「追い込んで、追い込んで…」元宝塚花組トップ柚香 光が挑む『十二国記』

4時間前

『十二国記』への思いを語った柚香 光

(写真4枚)

元「宝塚歌劇団」花組トップスターで、俳優の柚香 光が「梅田芸術劇場」(大阪市北区)メインホールで、ミュージカル『十二国記 -月の影 影の海-』に挑む。10月2日に大阪市内で行われた会見では、「大好きな劇場です。ホールのシャンデリアが好き。あの空間でまたお客さまと一緒に時間を過ごせることがうれしい」と、宝塚時代から親しんだ劇場での新作に意欲をみせた。

そんな彼女の次回作は、小説家・小野不由美による大河ファンタジー小説が原作。累計1300万部、30年以上愛されてきた『十二国記』シリーズ初のミュージカル化は、原作ファンやアニメファンからも、注目を集めている。

宝塚歌劇団在団中から現在に至るまで、「ショースター」として、ステージで強い光を放ちながら、一方で、芝居での繊細な役作りや、原作の再現率の高さにも定評がある彼女に、『十二国記』でのストイックな役作りや、共演者たちとのエピソード、さらに阪急阪神不動産presents『エリザベートTAKARAZUKA30thスペシャル・ガラ・コンサート』についても、話を聞いた。

◆ 戦って、歌って、裏切られて…異世界転生し、戦う女子高生「ヨウコ」を演じる

「台本を読んで、ヨウコの試練や、自分の運命に対する向き合い方に、感銘を受けました。彼女のように、自分自身にストイックな歩み方をしたい」
「台本を読んで、ヨウコの試練や、自分の運命に対する向き合い方に、感銘を受けました。彼女のように、自分自身にストイックな歩み方をしたい」

──前回のお芝居は、劇団☆新感線45周年興行の『紅鬼物語』で鬼、次は『十二国記』でボロボロのセーラー服で戦う女子高生…ということで、運命に立ち向かうエモーショナルな役が続きますね。役作りはどのように進められていますか?

両方に共通するのは、自分の中にある「弱さ」がテーマになっているのではないかと思います。

『紅鬼物語』は、1人の女性で妻であり、母であり、娘であるといういろんな側面をもち、宿命を背負った役。存在することが許されない、いるだけで悪になる「鬼」という存在ながら、それでも愛する人の役に立ち、共に生きていきたい、という強い思いをもっていて…という役でした。弱さ、迷い、過ちを抱えながら、一生懸命生きている、そんな人生を描いてきました。

『十二国記』で演じる、ヨウコ(中嶋陽子)も、自分の弱さに向きあって、戦うというところは共通しています。

いたって平凡な日本の女子高生「陽子」がとある日、急に異界に連れて行かれ、そこから「絶対に帰るんだ」という気持ちをもって、剣を放さずに生き抜くために必死で戦っていくことになります。彼女が、過去の過ちや、自分の弱さから目をそらさずに、苦しみながら歩んで、自分とも敵とも戦い続ける…。

そんな「自分の弱さに向き合っていく」ということが、大きな軸になります。私自身も、自分の弱さを認めて、それに向き合って、成長していきたい。そう考えています。

──「剣を放さずに…」とおっしゃるとおり、殺陣の場面も多いとうかがいました。殺陣は宝塚時代にも経験されてきたとは思いますが、かなり体力が必要な舞台になりそうです。

本当にヨウコという役は、戦って、歌って、裏切られて。また戦って、歌って…ショックを受けて、落ち込んで、疲弊して…という感じです。ナンバーも多いですし、もう追い込んで追い込んで…かなり気合いが入っています。「中嶋陽子」が、とても過酷な状況なので。

──その「中嶋陽子」は、「陽子」と「ヨウコ」の2人で同じ人物となりますね。

異世界に行く前の「陽子」を演じる加藤梨里香さんが、とってもかわいらしい方なんです。それが私になるわけですから、どんなに変わるの!?と(笑)それくらい、きっと「陽子」も、自分自身の変わった「ヨウコ」の姿に、びっくりしているだろうと思います。

視覚、それから声質などの問題だけでなく、中身は2人で一人で、同一人物であるという説得力をしっかりともたせたい。お客様に違和感なくご覧いただくために、丁寧にお芝居を作っていこうと思っています。

◆ 出会ってすぐに「和気あいあい」生まれたチームワークを温めて、作品づくりに

『十二国記』のカンパニーについて質問すると、制作会見の様子を楽しそうに話してくれた
『十二国記』のカンパニーについて質問すると、制作会見の様子を楽しそうに話してくれた。ストイックに自身の役作りをしながら、『十二国記』カンパニーのメンバーとのコミュニケーションについても大切にしている柚香 光

──2人で同一人物を演じられる加藤さんはじめ、その他のキャストの方とも、初共演となりますが、どんなカンパニーになりそうですか?

