「万博の待ち時間」きっかけで誕生…軽い携帯イスが商品化!? 

2時間前

代表取締役社長の松田さん自ら、実際に万博会場で段ボール製腰掛けを使用(8月末ころ)

(写真4枚)

閉幕まで残りわずかの『大阪・関西万博』(会場:夢洲)。いたるところに長蛇の列ができ、携帯イスがもはや必須アイテムとなっている。そこで来場者が段ボールでイスを自作したところ、偶然見かけたフランスの国宝的存在から絶賛! 今、商品化に向けて動いているそうで、いち早く取材した。

■ 軽くてちょうどイイ携帯イスが見つからない…

万博用の携帯イスは、軽ければ高さが低く、幾度となく立ったり座ったりするのが大変。高さがあるのは立つときに楽だけど、前者に比べると重くなりがち。また中には座っている最中にプラスチックが割れて、こけたというトラブルも。

そこで、この段ボールイスを製作した松田拓明さんは、「列に並んでいる時、ちょっとした腰掛けになれば」と、段ボールで折りたためて、高さがある軽い腰掛けを作って持参した。

その日、フランス館で同国の人間国宝にあたる称号「フランス国家最優秀職人(MOF)」を招くイベント『ボンジュール・フランス』が実施されており、フランスで100年続くガラス工房の3代目が興味を持ったのだという。

インスタグラムより。段ボール製腰掛けに興味を持ったガラス細工の人間国宝と一緒に記念撮影したという
インスタグラムより。段ボール製腰掛けに興味を持ったガラス細工の人間国宝と一緒に記念撮影したという

「『この日のために、昨日このチェアを作りました』と腰掛けを見せたところ、とても興味を持ち『座ってもいいか』と言われました。通訳の方からも『並んでいる人たちはみんな欲しがるんじゃないですか』とおっしゃっていただきました」と、松田さんは一緒に記念撮影も。

■ 段ボールならでは、スタンプ押して思い出に

当初、座面(座る部分)は200mm×200mm、高さ450mmとやや小さめに製作していたものの、一部分の強度が不足し破損。そこで座面を二重にした上で250mm×250mm、高さ400mmに改良し、強度をアップさせて改良した。

紙製ということで530gという軽さが特徴的で、持ち運びにも便利な段ボール腰掛け。一般的には「強度に欠ける」というイメージがある段ボールだが、アコーディオン状の構造設計により人が座っても十分な強度を持っているとか。さらに、処分する際もリサイクルに回せるというメリットもある。

段ボールでできていることから、万博の記念スタンプを押すといった楽しみ方も
段ボールでできていることから、万博の記念スタンプを押すといった楽しみ方も

製作者かつ実際に使用した感想として、「段ボールということで各パビリオンのスタンプを押すこともでき、万博ならではの思い出の品になりました」と振りかえる。

そして、実は松田さんは、創業50年の段ボール製造会社「山陽紙器」(大阪市西淀川区)の代表取締役社長。プライベートで作ったものの9月4・5日に大阪の『パッケージ展』で出展すると好評の声が続出した。

段ボール製だが強度は十分にあるという
段ボール製だが強度は十分にあるという

プラスチックダンボール(通称:プラダン)の加工も手掛けている同社とあって、提携先からは「段ボールは水に弱いので、水に強いプラダン製にすればアウトドアシーンでの需要も見込めるのではないか?」や「収納時には出来るだけ小さくしてほしい」という要望も出たそうで、意見を取り入れたプラダン製のポータブルチェアも開発。

松田さんは「段ボール製にも段ボールならではメリットや味があります。どういった形で発売するのかは検討中です。近々発売できればと考えております」とコメントしている。

取材・文/つちだ四郎

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