なぜ今、神戸でゴッホ展? 震災の地に「希望」感じる名作が20年ぶりに来日

『阪神・淡路大震災30年 大ゴッホ展 夜のカフェテラス』は神戸市立博物館で開催中
『阪神・淡路大震災30年 大ゴッホ展 夜のカフェテラス』が9月20日、「神戸市立博物館」(神戸市中央区)で開幕。初日は開場前から行列ができる盛況っぷりだった。同展ではゴッホの画業前半の作品に焦点をあて、南仏で描かれた傑作『夜のカフェテラス』は約20年ぶりの来日となる。
■「幸福」象徴する名作が、神戸を皮切りに福島&東京へ

オランダを代表する画家フィンセント・ファン・ゴッホと言えば、『星月夜』『種蒔く人』など、黄色と青色の鮮烈な色彩対比が印象的な作品を思い浮かべる人も多いのでは。本展の主役『夜のカフェテラス』も黄色のガス灯にまばゆく照らされたカフェと、星が輝く深い青色の空が目を引く作品。当時の西洋絵画では、夜空は黒や灰色で描かれることが多く、ゴッホの色づかいはかなり斬新という。
この1点のみが飾られている展示室の壁には、ゴッホの手紙から引用された言葉「僕らに必要なのは、陽気さと幸福感、希望と愛だ。」が記され、同博物館学芸員の塚原晃さんは「パリから南仏に活動拠点を移したゴッホは、アルルの澄みきった大気や鮮やかな自然に魅了され、画家として新境地を開きました。ゴッホが街頭で描いた本作は、理想郷での幸福な時期を象徴しているよう」と話す。

そんな「希望」が感じられるような作品名を冠した本展は、震災から30年の神戸で開幕し、2026年には東日本大震災から15年を迎える福島、東京へ巡回する。油井洋明館長は「ゴッホは生前にはほとんど評価されず、大変困難な生涯を送りましたが、作品や手紙からは芸術の力で立ち向かおうとする姿が見られます。震災の節目となる年に、絵画芸術の中に幸福や希望を追求した彼の人生に思いを馳せていただけたら」と呼びかけた。

■ オランダからアルルまで…57点で画業前半を辿る

本展のすべての展示作品は、ゴッホ作品において世界屈指の質・量を誇るオランダ「クレラー=ミュラー美術館」の所蔵コレクションから構成され、オランダ時代からアルルに至る画業前半の作品は57点。さらに、モネ、ルノワール、セザンヌら印象派をはじめとする同時代の画家らの油彩画など17点も鑑賞できる。

会場の第1章では、ゴッホが影響を受けたバルビゾン派、ハーグ派の作品5点が並び、ヨーゼフ・イスラエルスによる『ユダヤ人の写本筆記者』など、重厚な明暗対比がドラマチックな印象を残すものも。第2章では、1881年からのゴッホの初期作品が登場し、貧しい農民たちの実直な生活を綿密に描いた題材ほか、人物の頭部を描いた作品も多く、目を凝らさないと表情が分からないほどの逆光効果や明暗表現の実験的な試みが垣間見れる。

3章からはモネ、ルノワールらパリの画家による作品が展示され、印象派が台頭してきた当時の前衛芸術の世界へ。その鮮やかな色彩の影響を受けたゴッホ作品が4章のパリ時代で鑑賞でき、これまでのダークな色彩が一変。多彩な組み合わせの静物画や点描での風景画が目を引く。また、モデルを雇う資金がなく、パリ滞在中には25点もの自画像を描き、本展には背景や瞳に淡い青や緑が多用された『自画像』が登場。


最終章はアルルを代表する2作が、鮮烈な色彩で魅了。2027年2月に同じく「神戸市立博物館」で開催予定の第2期の『大ゴッホ展』では、名作『アルルの跳ね橋』が約70年ぶりに来日する予定で、そんな2期への期待が高まる内容となっている。
『阪神・淡路大震災30年 大ゴッホ展 夜のカフェテラス』の開催期間は2026年2月1日まで(年末年始など休館日あり)。時間は9時30分~17時30分、金・土曜は~20時(最終入館は閉館30分前まで)。料金は一般2500円ほか、土日祝は予約優先制。開催期間は近隣商業施設との相互割引サービスが実施される。
取材・文・写真/塩屋薫
『阪神・淡路大震災30年 大ゴッホ展 夜のカフェテラス』
期間:2025年9月20日(土)~2026年2月1日(日)
※休館日は月曜日、12月30日(火)~1月1日(木・祝)、ただし月曜日が祝日または休日の場合は開館し、翌平日に休館
時間:9:30~17:30(金曜と土曜は20:00まで)※最終入場は閉館の30分前まで
会場:神戸市立博物館(神戸市中央区京町24)
料金:一般2500円、大学生1250円、高校生以下は無料
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