国宝で注目、映画館で「二人藤娘」を上映…玉三郎の舞をぜひこの機会に

2時間前

『二人藤娘』撮影:岡本隆史

(写真5枚)

歌舞伎の世界をテーマにした映画『国宝』の大ヒットで、これまでになく歌舞伎に注目が集まった2025年。歌舞伎の名作舞台を映画館で上映する「シネマ歌舞伎」で、『国宝』にも登場した『二人藤娘』が決定。実際に劇場に行く前に「本物の歌舞伎とはどんなものか?」を体験できる、絶好の機会だ。

ヤクザの息子・喜久雄(吉沢亮)が歌舞伎の世界に入り、梨園の御曹司・俊介(横浜流星)などの人々との愛憎に揉まれ、ときに地に落ちながらも、「人間国宝」と呼ばれる役者となるまでを描いた『国宝』。この映画のヒットによって、明らかに新たな観客が増えたと、歌舞伎関係者は口をそろえる。そのため最近の公演では、『国宝』に登場した演目が選ばれることが増えている。

映画「国宝」(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025 映画「国宝」製作委員会
映画「国宝」でのシーン (C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025 映画「国宝」製作委員会

しかしそれより以前に、歌舞伎はずっと映画館で上映されていた。それが今年で20周年を迎えた「シネマ歌舞伎」だ。古典の名作はもちろん、野田秀樹やいのうえひでのり(劇団☆新感線)などの現代演劇の演出家と組んだ新作や、アニメや漫画を題材にした2.5次元系の舞台まで上映。「歌舞伎には興味があるけど、劇場はまだ敷居が高い」と思っている人たちの入口となっているのだ。

「シネマ歌舞伎20周年記念リクエスト上映」は『二人藤娘/日本振袖始』に決定
「シネマ歌舞伎20周年記念リクエスト上映」は『二人藤娘/日本振袖始』に決定

そんな「シネマ歌舞伎」が20周年記念として、2026年2月に上映する作品のリクエストを一般観客から募集。その結果選ばれたのが『二人藤娘/日本振袖始』の2本立て公演だ。現代最高峰の女形と言われる坂東玉三郎が、中村勘九郎・七之助兄弟と、中村米吉という人気役者たちと組んで、2014年に「歌舞伎座」(東京都中央区)新開場杮おとし公演で上演している。

2人の藤の精が次々に衣裳を変えながらあでやかに舞う『二人藤娘』に、美しい姫君が恐ろしいヤマタノオロチに変貌するギャップに圧倒される『日本振袖始』。歌舞伎ならではの至上の「美」と迫力の「技」を大きな画面で味わえるのに加えて、シネマ歌舞伎では特別に舞台裏の様子なども紹介する。

特に本物の人間国宝であり、まさに天女が舞い降りたかのような美しさであらゆる人を魅了する玉三郎の舞は、この機会にぜひ味わってほしい。

『日本振袖始』撮影:岡本隆史
『日本振袖始』撮影:岡本隆史

『二人藤娘/日本振袖始』の上映は、2026年2月13日~19日。関西では「なんばパークスシネマ」(大阪市浪速区)、「MOVIX京都」(京都市中京区)、「Kino Cinema神戸国際」(神戸市中央区)などで上映予定。

『朧の森に棲む鬼』
『朧の森に棲む鬼』

2026年1月2日~22日は『朧の森に棲む鬼』(松本幸四郎主演版)、1月23日~2月12日は『朧の森に棲む鬼』(尾上松也主演版)を上映する。

文/吉永美和子

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