2年連続の呪詛も盛り上がった、誰袖の闇落ち【べらぼう】

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第28回より。自害しようとする花魁・誰袖(福原遥)(C)NHK
江戸時代のポップカルチャーを牽引した天才プロデューサー・蔦屋重三郎の劇的な人生を、横浜流星主演で描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。7月27日の第28回「佐野世直大明神」では、政治パートの重大事件に引きずられて重三郎パートも重苦しくなるなか、思わぬ再会に喜びの声が。また呪詛のシーンでは、昨年の大河ドラマを騒がせたあの人の話題で、SNSが盛り上がった。
■ 葬列の石、墓所の幟が同一人物の仕業…第28回あらすじ
田沼意知(宮沢氷魚)が暗殺された頃、足抜をして農民となっていた小田新之助(井之脇海)とふく(小野花梨)夫婦が重三郎の元に現れ、ひそかに蔦屋で働くことになった。世の中が意知を殺した佐野政言(矢本悠馬)を「世直大明神」と称えるなか、重三郎は意知の葬列に最初に石を投げて、意知を悪者呼ばわりした大工(矢野聖人)と、政言の墓所に「大明神」の幟を立てた浪人が同一人物と見抜き、この出来事に裏があると気づく。

重三郎は黄表紙を使って、すでに切腹した政言への仇討ちができないかと考えるが、なかなか良いアイディアが出てこない。しかし愛する意知を失い、政言の親族を呪うようになった誰袖(福原遥)を見て、意知が生きていたらずっと笑っていたであろう誰袖の笑顔を取り戻すことが、自分のできる仇討ちだとひらめく。そこに絵師兼戯作者の北尾政演(古川雄大)が、特徴的な顔の男が大きく描かれた手拭合(本)の見本を持ってきた・・・。
■ 「生きててよかった~」新之助&ふく夫婦
頭も顔も性格も良くて地位もあるという、重三郎にとっては頼もしい存在だった田沼意知が悲劇的な形で退場し、冒頭から悲嘆に暮れることになった第28回。1週間の休みをはさんでからのドラマの再開が、いきなりの鬱展開だったため「2週間待たせてこんな地獄を見せるのか」的な、怒り泣きのコメントが冒頭から相次いだ。しかし天明の大飢饉直撃が視聴者から心配されていた新之助&ふく(元うつせみ)夫婦が重三郎の前に現れ、無事生還を果たしたのは、せめてもの幸運だった。

この朗報に対しては「新様! ふくちゃん! 生きててよかった~(泣)」「最初は働き手として歓迎されたけど、災害とかが起きると前の通りとはいかないから、追い出されてしまうわけか・・・」「新之助は読み書きできるし漢籍も読めるので、働き口がある。ほんと人脈とスキル大事」などの歓迎の声があふれたが、一方で吉原のお尋ね者である2人に「吉原から歩いて30分弱の日本橋大伝馬町に居て大丈夫?」という心配の声もあった。
■ 名探偵蔦重、気付いちゃダメな名推理
そして田沼意知と父の意次(渡辺謙)が、思った以上に庶民から目の敵にされていることを、この2人の言葉から察した重三郎。しかし意知の葬列に石を投げて、庶民たちの不満をすべて田沼にぶつけるように仕向けた大工と、佐野政言の墓がある寺に幟を立てて、いかにも彼が英雄であるかのように工作した浪人が同一人物というのを、重三郎は見抜いてしまった。この人の顔を覚える能力の高さ、さすが敏腕ビジネスマンだ。

