人間国宝は「喜久雄」じゃなかった? 映画「国宝」の裏話にどよめき

23時間前

「壽 初春歌舞伎特別公演開催記念 映画『国宝』と『京鹿子娘道成寺』」の様子

(写真5枚)

2026年1月より「松竹座」にておこなわれる『壽 初春歌舞伎特別公演』。そのプロモーションの一環として12月17日にトークセッションが実施され、映画『国宝』を手掛けた李相日監督、歌舞伎役者の中村鴈治郎、中村壱太郎が登壇し、作品の根幹に関する裏話を語った。

■ 中村鴈治郎「実は女物のサンダルを…」

「壽 初春歌舞伎特別公演開催記念 映画『国宝』と『京鹿子娘道成寺』」の様子(Lmaga.jp撮影)
「壽 初春歌舞伎特別公演開催記念 映画『国宝』と『京鹿子娘道成寺』」の様子(Lmaga.jp撮影)

任侠の家に生まれながら歌舞伎の世界に足を踏み入れた主人公・喜久雄(吉沢亮)の50年にも及ぶ凄絶な人生を描く映画『国宝』(原作:吉田修一)。11月25日時点で観客動員数1231万人、興行収入173.7億円を突破し、メガヒット作品として現在も全国の映画館にて公開中だ。

トークセッションに登場した鴈治郎は、同作に原作小説の段階から取材協力をしており、李監督から「『国宝』の生みの親のお一人」と評されている。映画では、とある理由から喜久雄に激しい怒りを見せることになる大物歌舞伎役者・吾妻千五郎役を演じた。

「壽 初春歌舞伎特別公演開催記念 映画『国宝』と『京鹿子娘道成寺』」の様子、李監督(Lmaga.jp撮影)
「壽 初春歌舞伎特別公演開催記念 映画『国宝』と『京鹿子娘道成寺』」の様子、李監督(Lmaga.jp撮影)

鴈治郎は、印象深いシーンとしてロビーで稽古をしている喜久雄の元に怒鳴り込んだ場面を挙げ、「履いているもの」に注目してほしいとコメント。「あれは家から飛び出してきたんで、目の前にあるものを履いていたんです。女物のサンダルを履いてるんですよ」と意外な制作秘話を語った。

息子である壱太郎も「やっぱりあれから、父がロビー稽古に来ると、緊張感が走るんですよね」と話し、同作の反響が歌舞伎界にも及んでいることを明かした。

「壽 初春歌舞伎特別公演開催記念 映画『国宝』と『京鹿子娘道成寺』」の様子
「壽 初春歌舞伎特別公演開催記念 映画『国宝』と『京鹿子娘道成寺』」の様子

また、作中では喜久雄とそのライバル・俊介(横浜流星)が「血筋と才能」をめぐり苦悩する場面も度々描かれた。それを受け、鴈治郎は「どっちを人間国宝にするかは決めていなかったらしいんです。書いているうちに、血筋がない方が人間国宝になった。初めは、もしかしたら俊介だったかもしれない。そうなれば結末も相当変わって、ラストもあのような終わり方じゃなかったかも」とコメント。

続けて「ドラマとしてどちらがいいかは別の話で、そういう書き方をしていた作品だったんだなっていう」と原作者・吉田から聞いたという裏話を明かし、会場をどよめかせた。

取材・文/つちだ四郎

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