初のM-1敗者復活戦へ…23歳の新星・生姜猫、準決勝の悔しさを胸に「燃えてます!」

2025.12.21 12:15

お笑いトリオ・生姜猫(左から川﨑、ケージュ、カンサイ:Lmaga.jp撮影)

(写真8枚)

『M-1グランプリ2025』敗者復活戦に挑む、2022年結成の若手トリオ・生姜猫(川﨑、ケージュ、カンサイ)。先日放送された『NHK新人お笑い大賞2025』では、コントとは言え、今回ファイナリストのヨネダ2000、豪快キャプテンに勝利し、結果は準優勝。「なんばグランド花月」(大阪市中央区)での『M-1』準々決勝でも爆笑をもぎとり、文句なしの準決勝進出を決めた。

一方で3人は「準決勝では、決勝に行きたいという気持ちが足りなかった」と振り返る。そんな生姜猫にあらためて、敗者復活戦に賭ける思いを訊いた。(取材・文/田辺ユウキ)

■ 初の準決勝も「なぜか全然緊張しなかった」(川﨑)

大阪府岸和田市出身、小学2年生からの幼馴染みだという3人
大阪府岸和田市出身、小学2年生からの幼馴染みだという3人(Lmaga.jp撮影)

──初めての『M-1』準決勝の舞台はいかがでしたか。

カンサイ:「NGK」での準々決勝が良すぎて、準決勝は正直、そのときみたいな手応えはありませんでした。準々決勝ではネタの最初からいい雰囲気があって、ネタをやりながら「ここからもっとくるぞ」とワクワクしましたから。

生姜猫のカンサイ、ネタについて「あんまりツッコミをさせない、否定させへんほうがおもしろいというか。3人の世界でやりたいんで」(Lmaga.jp撮影)

ケージュ:たしかに準々決勝は、僕らのキャリアの中でも異質というか、一番ウケました。でも東京での準決勝は、舞台に出て行ったときも「大阪の芸人が来たぞ」「知らんやつらが出てきた」みたいな空気を感じて、自分たちの中でハードルが上がって。漫才中は全力なので何も感じなかったですけど、終わってから「あまりウケてなかったな」って悔しさもあって、ちょっとイラつきましたね(笑)。

生姜猫のケージュ、「僕は2人に付き合ってあげている、盛り上げてあげている人って感じです」(Lmaga.jp撮影)

川﨑:準々決勝では自分のターンでまずバーンとウケて、あの瞬間に「俺、芸人やってるな」と実感が湧きましたね。準決勝はやっぱり周りの芸人もピリピリしていて。でも僕はなぜか全然緊張しなかったんです。その緊張感のなさが漫才中も出ていた気がします。衣装もジャージやし、お客さんも「ナメとんな、こいつ」となっていたんちゃうかなって。

生姜猫の川﨑、「僕みたいなヤツが一番パッと見、かわいそうって思われないんですよ」と自己分析(Lmaga.jp撮影)

カンサイ:そもそも準決勝に行けたことがうれしすぎて、浮かれていた部分はありますね。霜降り明星さんが3年目(2016年)で初めて準決勝へ行って、そこで敗退して、めっちゃ悔し泣きしてはったじゃないですか。僕らがそれくらいの熱い気持ちで挑んでいたかと言われたら、そこが足りていなかったです。

川﨑:「『M-1』の一員になれた」って、そこで満足したもんな。

ケージュ:準決勝で敗退したことはもちろん悔しいですけど…準決勝が終わって決勝発表までの空き時間、ヨネダ2000さんと東京観光へ行ったのは、ほんまに楽しかった!

──そうだったんですか(笑)。

カンサイ:決勝発表前、ケージュが「ヨネダさんと東京観光してきた!」と満面の笑みで帰ってきたとき、「あ、俺らは決勝無理や」と悟りましたね(笑)。

ケージュ:3人で決勝の願掛けをしたんですよ。近くにある船を見たら決勝に行けるみたいな、毎年あるみたいんですけど…(ヨネダ2000の)2人だけ行きましたね。僕もちゃんと見たんですけどね。

川﨑:決勝発表のときも、1組目のドンデコルテさんの名前が呼ばれたとき、カンサイが小声で「お前、ケータイの電源切ったか?」と小声で聞いてきたりして。あの場でそんなことを聞いてくるやつは絶対に名前呼ばれるわけないから!気持ちが足らなかったですね。