さらに昔、平賀源内(安田顕)の遺稿となった戯作が「田沼様を悪人に仕立てようとする、本物の悪が存在する」という内容だったことを思い出し、あの戯作が絵空事ではなく、戯作の形を借りた告発文書だったとも看破。この驚きの展開に「源内先生の話が生かされるのアツすぎ!!」「ここで誰かが糸を引いていることに気付くの、名探偵蔦重すぎる」などのはしゃぐ声があった一方、「蔦重、そいつ絶対近づいちゃダメな奴!!」「首を突っ込みすぎるなよ。やられるぞ」など、魔の手がおよぶのを心配する声もあった。
■ 闇落ちの誰袖によって「2年連続呪術廻戦」
そうして自分の特技の本づくりを通じて、この状況をひっくり返す方法を模索し始めた重三郎だったけど、もう一つの大きなモチベーションとなったのが誰袖の存在だ。身請けされて、ようやく意知と安らかな日々を送れるかと思った矢先の悲劇。それだけでも十分辛いのに、殺した側の人間が褒められて、愛する人の死を誰も悲しもうとしないだなんて、吉原での暮らしに負けないほどの生き地獄だろう。

これにはSNSも「素敵な身請けをして誰よりも幸せになってやる! ってハングリー精神で、辛い仕事も今まで頑張ってきたのに・・・」「ただ誰袖が幸せになってくれればそれでよかったのに、一緒に花見もできないなんて」などの同情の声が相次いだが、その恨みを佐野政言の親族にぶつけて呪詛を行う姿には、前回の大河ドラマ『光る君へ』で視聴者を騒然とさせた、藤原伊周(三浦翔平)の呪詛と重ねるようなコメントが続々と。
「あ〜も〜また呪術!! 2年連続呪術廻戦!!」「大河準レギュラー、呪い様のお出ましです」「大河ドラマの呪詛は効かないって前作で実証されてるんだ。時間の無駄だぞ! 無駄な事はよせ!」「去年さんざん見た呪詛が誰袖の元でリターンズ・・・すごい、伊周より全然効きそう」「誰袖の迫力のおかげで2025年になっても『やっぱりアイツの呪詛効かなかったわけだよ』って私に蒸し返される伊周(笑)」などの声が上がっていた。
■ 「お口巾着」てい&北尾政演に癒やされる
意次に「意知の仕事を成就させるのが自分の仇討ち」と手紙で伝えられたことをきっかけに、「意知が望むこと→誰袖を笑顔にすること」が仇討ちになるとひらめいた重三郎。この手紙を興味津々で覗き見て(今だったら総理大臣から直接メールが来たようなものだし、仕方中橋)、お口チャックならぬ「お口巾着」しちゃう重三郎の妻・てい(橋本愛)には「今週唯一の癒やし」「かわいすぎ! なごみ萌」「もう今年の流行語大賞でいいのでは」などの絶賛の言葉が。

そして癒やしキャラ・北尾政演が、ここまでの重苦しいムードを一掃するかのようにライトに登場し、黄表紙の傑作の一つ『江戸生艶気樺焼』へとつながる手拭絵を持ってくる・・・という流れに「おお!」となった歴史マニアも多いだろう。現代なら漫画やアニメのヒーローになりたがるように、浄瑠璃作品に登場する色男に憧れる艶二郎という男が、金の力にあかして次々におかしな行動を取る・・・という、バカバカしさ満載の娯楽本だ。

これを佐野騒動とどう結びつけて、重三郎流の仇討ちにつなげるのかは来週のお楽しみだが、『江戸生艶気樺焼』の挿絵で描かれる艶二郎と、政言役の矢本悠馬はそこはかとなく似ているので、まさかこれが佐野役に選ばれた大きな決め手だったのだろうか・・・?
それはともかく、巧みなキャラ設定と演技で視聴者の憎悪を回避した政言役の矢本、ボンボン&エリートぶりが下手すると嫌味になりそうな意知を、最後まで好感度を崩さずに演じきった宮沢氷魚には、どちらにも大きな退場の拍手を送りたい。
◇
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。8月3日の第29回「江戸生蔦屋仇討(えどうまれつたやのあだうち)」では、重三郎が北尾政演の持ち込んだ絵をヒントに、新しい黄表紙作りに取り掛かり、鶴屋喜右衛門(風間俊介)が意外な形でその話に乗ってくるところが描かれる。
文/吉永美和子
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