神戸・モトコーのシャッターが再び開く…ディレクターは森山未來

10時間前

アートプロジェクト「MOTOKOLOGY」ディレクター・森山未來

(写真12枚)

再開発による解体を控える「元町高架通商店街」(神戸市中央区、通称:モトコー)を舞台にしたアートプロジェクトが7月よりスタート。ディレクターを務めるのは、俳優・ダンサーとして活躍する一方、神戸のアートシーンを活性化させる活動に力を入れている森山未來だ。

■ 「元町高架下」とはなんだったのか? 今一度考える

JR・阪神元町駅を出てすぐのところにある元町高架通商店街(モトコー)
JR・阪神元町駅を出てすぐのところにある元町高架通商店街(モトコー)

JR元町~神戸駅の高架下で、戦後の闇市からはじまったモトコー。時代を経るにつれて古着やレコードショップなどの個性的な店が並ぶようになり、アングラカルチャーやサブカルチャーの秘密基地と言える、神戸の隠れ名所の一つとなった。

「MOTOKOLOGY」のコンセプトについて語るディレクター・森山未來
「MOTOKOLOGY」のコンセプトについて語るディレクター・森山未來

しかし2010年代の後半から、再開発に向けて少しずつ店舗の立ち退きが進み、現在はシャッター街に。今回のアートプロジェクト「MOTOKOLOGY(モトコロジー)」は、この閉じられたシャッターを期間限定で再び開ける試みだ。

現在はシャッター街となっている元町高架通
現在はシャッター街となっている元町高架通

森山はこのプロジェクトを「一般的なアートイベントとは違って、アトラクションとして楽しむ即時的なイベントというよりも、元町高架下とはなんだったのか? を、いろんな人の視点から考えていくプロジェクト。この町にどういう記憶が積み重なっているかをいろんな所から掘り起こし、これからの町作りを考えていけたら」と、学術的な意味合いもあることを解説。

第1弾のイベント「モトコー・スタディ#1」ではかつてのモトコーのユニークさや、今後の希望像について語られた
第1弾のイベント「モトコー・スタディ#1」ではかつてのモトコーのユニークさや、今後の希望像について語られた

日本各地のアーティストに加えて、神戸市内の大学生やモトコーにゆかりのある人などの多彩なバックグラウンドの参加者が、いろんな場所を開放して作品を展示したり、ワークショップやレクチャーなどを開催。そこでの出会いや対話を通して、在りし日のモトコーの姿をリサーチしていく…さらに、その記憶をいかに未来に継承して、再開発後のモトコーに生かしていくのか? まで考えるのが狙いだという。

シャッターが開けられた元町高架通の元店舗
シャッターが開けられた元町高架通の元店舗

森山は、「今はシャッター街のこの場所を、また盛り上げていくみたいな物語を作れたらおもしろい。たまたま通りかかった人も含めて、それまで重なり合うことのなかった人たちが、モトコーを通じて重なり合う機会を創出できればいいなあと思います」と希望を語った。

日時計のアート作品「Sun of the City」作者の山田悠(左)と森山未來
日時計のアート作品「Sun of the City」作者の山田悠(左)と森山未來

初日の7月12日の時点では、映画『港に灯がともる』を手がけた映像プロダクションや、スティールパンの団体などが活動を開始。また現代アーティスト・山田悠は、道路沿いに設置されたままの看板を生かしたオリジナルの日時計「Sun of the City」を制作した。このあとには、格闘技のような即興パフォーマンスを行う「contact Gonzo」、様々な廃材をアートに再生する「副産物産店」なども作品を発表する予定だという。

「motokology」より、「Sun of the City (Kobe)」(撮影:山田悠)
「motokology」より、「Sun of the City (Kobe)」(撮影:山田悠)
「motokology」より、「Sun of the City (Kobe)」(撮影:山田悠)
「motokology」より、「Sun of the City (Kobe)」(撮影:山田悠)

主な会場となるのは、元町高架通1街区および2街区。会期は2026年3月31日までで、追加イベントについては随時公式サイトやSNSで発信する。モトコーに思い出がある人も「あのシャッター街、一体なんなの?」と疑問に思っていた人も、かつてモトコーが持っていたカオスな魅力の痕跡を探しに、足を運んでみて欲しい。

取材・文・写真(一部提供)/吉永美和子

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