大阪と建築をもっと好きに!日本最大級の建築イベント、雨でも大盛況

外観にもこだわりが感じられる1930年建築の「生駒ビルヂング」(2025年10月26日撮影)
いまも実際に使われている、魅力ある建物「生きた建築」をめぐる、日本最大級の建築イベント『生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(イケフェス大阪)2025』が、今年も10月25日と26日に開催された。2017年より参加してきた筆者が、今年の模様をレポートする。
建築に詳しい人も、そうでない人も楽しめるこのイベント、2014年から大阪市内を中心に開催されている。回を追うごとに、「公式ガイドブック」(イベント内や大阪市内の書店などで販売)を片手にまち歩きをする人が増加。その魅力は、大正から昭和に建てられたレトロ建築や、こだわりの現代建築の内部を、原則無料で見学できることが大きい(事前予約のツアーなどに一部有料プログラムあり)。

レトロ建築の保存には、修繕や維持に多くの費用がかかる。それでも残すという決断をし、公開の手間や費用がかかっても文化的な価値を共有したいという、建物の所有者の想いによって『イケフェス大阪』は成り立っている。もちろん「イケフェス大阪事務局」のはたらき、ボランティア、会員・協賛企業などの協力があってのこと。この盛り上がりを受けて、『東京建築祭』や『京都モダン建築祭』、『神戸モダン建築祭』など、各地で建築を楽しむ取り組みもスタートしている(参加費は有料の場合が多い)。

同イベントでは、普段は事務所や店舗などに使用されている建物の内部を、ただ一般に公開するだけでなく、所有者や関係者が、自ら建物を案内したり、想いを語ったりする企画もある。そのため、より建物を身近に感じ、建築が好きになる人が多いのも特徴のひとつだろう。また参加が無料なので、「今年はこのエリアだけ」「この建物だけ」と1軒からめぐれる気軽さがある。
ときおり雨が降る開催2日目、26日の約4時間の間に、筆者が内部見学した建物は5軒、外観のみ見学したのは5軒だった。今回は内部見学をした建物のうち、船場・北浜エリアの3軒を紹介する。
◆ 万博ゆかりの体験も登場「日建設計 大阪オフィス」を見学
実はこのイベントの魅力は、建築だけではない。縁がなければまず入る機会がないような、設計事務所やゼネコンなども、事務所を公開している。今回まず最初に訪問したのは、10時にオープンした「日建設計 大阪オフィス」(大阪市中央区)だ。

使用するビル内の4フロアを公開し、創業125周年の大手設計事務所である同社が、これまで手掛けてきた多くの有名建築の設計図を展示。たとえば、「東京タワー」や「神戸ポートタワー」が建てられたときの手書きの設計図の横には、「神戸ポートタワー」改修時のCAD図面が並ぶ、といった具合で、多くの来場者が図面を熱心に見入っていた。

ほかに、ゲームのコントローラーのようなものを動かして、『大阪・関西万博』の会場内で、同社が設計したパビリオンを歩いてめぐる「建築アーカイブ体験」などがあり、こちらは順番待ちしている人もいるほど、人気となっていた。
本展示の企画をおこなった日建設計の取締役・勝山太郎さんは、「建物がどういうプロセスを経てできているのかを知っていただくことで、街や建物に、愛と関心が広がれば非常に嬉しい」と、一般に開かれている『イケフェス大阪』参加への想いを明かした。

◆ 中庭空間がひろがる、今年100周年の「船場ビルディング」
次に向かったのは、建てられてから今年100年になった「船場ビルディング」(大阪市中央区)。外観からは想像ができないような中庭がある内部空間が人気で、入場制限していることもあり、『イケフェス大阪』期間中は常に行列ができている人気スポットだ。

中庭をぐるりと囲む外廊下に面して、事務所やショップなどがならび、レトロでおしゃれな雰囲気。建設当時は荷馬車が乗り入れていたため、木レンガが敷き詰められた、幅の広いエントランスも特徴になっている。