そうですね、これからお稽古がはじまるので、コミュニケーションをしっかりとっていきながら、みなさんとご一緒させていただきたいと思っています。

先日の製作発表(9月に東京で開催)で、4名の方(陽子役の加藤梨里香、楽俊役の太田基裕、牧島 輝、景麒役の相葉裕樹)と、はじめてお会いしましたが、すごく和気あいあいという感じで。実はあの時、みなさんと「はじめまして」と出会ってすぐ10分後くらいですね、本当に直後に、記者会見に臨む、という状況だったんです。

私以外は、それぞれこれまでにご一緒されていた、という方もいらっしゃったんですけど。それでも、会見前からすぐに打ち解けることができ、和気あいあいという現場になりました。

そんな共演者のみなさんや、演出の山田和也さんはじめ、すばらしいスタッフのもとで、『十二国記』という作品に挑ませていただけることが、改めて楽しみになりました。

──お稽古前から打ち解けていらっしゃるということで、これからが楽しみですね。

本当に「はじめまして!」なのに、すでに私も「なんか楽しい!」となっていますので、このチームワークを温めて、しっかりと作品づくりに活かしていきたいと思っています。

◆ 11年前に魅力を感じた役を再び『エリザベート ガラコンサート』への思い

──そして、今後の舞台ですが、『十二国記』の次は、『エリザベートTAKARAZUKA30th スペシャル・ガラ・コンサート』への出演も発表されました。トートとルドルフの2役を、再び演じることになりますね。

すごく光栄です。今このタイミングで演じられることが嬉しく、本当に大切に演じていきたいと思っています。2014年当時に演じさせていただいて、すごく魅力を感じたお役で、出会わせていただいたのがありがたいと、ずっと思っていました。

──その後柚香さん自身、さまざまな経験を経ての『エリザベート ガラコンサート』を、ファンのみなさんも楽しみにされていると思います。

そうですね、早いもので、あれから10年以上経ちます。また同じお役に再会できるのが、とても楽しみです。今回は、フルコスチュームバージョンもありますし、お客様にもまるでエリザベートの世界に飛び込んだ、と思っていただけるくらい、いかになりきって演じるか…。そこを課題にしていますし、自分自身が楽しみにしている部分でもあります。

──お話ありがとうございました。これからもいろいろな柚香さんを観られるのが楽しみです。

さらに今後も舞台『ハムレット』に出演。話題作への出演が続く柚香 光
さらに今後も舞台『ハムレット』に出演。話題作への出演が続く柚香 光

ミュージカル『十二国記 -月の影 影の海-』は、2026年1月17日~20日に「梅田芸術劇場」(大阪市北区)メインホールにて上演。その他、東京、福岡、愛知でも上演される。詳細は公式サイトで確認を。

【柚香 光(ゆずか れい)プロフィール】

2009年宝塚歌劇団95期⽣として初舞台。その後、花組に配属。2014年宝塚歌劇団花組『エリザベートー愛と死の輪舞ー』の本公演で、ルドルフとジュラを役替わりで、新人公演で主演のトートを演じる。2019年11⽉25⽇、花組トップスターに就任。宝塚在団中、『花より男子』『はいからさんが通る』をはじめ、数々の人気原作の舞台化を成功させる。2024年5⽉26⽇に宝塚歌劇団を退団。現在、舞台を中心に活躍。今後『十二国記 -月の影 影の海-』、阪急阪神不動産presents『エリザベートTAKARAZUKA30thスペシャル・ガラ・コンサート』、舞台『ハムレット』に出演予定。

撮影 /山下桂子 取材・文/Lmaga.jp編集部
協力/ホテル阪急インターナショナル Bar Ceres

  • LINE

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

人気記事ランキング人気記事ランキング

写真ランキング

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本