ギャップありすぎ!? 結成3年目で大躍進、お笑いコンビ・愛凛冴「誰も傷つけたくない」

2時間前

お笑いコンビ・愛凛冴(左から横山、玲二/Lmaga.jp撮影)

(写真9枚)

2026年春開催の『第15回ytv漫才新人賞決定戦』(読売テレビ系)。その出場権を賭けた戦い『ytv漫才新人賞 ROUND1』(9月14日放送)で惜しくも通過とはならなかったものの、漫才中のポージングと個性的な見た目で確かな爪痕を残したのが、愛凛冴(ありさ)だ。

コンビ自体は2023年8月結成だが、メンバーの横山、玲二はともに芸歴10年目。『ytv漫才新人賞』は今年度が最後の挑戦となる。結成して2年余り、愛凛冴とはいったいどんなコンビなのか?気になる2人に話を訊いた。

取材・文/田辺ユウキ

■ 「存在を知られるほど、裏切っていくことも重要」(玲二)

──『ytv漫才新人賞』には、2024年の「ROUND3」に続いて2度目の出場。あらためて、戦ってみての感想を聞かせてください。

1997年3月21日・兵庫県生まれの玲二(Lmaga.jp撮影)

横山:緊張感はもちろんあったんですけど、やりこんできたネタだったので、お客さんの反応を冷静に見ることができました。そのうえで、「自分たちの最高到達点には届かなかった」と感じましたね。目指していたのは、お客さんの口があんぐりとなったり、笑い声しか聞こえてこないっていう状況。普段の寄席と比べると、今回はちょっと難しかったなと。

玲二:前回大会の「ROUND3」は、テレビで漫才をやること自体が初めてで、緊張を感じながらも自分たちなりに良いパフォーマンスができました。でも今回はそのときほど緊張はせず、いろいろ冷静に見えすぎてしまったところに、逆に難しさを感じました。

1992年4月24日・大阪府出身の横山(Lmaga.jp撮影)

横山:お互いに「慣れた」というわけでは決してないんですけど、自分たちのなかでいろいろ鮮度を失っていたのかもしれないですね。僕らはネタの数も多い方ではないので、一つのネタをやり込める分、鮮度という壁に当たったのかも。先輩方はネタの管理みたいなものをしっかりされていると思いますし、「どのネタをやる?」といろいろ候補があって…という感じだと思うんですけど、僕たちはそこまで至らなかった。

玲二:特に僕らは見た目に特徴がある分、存在を知られれば知られるほど、それを裏切っていくことも重要。あと今回、審査員の哲夫さん(笑い飯)に指摘されたんですけど、僕の方の主張が強くて、(鑑賞者が)横山くんに目を向けるタイミングが遅れるというのはすごく納得できました。コンマ何秒の世界ですけど、そういうところも落ち着いてやっていきたいですね。

コンビ結成し2回目の挑戦、2024年の『M-1グランプリ』では準決勝まで進出した2人(Lmaga.jp撮影)

──ただ、お2人の見た目の主張の強さなどに目がいきますが、哲夫さんが「(ネタが)大胆なように見えて緻密」とおっしゃっていたように、しっかり作り込まれているネタだと思いました。

横山:ネタは2人で考えていますが、計算して作っているところはあります。数多のおもしろい芸人と戦わなあかんので、普通のことをしても通用しない。見た目もネタも、あれこれと考えて行き着いたのが今のスタイルなんです。

玲二:お互いに前のコンビではどちらかというとオーソドックスなネタをやっていたんです。でもそれだと、相当な技術がないと上に行けないなっていうので。誰でも言えることを言ってもしゃあないっていうのと、一応、誰も傷つけたくないので…そういうネタを意識して作っています。僕らにしか言えないような愛のあるワードを使って、「そう言われたら、そうやな」と感じてもらえる漫才をやりたいんです。

──コワモテで豪快な見た目やイメージとは異なるスタイルですね。

「今のスタイルが好きですけど、今後また違うことをするかもですし…この先どうなるかは楽しみかもしれないですね。柔軟でありたいとは思います」(Lmaga.jp撮影)

玲二:見た目に関しては、僕自身、普通にしているとなんの特徴もないんです。だったら自分が好きなものを身につけて、好きな髪型をしようって。そうしたらこうなりました。あと、そもそも僕はこれを格好いいと思ってやっています!