館内への入場のために、列に並んでいた夫婦に話を聞いた。「建築関係の仕事でもなく、建物を見るのが好きだったわけでもないのですが、知り合いが毎年行っていて『良かったよ』って教えてくれて、去年初めて参加しました。大阪に住んでいても、仕事で通ってもあんまり建物って見ないじゃないですか。外観を見るだけでなく内部も見学できてすごく良くて。『船場ビルディング』は、去年は入らなかったのですが、今年は並ぶことにしました」と、すっかり『イケフェス大阪』にハマった様子。25日はボランティアとしても参加した、と教えてくれた。
◆ アール・デコが基調の「生駒ビルヂング」で、オーナーの建物への思いを知る
続いて紹介するのは、屋上に大きな時計がある生駒時計店の「生駒ビルヂング」(大阪市中央区)。アール・デコの外観も内部も、とにかくエレガントだ。

地下には、同ビルの設計図や歴史なども紹介・展示している。以前は予約制で見学ツアーをおこなっていたこともあったが、たくさんの人に見てもらえるように開放ゾーンを決めての公開に変更した。同店代表取締役会長の生駒伸夫さんが、来場者に建物の説明をするギャラリートークも開催している。

「こうして皆さんが来てくれるからこそ、我々は建物を残そう、という意思を確認できる。12時から17時までと見学時間は短いんですが、昨日(25日)も670人くらいが入られました。うちは同族会社ですから、建物を残すというオーナーの思いがあればなんとか頑張れる。周辺の建物の所有者とも『イケフェス大阪』で仲良くさせてもらっていて、そのなかでも『北浜レトロ』さんや『五感さん』(新井ビルに入居)は、建物にまったく関係なかった人が、物件を取得されたり借りられたりしている。その想いに、勇気をもらえますね」と生駒さん。

さまざまな人の想いが集まり、大阪のまち歩きイベントとしてすっかり定着した印象の『イケフェス大阪』。次回は、2026年10月24日と25日に開催することが決まっているので、今から来年のスケジュールをおさえておいてみては?
取材・文・写真/太田浩子
関連記事
あなたにオススメ
コラボPR
-
京都アフタヌーンティー2025年最新版、編集部取材のおすすめポイントも
NEW 10時間前 -
大阪クリスマスケーキ2025年、高級ホテルから百貨店まで
NEW 10時間前 -
大阪・関西ランチビュッフェ2025年版、ホテルの食べ放題を満喫
NEW 11時間前 -
大阪アフタヌーンティー2025年最新版、編集部取材のおすすめポイントも
NEW 2025.11.4 11:00 -
ミーツ御用達の7店舗で、期間限定の酒祭サーキット[PR]
2025.10.31 09:00 -
「人生最高の一杯」のため、小浜島に飲みに行ってきた[PR]
2025.10.30 20:00 -
神戸クリスマスケーキまとめ2025年、百貨店から高級ホテルまで
2025.10.29 12:00 -
大阪スイーツビュッフェ・リスト2025年版、ホテルで甘いものを満喫
2025.10.28 12:00 -
京都クリスマスケーキまとめ2025年、百貨店から高級ホテルまで
2025.10.28 11:00 -
活気と人情に満ちた、OMOろい旅 in 東京・大塚[PR]
2025.10.25 09:00 -
未来の「新大阪駅」南エリアを2日間限定で体験![PR]
2025.10.24 16:00 -
BBQなどの体験が、最大56%オフ!?大東市[PR]
2025.10.24 08:30 -
Osaka Pointでおいしくたのしく大阪めぐり[PR]
2025.10.23 16:00 -
華やかスイーツ!神戸のいちごビュッフェまとめ・2026年版
2025.10.20 14:00 -
華やかスイーツ!大阪のいちごビュッフェまとめ・2026年版
2025.10.20 11:00 -
秋は京都の知られざる「国宝」に会いに行こう[PR]
2025.10.15 18:15 -
【大阪・関西万博2025】半年間ありがとう!地元編集部が取材した人気グルメから穴場スポットまとめ
2025.10.13 11:00 -
淡路島の「日本酒」に注目!秋の旬と味わう旅へ[PR]
2025.10.10 17:00 -
港町の心地よさに浸る、OMOろい旅 in 函館[PR]
2025.10.7 16:00 -
現地取材で発見!知らなかった宇治の魅力【2025年最新版】
2025.10.1 08:30 -
神戸アフタヌーンティー2025年最新版、編集部取材のおすすめポイントも
2025.8.29 10:00


トップ
おすすめ情報投稿
Lmaga.jpとは
ニュース
まとめ
コラム
ボイス
占い
プレゼント
エリア






人気記事ランキング




写真ランキング






ピックアップ







エルマガジン社の本

