テーマは「行方不明」、約10万人動員の展覧会が大阪に

2025.7.24 22:00

7月25日より大阪・本町にて開幕の『行方不明展』

(写真17枚)

「株式会社闇」と怪談作家・梨、そしてTVプロデューサー・大森時生氏が手掛ける展覧会『行方不明展』。東京・名古屋の2会場で約10万人を動員した同展が、大阪の「谷口悦第2ビル」(大阪市中央区)にて7月25日より開催される。

■「行方不明」がテーマ、なかには「嗅げる」展示も…

数々のホラーコンテンツを生み出してきた「株式会社闇」、モキュメンタリー番組『イシナガキクエを探しています』『テレビ放送開始69年 このテープもってないですか?』(テレビ東京)を手掛けた梨と大森による同展。

会場入り口に貼られた大量のビラ。早速読み込んでしまう
会場入り口に貼られた大量のビラ。早速読み込んでしまう

開幕に先駆けおこなわれた内覧会では、すでに『行方不明展』のメインビジュアルを使った看板が設置されており、ガラス窓には大量のビラがビッシリ。会場が本町のビジネス街なだけあり、通行人がちらちらと視線を送る姿も。なかにはビラをバックに記念写真を撮る家族連れもいて、周囲は独特な雰囲気を発していた。

まず視線が釘付けになる『公衆電話』
まず視線が釘付けになる『公衆電話』

同展はその名の通り「行方不明」をテーマにし、多岐にわたる展示物で構成される。写真や貼り紙、手紙といったじっくり読み込みたくなる展示物にくわえ、消息を絶った男性が遺した音声や、ある家庭から出てきたという香水など、実際に聴いたり匂いを嗅げる展示物も。

『ある男性が使用していた枕』
『ある男性が使用していた枕』

また、ある商店街に長年設置されていた公衆電話や、とある男性が30年使っていたという枕など、「こんなものも?」と驚くようなものも珍しくない。いずれも誰かが長年使っていたことが伝わってくる生々しい使用感があり、「この展示はフィクションです」というアナウンス通りあくまでフィクションなのだと理解しつつも、じんわりと「実在」を感じてしまうのが恐ろしい。

『空き家から発見されたペットボトル』
『空き家から発見されたペットボトル』

「展覧会」ということで、ホラー映画やお化け屋敷のようないわゆる「ジャンプスケア(突然大きな音や恐ろしい映像を出すことで恐怖感を与えるテクニック)」はない同展だが、見上げるような土の塊、台からこぼれ落ちるほどに積み上げられた旧式の携帯電話、タバコの吸い殻がみっしりと詰められたペットボトルなど、目にした瞬間思わず「うわっ」と声が出るような異様な展示も。

そしてキャプションを読み、それらにまつわる背景を知りもう一度ぞわりとする・・・。なんとも静かな恐怖がそこにあった。  

『複数の携帯電話』
『複数の携帯電話』

■ トイレや給湯室、まさかの場所も展示エリアに

また、トイレや給湯室、物置など、普通なら立ち入り禁止にするような場所まで展示エリアとして利用するのが同展ならでは。「まさかここは違うはず」と恐る恐る入ってみた先にキャプションが設置されていた時の驚きは、なかなか味わえない感覚だ。

「これは展示?」と疑わしいアイテムも
「これは展示?」と疑わしいアイテムも

そして会場を巡るうち、汚れた縄や写真、古びたゲーム機など、特に説明がないアイテムの存在にも気づく。これは展示の一環なのか、はたまた無関係な何かなのか・・・。次第に疑心暗鬼に陥り、現実との境目を見失うような展覧会だった。

普通のトイレと洗面所に見えるが、実はこちらも展示のひとつ
普通のトイレと洗面所に見えるが、実はこちらも展示のひとつ

『洗面台の写真』など、なかには大阪会場から展示方法を変えたアイテムもあり、同展を主催する「テレビ大阪」の事務局長・穴倉治さんは、「この世界観に合う会場をずっと探していました。たまたま今回の会場が見つかり、この夏に間に合いました」とコメント。会場も展示の一部と感じられるような同展、ぜひ実際に足を運び体感してみてほしい。

同展を主催する、テレビ大阪の事務局長・穴倉治さん
同展を主催する、テレビ大阪の事務局長・穴倉治さん

『行方不明展 大阪』は9月28日まで開催される。会場は、大阪メトロ「本町駅」の12番出口を出てすぐの「谷口悦第2ビル」。チケット料金は、大人2200円、小中高生1600円。

取材・文・写真/つちだ四郎

『行方不明展 大阪』

期間:2025年7月25日(金)〜 9月28日(日)
会場:谷口悦第2ビル1階(大阪市中央区久太郎町3丁目5-26)
時間:10:00~19:00(※最終入場は閉館30分前)
料金:大人2200円、小中高生 1600円

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