カンサイ:確かにな、アカンかったな…。やっぱり『M-1』は「優勝するぞ」という強い気持ちがないと決勝には行けないですね。決勝発表で、嬉しかったり、悔しかったりして泣いてはる芸人さんを見て「俺らとは気持ちの差がある」と痛感しました。

■ 「正解の最初になれる可能性がある」(カンサイ)

初の敗者復活戦への意気込みを語る生姜猫。「漫才のネタは川﨑のジャージ先行で作っていますね。このキャラをどう生かすか…。感覚で作っているところはあります」とカンサイ(Lmaga.jp撮影)

──ただ『M-1』ではまだトリオの決勝進出はないんですよね。3人以上は、2006年のザ・プラン9の5人だけで。

カンサイ:トリオって、まだ誰も見つけていない“決勝へ行くための正解”がある気がしています。コンビはある程度のパターンが出来上がっていますし、その中でめっちゃおもしろい人が決勝へ行っている。トリオの決勝進出がないってことは、漫才においてはその正解がどこかに隠れているはず。僕らからしたら、それがまだ見つかっていないのはデカいです。その最初になれる可能性があるんで。

ケージュ:トリオ漫才が難しいことに変わりはないと思います。コントはトリオが強いと思うけど、漫才は会話のやりとりをどうやってうまく見せるかなので。ただ僕らの漫才ってツッコミを作らず、幼馴染の3人でわちゃわちゃやっている感じ。よく僕が回し役みたいに思われるけどそれもちょっと違うし、めちゃくちゃツッコミを入れるのも自分が目指している芸人像ではないんです。そもそも誰かが「そんなんええわ」とかやったら、場が盛り上がらんじゃないですか。

川﨑:僕らの雰囲気って“ほこやか”じゃないですか。

ケージュ:ないよ、そんな言葉。

川﨑:なんて言うんですか…朗らかとにこやかを混ぜた言葉になっちゃいましたけど、お客さんも見ていてニヤけてしまうというか。普段も誰かがツッコミをいれるとかはなくて、一人がボケたらみんなそれに乗っかるんです。ネタでもそういう素の部分を生かしていますね。

インタビュー中の生姜猫(Lmaga.jp撮影)

──敗者復活戦でも、NGKでの準々決勝のようにハマれば、大爆発する予感がします。

ケージュ:さっき言ったように準決勝では、そこまで進めたことに満足しちゃっていました。でも敗者復活戦はマジで勝ちたい。決勝へ行って泣きたいです。泣けるくらい本気でやりたいです!

川﨑:めちゃくちゃ燃えてます。気持ちが足らんとか、そういうのは準決勝で学んだので。気持ちを高めて思いっきりやって、勝ちます。

カンサイ:あと、敗者復活戦のMCって齊藤京子さんなんですよね?それがマジでうれしいです…。

川﨑:っていうか決勝も、観覧席にめっちゃ有名な女優さんとかおるんちゃうん!? その人らに会いに行くという意味でも、敗者復活は絶対に勝たなあかん!

カンサイ:ヤル気の出し方は人それぞれですからね。「おもしろいネタをしたい」は当然やけど、僕は「齊藤京子さんに会いたい」です。

トリオ漫才での敗者復活戦は、2019年の四千頭身以来となる(Lmaga.jp撮影)

ケージュ:いや、3年目の若手芸人のモチベーションなんてまだそんなもんです。ただ、トリオで敗者復活戦を勝ち上がるなんてことがあれば、絶対にヒーローになれる。っていうかヒーローになります!

川﨑:年齢が22、23歳の結成3年目のトリオが敗者復活戦から決勝に行ったら、めちゃくちゃかっこいい。かっこいいところを絶対に見せるんで、楽しみにしていてください!

カンサイ:もちろん、日本中のみなさんに「おもしろい」と笑ってもらえるようにがんばります。

『M-1グランプリ2025』敗者復活戦の模様は12月21日・15時より、決勝戦は18時30分より放送される。

また12月31日の大晦日には、3人の所属する「よしもと漫才劇場」(大阪市中央区、通称:マンゲキ)で5時間公演「大晦日大祭典2025〜ダブルヒガシゲートからこんにちは!確かにお前の盆踊~りは、ヨヤクナッシングトゥーマッチ!大屋根ぇ~リングでワャクワャクカウントダウン!!~」を開催。詳細は同劇場の公式サイトにて。

  • LINE

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

人気記事ランキング人気記事ランキング

写真ランキング

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本