横山:僕も前のコンビでは普通の見た目で、普通の漫才をして…それで6、7年やってきて、芸人としてなにも起こらなくて。そのコンプレックスじゃないですけど、「ちょっと目を引くものをしてみようかな」と。そんなとき玲二と組むことになって、彼が100点満点の見た目だったから、「じゃあ僕も100点に近づけて、2人で200点を目指そう」という意味でクセのある感じにしました。今のところ、この見た目は得をすることしかないですね。

「ファーストインパクトから裏切っていかないとアカン。もっと派手な方が、借り上げの幅を広げた方がいいんか…って、裏切りを求め続けています」(Lmaga.jp撮影)

玲二:僕は、いかつい見た目ですけど声が高いので、そのギャップで笑ってもらえます。年々声が高くなっていて、なんなら中二のときより声が高いんです。

──玲二さんは、この取材部屋に入ってくるときもわざわざちゃんとサングラスを外して、「よろしくお願いします、ありがとうございます」と低姿勢で来ましたもんね。なんというか、「そうじゃないですよ」感がすごかったです。

玲二:そうなんです。この綺麗な目を見ていただいて(眼鏡を外す)…「普段はそうじゃないんですよ」って。ただ舞台に上がるときは華やかな方がいいですし、それを演出していきたいです。

インタビュー中の玲二(Lmaga.jp撮影)

横山:僕も昔っぽい長髪で、この前「昔のJリーグの選手みたいな見た目やな」って言われたです! 今まで見た目でなにかに例えられることがなかったので、そのとき自分のなかの歴史が動いたというか。「この見た目は間違いなかったんや」と。

インタビュー中の横山(Lmaga.jp撮影)

玲二:あと、コンビ名もめちゃくちゃかっこいいでしょ? 最初はコンビではなくユニットから始めたんですけど、打ち合わせをするために2人で集まった梅田の渋い喫茶店の名前が「アリサ」だったんです。お互いに芸歴も重ねていて、いまさら凝ったユニット名を考えるのがちょっと照れ臭さかったから「ここの喫茶店の名前でええんちゃう?」って。ただ、カタカナや平仮名だとさすがに特徴がないから、僕がかっこいい漢字を三つ当てさせてもらいました。正直、かなり気に入ってます。

■ 「やっと要領が分かるように、ギアをあげていきたい」(横山)

──『ytv漫才新人賞』は、コンビなどのメンバーの誰かが芸歴10年を越えると出場資格を失います。つまり芸歴10年目のお2人は今大会がラストイヤーになりますね。

横山:自分が学生のころ見ていた賞レースに出ているっていうのが未だに信じがたくて、本当に光栄です。もちろん優勝したいですけど、とにかく「ROUND」を盛り上げたいですね!あとは今、劇場に行くと先輩方にカウントダウンをされるんですよ。「ROUND1」は敗退したので、次は「ツー!」って言われると思うので…まずはその憎きカウントダウンを止めたいですね。

──決勝戦進出を賭けた「ROUND」は、あと2回あります。

横山:そうですね。2024年9月に「極メンバー」入りして、ここまではそれに食らいついていくことに精一杯でした。でも最近ようやく、どういう要領で活動していけばいいのか自分たちなりにつかめるようになったので、ギアをあげていきたいです。

──玲二さんはいかがですか。

玲二:まだ2回チャンスはあるんで、「ROUND2」に出させていただけるなら、なんとかそこで決めたいです。『ytv漫才新人賞』は、とにかくネタがおもしろければ、人気や知名度がなくても跳ねることができる、ネタをしっかり見てもらえる賞。これまで9年くらい仕事がまったくない状態で、ようやく少しですけど陽を浴びることができるようになってきました。自分たちの見せ方も分かってきたような気がするので、もっといろんなネタを作って、飽きられへんコンビになりたいです。

毎月「森ノ宮漫才劇場」で、ゲストの愛を借りてネタを強くするライブ『愛ゆえに』を実施中(Lmaga.jp撮影)

2人の出演する『ytv漫才新人賞 ROUND1』はTVerで見逃し配信中。『ytv漫才新人賞決定戦』は2026年春に放送予定。

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