なぜこんなに「宇治抹茶」が世界的に人気? 関西人こそ、今飲むべきな理由[PR]

3時間前

なぜこんなに「宇治抹茶」が人気なのか…海外観光客に1番の魅力を聞いてみた!

(写真20枚)

■ 自分で「薄茶」を点ててみたい…プロにコツを聞いた

では実際に抹茶を買って、もっともお茶の味がストレートに感じられ、かつ「茶筅(ちゃせん)」にしか出せない柔らかな口当たりを楽しめる「薄茶」を点てるのに挑戦してみたい。

教えてくれるのは、100年以上の歴史を持つ「山本甚次郎」の6代目山本甚太郎さん。茶園では、現在メジャーな「寒冷紗(かんれいしゃ)」と呼ばれる黒いシートを使った覆下栽培ではなく、昔ながらの葦簀(よしず)+藁で覆う「本簀(ほんず)栽培」だけをおこなっている。

100年以上の歴史を持つ日本茶栽培・販売店「山本甚次郎」の、6代目山本甚太郎さん
100年以上の歴史を持つ日本茶栽培・販売店「山本甚次郎」6代目山本甚太郎さん

「抹茶は敷居が高いと言われるけど、粉を溶くだけで飲めるから、実は急須で淹れるより手軽なんです」と言う甚太郎さん。初心者向きとして教えてくれたのが「最初に水で練る」という方法だ。

(1)2g(小さじ1ぐらい)の抹茶を茶碗にいれて、10mlの水を注ぎ、茶筅でダマをつぶしながらペースト状になるまで撹拌

抹茶とお湯の量のバランスが悪いと、きれいな泡が出ないそうだ

(2)そこに50mlの熱湯を注いで、ペーストを泡立てる

(3)茶碗の底に「川」の字を高速で書きつづけるイメージで1分ほどシャカシャカすると、表面が細かい泡に覆われてくる

(4)最後に大きな泡を潰しながら、茶筅で水面に「の」の字を書くようにして表面を整えたら、薄茶の完成

飲んでみると、まず鼻から抜けるような力強いお茶の香りに衝撃を受ける。そして昆布だしのような旨味と甘味、さらにはビターになる一歩手前の表現しがたいテイストなど、いろんなハーモニーが口の中に広がった

お店で販売されている「あさひ」の抹茶を飲むと、まず力強いお茶の香りが入り、つづけて昆布だしのような旨味と甘味が口に広がる。多くの抹茶スイーツやドリンクで感じる、苦みや渋みはほとんどない。さらに「いいお茶は後味が長いんです」と甚太郎さんが言うように、数分は旨味が口の奥に残る。

また「山本甚次郎」では、あまり市場には流通していない「碾茶」も販売。フレーク状の茶葉は、普通のお茶と同じように急須を使って抽出する。3gの茶葉に60~70度のお湯を40ml注いで、3分待ったお茶を飲んでみると「お吸い物じゃないの?」と思うほど旨味の感じ方がより濃厚。これを粉にしただけで、先ほどの抹茶になるとはちょっと信じられないほど、この2つは味わいが違っていた。

普通のお茶と同じように、急須を使って抽出。こちらも旨みに衝撃!

苦みと渋みが少なくて、甘さや旨味が際立っているのが宇治のお茶の特徴で、そのなかでも本簀・手摘みでしか作れない味や香りがあるんです。やはりいいものだから800年もつづいているわけですし、そこまで長くつづいている文化って、世界的にもめちゃくちゃ希少。特に本簀栽培は一度なくしてしまうと、復活させるのが大変なので、先人たちの偉業を次世代に伝えるためにも残していきたいです」と、お茶作りを継承する理由を明かした。

お茶の魅力を語る甚太郎さん。昨今の世界的な抹茶ブームは、やはり強く実感しているそうで…

■ 日本人こそ今、抹茶を楽しまないと損!?

さらに「最近店に来るのは、7~8割は外国の方。でも日本人も、世界の人が欲しがる物がすぐ手に入る環境を、楽しまないと損じゃないかと(笑)。大阪など関西の方は宇治も近いですし。今は茶筅も急須もない家が増えてますが、この機会に日本茶について顧みてほしいと思います」と希望を語る甚太郎さん。

また「茶づな」の中畑さんは、「最近は多くの外国人観光客がいらっしゃいますが、その目的は1人1人違うもの。お茶を点てたり、淹れたりする際の相手のうれしそうな表情や『おいしい』という声を求めて、いろいろと準備をして、なにが好きかを考える。そうして心を込めたお茶をお出しすることで、相手と気持ちが通じたり、本音でぶつかりあえたりするんです。そうやって自分と違う人たちと理解し合おうとするのは、お茶ならではのことだと思いますし、これからも敷居を作ることなく魅力を伝えていきたいです」。

お茶の「味」だけでなく、「コミュニケーションツール」にしてきた歴史や経験も、これからより異文化と交流する際に大事になってくるのでは、という話が印象的だった。

ちなみに「茶づな」でミュージアム入場する際に、スタッフにマイボトルを渡すと、ミュージアム見学中に給水ならぬ「給茶」をしてもらえる。なんと作り置きではなく、要望が入るつど丁寧にお茶を淹れているのだとか!「お出しするからには、美味しいものをお入れします」と中畑さん。こんなところにも、宇治の人たちのお茶への誇りが現れていた

浮世絵でもアニメでも、日本人が何気なく接していたものが、外国で爆発的な人気を呼んだことで「え、それってすごい物だったの?」と気付かされる例は、これまで数多くあった。それが今、「抹茶」の世界で起きている。

なかでも「薄茶」がほかのお茶と違うのは、じっくり茶碗に向き合わないと点てられないし、一気に大量に点てられるものではないから、なんとなく「ながら」では楽しめないということだ。

なにかとせわしなくてストレスも多い現代、じっくり腰を落ち着けて、生産者や製茶職人たちの伝統の技術が込められた深い味に向き合うことの大切さが、世界レベルで見直されているということかもしれない。

宇治茶について動画で学ぶならコチラを!

■ 10月5日に開催される『宇治茶まつり』って?

そんなわけで、宇治まで抹茶などのお茶を試しに行きたい! と思われたら、ぜひ毎年10月の第1日曜日に開催される『宇治茶まつり』へ。

宇治川畔一帯で開催され、中国から我が国に初めて茶種を持ち帰り、栽培を奨励した栄西禅師、それを譲り受け宇治に茶園を開いた明恵上人、そして茶道の始祖・千利休の三恩人への報恩感謝と茶業功労者の偉績を追慕するとともに、宇治茶の隆盛を祈願するためおこなわれている伝統行事。宇治川周辺にはお茶席が設けられる。

ぜひこの機会に、お茶が楽しめるまち・宇治へと出かけてみよう。『宇治茶まつり』に参加するなら、茶席や飲み比べ、抽選などに参加できるセット券(前売5000円、当日5500円)の購入がオススメだ。

開催日時:2025年10月5日(日)・9時~15時
開催場所:興聖寺・京都府茶業会館・宇治上神社

さらにこの日「茶づな」では、宇治茶クイズラリーや水出し茶の飲み比べ、手もみ製茶体験、クラフト工作、お茶を使ったおいしくヘルシーな料理など、親子で楽しめるコンテンツが盛りだくさんのイベント『【家族で楽しむ宇治茶体験in茶づな】~きょうとまるごとお茶の博覧会イベント〜』も開催される。入場無料。

取材・文/吉永美和子 写真/Lmaga.jp編集部
提供/宇治市観光振興課

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