錦織一清、主演・中山優馬を絶賛…戦後80周年舞台で演出担当

18時間前

舞台『あゝ同期の桜』大阪公演初日に、ファン限定プレトーク会に登場した演出・出演の錦織一清(7月26日・大阪市内)

(写真9枚)

戦後80周年特別企画の舞台『あゝ同期の桜』の大阪公演が、7月26日に「松下IMPホール」(大阪市中央区)で開幕。演出・出演の錦織一清がトークイベントに出席し、かつての事務所の後輩で主演の中山優馬を絶賛した。

■ 演出家&先輩の錦織「優馬を息子みたいに感じて…」

舞台『あゝ同期の桜』ゲネプロより
舞台『あゝ同期の桜』より。大阪に続き、8月には東京公演も開催(写真提供:アンクル・シナモン)

本作は、戦時下で苦悩しながらも、強く生きようとする若き特攻隊員たちの青春群像劇。海軍飛行予備学生14期会の遺稿集をもとにした劇作家・榎本滋民の原作を、上田浩寛の脚本で舞台化。錦織一清主宰「アンクル・シナモン」主催公演で、主演は俳優・歌手の中山優馬が務める。

舞台『あゝ同期の桜』ゲネプロより
舞台『あゝ同期の桜』より。大阪に続き、8月には東京公演も開催(写真提供:アンクル・シナモン)

舞台初日の2公演目前に開催されたファンクラブ限定プレトークでは、錦織が登場すると、客席から「ニッキ~!」と大歓声が。錦織は笑顔で「広い劇場ですから皆さんとは距離がありますけど、トーク(遠く)ショー!」と早速ギャグを飛ばして会場は笑いに包まれ、「本編は重いテーマもあるので、このひと時は楽しんでもらえたら」と和ませた。

舞台『あゝ同期の桜』大阪公演初日に、ファン限定プレトーク会に登場した演出・出演の錦織一清(7月26日・大阪市内)
舞台『あゝ同期の桜』大阪公演初日に開催された、演出・出演の錦織一清によるファンクラブ限定プレトーク会。時折、ジョークを飛ばし、ファンを笑わせた(7月26日・大阪市内)

演出家・錦織と脚本家・上田浩寛が「戦後にふさわしい作品はないか」とタッグを組み、10年前に東京で初上演された本作。今回の第4弾は大阪でも初上演され、錦織は「大阪はこれまでも数々の舞台で訪れていて、東京の次に滞在時間が長い都市だと思っていますから、好きな作品をやれるのは感無量。大きな作品になっていくきっかけになれば」と感慨深げ。

原作を手がけた榎本滋民は、最後の特攻隊と言われる海軍飛行予備学生14期の後輩・15期生で、先輩や同僚達が飛び立つ姿を見てきた人物。錦織と登壇し、本編について対談した上田は「彼の『軍に検閲を受けない生の声を知っていて、脚色できるのは僕しかいない』という言葉が印象的」と語り、錦織は「上田さんが10数名という少人数の役者でコンパクトに表現できる脚本にしてくれた」と明かした。

舞台『あゝ同期の桜』大阪公演初日に、ファン限定プレトーク会に登場した演出・出演の錦織一清(7月26日・大阪市内)
舞台『あゝ同期の桜』大阪公演初日に、ファン限定プレトーク会に登場した演出・出演の錦織一清(7月26日・大阪市内)

主演の中山優馬はかつて錦織と同じ事務所に所属していた後輩で、錦織が中山の主演を熱望。上田に「かっこいい関係」と褒められると、錦織は「僕には子どもがいないので、父性があるのかは分からないですけど、優馬を息子みたいに感じて何か嬉しいじゃないですか。昔、『あゝ同期の桜』の初演の時期に稽古場で会ったので、『優馬、やってくれよ』と軽はずみに言ったんですけど、今年念願が叶いまして。今回うれしかったのが、優馬の台詞まわしや目線の感じが、十数年会ってない間に、ちゃんとした役者の人生を歩いてきたなというのが見えて、感無量」と笑顔を浮かべた。

舞台『あゝ同期の桜』大阪公演初日に開催された、演出・出演の錦織一清によるファンクラブ限定プレトーク会。脚本家・上田浩寛(左)から「何時間も芝居の話ばかりしている」と褒められる場面も(7月26日・大阪市内)
舞台『あゝ同期の桜』大阪公演初日に開催された、演出・出演の錦織一清によるファンクラブ限定プレトーク会。脚本家・上田浩寛(左)から「何時間も芝居の話ばかりしている」と褒められる場面も(7月26日・大阪市内)

■ 戦時下でも必死に生きる青年らの人間ドラマ

舞台『あゝ同期の桜』ゲネプロより
舞台『あゝ同期の桜』より。大阪に続き、8月には東京公演も開催(写真提供:アンクル・シナモン)

本作は、戦争という重いテーマを扱いながらも、この時代を必死に生きる青年らの姿をいきいきと描いた人間ドラマ。特に前半は、中山優馬が演じる官立大学で成績主席の諸木をはじめ、個性的な学徒生らと元「純烈」の岩永洋昭が演じる庄司上等整備兵とのユーモアあふれる会話が展開され、客席から度々笑いが起こるあたたかな雰囲気。

舞台に広がる笑顔が印象的だからこそ、後半は彼らが「死」に向かっていく緊張感が加速。仲間の死や恋人、母との交流を経て、軍国主義での「捨て身の美しさ」に次第に疑問をもち、その心情がダイレクトに吐露される場面も。「咲けば必ず散る」などの生と死になぞらえた台詞の数々、そして空間が限られた舞台ゆえの戦闘機や滑走路を想像させる演出が、観客の感情を揺さぶっていく。

舞台『あゝ同期の桜』ゲネプロより
舞台『あゝ同期の桜』より。大阪に続き、8月には東京公演も開催(写真提供:アンクル・シナモン)

カーテンコールでは、中山が「この残酷ともいえる歴史については、まだ自分の中で答えが出ていませんが、唯一できることは、向き合って考え続けていく事だと思います」と力をこめて挨拶し、観客から大きな拍手が送られた。

舞台『あゝ同期の桜』ゲネプロより
舞台『あゝ同期の桜』より。大阪に続き、8月には東京公演も開催(写真提供:アンクル・シナモン)

『あゝ同期の桜』大阪公演は、「松下IMPホール」(大阪市中央区)にて、7月27日まで(12時~/16時30分~)。東京公演は「三越劇場」にて、終戦記念日を含む8月13日~19日の計12公演。料金は1等席・9800円ほか。

取材・文・写真(一部)/塩屋薫

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