映画「国宝」が大ヒット、市川團十郎「客席の雰囲気がいつもと違う」

2時間前

13代目市川團十郎(8月1日・Lmaga.jp撮影)

(写真4枚)

歌舞伎俳優・13代目市川團十郎が、古典歌舞伎の魅力をさまざまな形で紹介する『市川團十郎特別公演』を、10月10日~26日に「南座」(京都市東山区)で開催する。それに先立ち8月1日、團十郎が大阪市内で会見をおこない、「今まで歌舞伎を一度も観たことがない層を特に意識した」と、公演への思いを明かした。

■ 国宝ヒットで客席に変化?「肌で感じる」

歌舞伎界を題材にした映画『国宝』の大ヒットで「舞台に立っていても、客席の雰囲気がいつもと違うことを肌で感じる」と語った團十郎。アニメや漫画を原作にした新作歌舞伎も、最近の歌舞伎再評価の傾向を後押ししているが、今回は初心者にはとっつきにくいイメージが強い古典歌舞伎を、「古典と新作の中間」の感覚で観てもらうのが狙いだという。

「市川團十郎 特別公演」より
平成30年2月歌舞伎座『暫』 鎌倉権五郎=市川團十郎(当時・市川海老蔵)(C)松竹

昼の部は、仙台伊達藩の実際のお家騒動を基にした古典の人気作『三升先代萩』。團十郎が女役も含めて、7役を早替えで演じるのが見どころだ。「歌舞伎の三大狂言に匹敵するぐらいおもしろい作品。歌舞伎に詳しくないとわからないような部分をブラッシュアップして、より今の人たちにわかりやすく楽しめる古典にできれば」と抱負を語る。

 13代目市川團十郎(Lmaga.jp撮影)
13代目市川團十郎(8月1日・Lmaga.jp撮影)

■「『映画のアレじゃん!』となるのでは」

夜の部は、女形の華やかな舞踊作品『二人藤娘』と、三大狂言の一つ『菅原伝授手習鑑』の中から、「荒事」と呼ばれる猛々しい演技を楽しめる『車引』のシーンを上演。さらに團十郎が「東京2020夏季オリンピック」開会式でも見せた『暫(しばらく)』のこしらえ(扮装)が完成するまでを、すべて舞台上で見せていくというめずらしい試みも。

「『二人藤娘』は『国宝』にも出てきたので『映画のアレじゃん!』となるのでは。『車引』との間の休憩では、道具転換の様子をお見せします。裏で動く人たちも一体となって舞台を作るという、その仕組みを見せることも重要。こしらえも含めて、過程を見せることに楽しみを見出すプロセスエコノミーの要素があることを、一つの売りにしたいです」と、歌舞伎ファンでもめったに見られない光景を見せることをアピール。

また、総重量が約60kgもあるという『暫』の衣裳を、希望する客に着てもらう時間ももうけるそう。「60kgなんて普通は動けないし、体験してみたいという勇気のある人にはトライしてほしい。ただあのこしらえは狭いところに入れられているような感覚になるので、閉所恐怖症の人にはおすすめできないです」と、着たことがある人にしかわからない情報が。

 13代目市川團十郎(Lmaga.jp撮影)
13代目市川團十郎(8月1日・Lmaga.jp撮影)

さらに「歌舞伎は1回目に観たときに、楽しかったか・楽しくなかったのかがすごく重要。なるべく楽しいものを提供したい」と語り、「まず夜の部を観てもらって、興味が出たら昼の部を観るのがいい。『暫』はこしらえに20分ぐらいかかるのに、昼の部では10秒で早替えするというギャップに萌えてほしいですね」と、できれば両方の部を観劇することを呼びかけた。

團十郎のほかには大谷廣松、中村虎之介、市川九團次、片岡市蔵、市川右團次が出演。チケットは特別席1万6000円、1等席1万5000円、2等席8000円、3等席5000円で、9月9日から発売開始。京都の前に、福岡でも公演あり。

取材・文・写真(一部提供)/吉永美和子

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