実は4時間半だった映画「国宝」…未公開シーン復活に期待? 李監督が言及

22時間前

作品の制作裏話などを明かした李監督(Lmaga.jp撮影)

(写真5枚)

上映時間約3時間の大作ながら、邦画実写の興行収入1位(173.7億円を突破)という記録を打ち立てた映画『国宝』の李相日監督、そして同作に携わった歌舞伎役者の中村鴈治郎、中村壱太郎が12月17日、「大阪松竹座」(大阪市中央区)でおこなわれたトークセッションに登場。作中の『二人道成寺』に関する裏話などを明かした。

■ 僕のなかではこの「2人の絆」だった(李監督)

任侠の家に生まれながら歌舞伎の道へと足を踏み入れた主人公・喜久雄(吉沢亮)の一代記を、ライバルであり盟友の俊介(横浜流星)をはじめとする様々な登場人物の人生とともに描いた映画『国宝』(原作:吉田修一)。

「壽 初春歌舞伎特別公演開催記念 映画『国宝』と『京鹿子娘道成寺』」の様子
左から李相日監督、横山英幸大阪市長、吉村洋文大阪府知事、中村鴈治郎、中村壱太郎(12月17日・大阪市内)

同作は3時間にも及ぶ大作だが、撮影を終えたばかりの当初はさらに長く、4時間半もの尺だったという。泣く泣くカットとなった部分が気になるところだが、李監督は「ブルーレイとかが出た折にはね、特典で…」と匂わせ、会場からは期待を込めた拍手が上がった。

またトークセッションの中盤には、壱太郎が「監督にとって、『道成寺』ってどういう作品なんでしょうか」と尋ねる場面も。

李監督は「すごいところから来ましたね…(笑)。歌舞伎だけのことを語るのは非常に難しくて、映画の物語といつもセットで考えているんですが」とコメント。

続けて「この道成寺の存在っていうのは、僕のなかではこの『2人の絆』だったんです。2人でやるからこその、映画のなかで存在する意義があって。ただ絆って多分綺麗事じゃなくて、いい時もあれば、その裏には嫉妬もあって。いろんなものをこう絡み合いながら、人生の絆の紆余曲折をこの演目ひとつで何かこう描けるなと思った記憶はありますね」と話した。

作中では、喜久雄と俊介が歌舞伎の演目『京鹿子娘道成寺』を元にした『二人道成寺』を演じるシーンが2回登場する。鴈治郎は「喜久雄と俊介がパッとアイコンタクトをするシーンは、もし歌舞伎役者にあの役を与えられていたら無かったシーンだと思う。歌舞伎役者同士だったら、ああいう絵にはならなかったかもしれない」と分析。

「壽 初春歌舞伎特別公演開催記念 映画『国宝』と『京鹿子娘道成寺』」の様子(Lmaga.jp撮影)
トークセッションでは作中に登場した「鐘」も設置(Lmaga.jp撮影)

また、振付などを担当した壱太郎は「(2人が)最初に演じてる道成寺と最後に演じている道成寺が、同じ道成寺なのに違うんですよね。それが歌舞伎の舞踊のなかで表現されてるというのが、本当に素敵で。さっきブルーレイの話がありましたが、ぜひ道成寺の部分は全部見てください!」と力強く呼びかけた。

取材・文/つちだ四郎

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