン』。展示スペースに合わせて制作した縦・約6m、横・約19mもの大型作品は内覧会前日(1月29日)に完成したばかりで、この場所でしか鑑賞できない貴重な作品だ。多彩なカラーの直線や丸型が散りばめられた構成には、森や日本の寺院のイメージも込められているそう。

サイン絵画シリーズ『猛犬注意』『行き止まり』『666』『たむろ禁止』(Lmaga.jp撮影)

■ 学芸員も太鼓判、大阪ゆかりの絵画&映像も

大阪にちなんだ『黒松[住吉]』、サラ・モリス、2023、Kevin P.Mahaney Center for the Arts Foundation(Lmaga.jp撮影)

大阪ゆかりの作品も充実し、2017年と2018年に来阪したモリスは、松や「住吉大社」なのモチーフを取り入れつつも、古典的な「日本らしさ」にしばられない作品『黒松[住吉]』などを制作。天王寺に本社があり、世界最古とも称される建築会社にちなんだ『金剛組』も独自の着眼点が発揮された一作。

2018年に関西などで撮影され、文楽の劇場や「サクラクレパス」工場内部、大阪の街や人々の様子などが映し出される映像作品『サクラ』も鑑賞できる。2019年の開館プレイベント以来の公開となり、主任学芸員の中村史子さんは「大阪の見慣れた光景の中でも、住民が見落としているようなものを素早くとらえている」と太鼓判を押す。

関西を撮影した映像作品『サクラ』なども上演。『サクラ』、サラ・モリス、2018、大阪中之島美術館(Lmaga.jp撮影)

■ サラ・モリスが語る「取引権限」の意味とは?

内覧会で日本初の個展への感謝の思いを語ったサラ・モリス(Lmaga.jp撮影)
内覧会で日本初の個展への感謝の思いを語ったサラ・モリス(Lmaga.jp撮影)

ほかにも、代表作が勢揃いし、規則正しく並ぶ窓が印象的な『ミッドタウン』シリーズは、実在するビルが持つ物語を通して、経済状況の流れを表現。世界の都市・マイアミ、リオ、香港などがテーマの作品では文化や社会構造を浮かび上がらせ、その一方でコロナ禍のステイ・ホーム期に蜘蛛の巣というミクロな世界に着目した「スパイダーウェブ」シリーズなど、多角的な視点が魅力だ。

1月30日の内覧会に出席したサラ・モリスは『取引権限』というタイトルについて、「日々どのような関係性に関わっているのかを考えてもらうため。私たちの関係性には分単位で変化する契約が含まれていて、アートもその一部。アートには経済的な力ではないパワーがあり、権限や影響力としての力がある。それがアートの持つ取引権限だと思う」と述べた。

『サラ・モリス 取引権限』開催期間は4月5日まで(月曜・2月24日休館、2月23日は開館)、時間は10時~17時(入館は16時30分まで)。料金は一般1800円ほか。

取材・文・撮影/塩屋薫

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