愛を確信した誰袖&意知に、SNSは祝福と悲鳴【べらぼう】

9時間前

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。田沼意知(宮沢氷魚)から扇をプレゼントされた花魁・誰袖(福原遥)(C)NHK

(写真9枚)

江戸時代のポップカルチャーを牽引した天才プロデューサー・蔦屋重三郎の劇的な人生を、横浜流星主演で描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。6月29日の第25回「灰の雨降る日本橋」では、重三郎&ていのカップルと並んで関係が注目されている誰袖&田沼意知の関係に大きな変化が。SNSではその展開に喜ぶ声と、このあとの出来事を予想して頭を抱える声が同時にあふれていた。

■ ついに抜荷に手を出した松前廣年…第25回あらすじ

田沼意知(宮沢氷魚)は重三郎を通じて、須原屋市兵衛(里見浩太朗)が預かっていた、松前藩の抜荷の証拠となる絵図を手に入れることに成功。さらに花魁・誰袖(福原遥)に請われて、ロシア産の琥珀の抜荷に手を出した松前廣年(ひょうろく)が、待望の品を誰袖の元に持ってきた。そこで廣年は誰袖に会うことを強く望んだため、誰袖は意知に身請けの責を果たすように告げて、廣年の元に行く。 

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。盗み聞きする田沼意知(宮沢氷魚)と花魁・誰袖(福原遥)(C)NHK

そのあと誰袖をたずねてきた意知は、誰袖への恋心を表現した狂歌を記した扇を渡し、これまで誰袖に手を出さなかったのは、好いた女に間者のような真似をさせることへの、自責の念が募るからだと告白。誰袖は意知に膝枕をして、2人はようやく深い仲になれた。一方将軍・徳川家治(眞島秀和)は、老中・田沼意次(渡辺謙)に、意知が蝦夷について本格的に差配ができるよう、若年寄に出世させることを提案する・・・。

■ 「蝦夷地上知大作戦」もいよいよ終盤へ

6月に入ってからずっと進行していた、田沼意次&意知親子による、スパイ大作戦ならぬ「蝦夷地上知大作戦」。松前藩の抜荷の証拠を探しつつ、花魁・誰袖を使って抜荷を実行させるという陽動作戦までやってのけたけど、なんとここに来て須原屋さんが、重要な証拠となる抜荷の絵図面を意知に進呈するという事態が。まあ須原屋さんが重三郎に見せた蝦夷の地図、あれは抜荷に関する物なんだろうなあというのは、カンのいい視聴者はとっくに気づいてはいただろうけど。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第23回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第23回より。重三郎に絵図を見せる書物問屋の主人・須原屋(C)NHK

しかしこの地図が、重三郎が吉原の人間ながら、市中の土地を購入する特例を認めるきっかけになるとは・・・もはや須原屋さんはメンターを通り越して神だ。SNSでも「とんでもないものをワイロにしてきたな」「ビジネスって人との繋がりが物凄く大事なんだなあってしみじみ思う」「アシストパワーが強すぎない!? いいのかこんなつよつよキャラがいて!?」という感心の声が集まっていた。

とはいえそれはそれとして、誰袖のハニートラップも進行中。誰袖の色気に目がくらんだ松前藩江戸家老・松前廣年が、思惑通り誰袖の元に琥珀を持ってきたけれど、1つ罪を犯したことで、彼の中のなにかが解放されてしまったのか「花魁は私に夢中のはずじゃ」と傲慢な言葉を投げかけることに。少し前までは兄の藩主・松前道廣(えなりかずき)とは違って無欲な芸術家肌だった廣年の、キャラ変が垣間見えた瞬間だった。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。琥珀の直取引について大文字屋と話す松前藩主の弟・松前廣年(ひょうろく)(C)NHK

これにはSNSでも「うわあ、松前のご家老、悪い自信がついてる」「ダークサイドに堕ちたな」「モテない男が勘違いしたときのセリフの定番じゃないですかやだー!!」「ひょうろく弟、兄弟でだいぶ性格違うんだな・・・と思ってたら威圧かけるシーンはちゃんとえなりかず鬼と兄弟だった」「サイコパスの弟もサイコパス」「やっぱり松前藩怖い」という嘆きのコメントがあふれかえった。

■ 髪結い前の誰袖に、恋に落ちる音が聞こえた

そして気心が知れたかに思えた誰袖&意知カップルだけど、ほかの女郎が意知にちょっかいをかけたときの、誰袖の過剰にバイオレンスな対応から、まだ男女としては深い仲になってないことが見て取れた。しかし誰袖が自信に満ちた花魁モードではない、まだあどけなさの残る一少女の素顔で意知と対面した瞬間、確かに意知から恋に落ちる音が聞こえた。そして宮沢氷魚も、このときの誰袖を見て「彼女を守ってあげたいと思った」とインタビューで語っていたので、どうやら幻聴でなかった模様。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。田沼意知を巡って喧嘩する花魁・誰袖。写真左から、誰袖(福原遥)、田沼意知(宮沢氷魚)、女郎・わかなみ(玉田志織)(C)NHK

SNSでも「ボンボン意知さまには色気が強すぎた誰袖ちゃんの髪結い前のお姿」「今まで誰袖に塩だったのに、ナチュラルメイクの花魁見てズギャンって来ちゃったってどんなピュアボーイやねん」「彼女の方は意知の前で醜い取っ組み合いや素の姿を見せて決まりが悪そうにしているけど、普段のようなあざとさが消え、恋する気持ちをそのままさらけ出したからこそ、意知の心を動かしたように思う」などの考察がされていた。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。田沼意知(宮沢氷魚)の腕を引っ張る花魁・誰袖(福原遥)(C)NHK

そしてついに、意知が誰袖への愛を自覚し、以前詠みそこねていた「袖に寄する恋」の歌をしたためた扇を誰袖に渡すときが! 前回の大河ドラマ『光る君へ』では、藤原道長が紫式部への強い愛情を表現するのに、扇が大事なアイテムとなっていたが、意知の扇に書かれた不器用な和歌もまた、彼の誠実な思いを見事に表現していた。受け取った誰袖も、その真心を大きな喜びとともに受け止めたことだろう。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。花魁・誰袖(福原遥)に膝枕をされる田沼意知(宮沢氷魚)(C)NHK

さらに意知が誰袖に膝枕されて「まずい、ひどくまずい」と、心とは裏腹に否定的な言葉を口にしながら彼女の顔に手を添えるシーンには「沼落ちする一歩前、というかもう落ちてる人の悪あがきなせりふ」「切なすぎて心臓えぐられる」「共に罠を仕掛ける共犯者であったはずの意知と誰袖がいつしか男女の情を通い合わせ、恋歌に恋歌で返歌する仲になろうとは・・・」などの感慨の声が上がっていた。

■ 「幸せの絶頂のあと」…史実を知る人は不安

両思いになって良かった良かった・・・と、史実を知らなかったら心から祝福できただろうに。このあとの意知に起こる事件を知っている人たちからは一斉に「二人は幸せなキスをして終了・・・になってくれよ本当にさあ(泣)」「オレ知ってる。幸せの絶頂のあとの森下佳子先生の人でなしな筆致を」「よし、ここで終わろう! ここで終わればハッピーエンドだからね!!!!」と、今から衝撃に備えるようなコメントが並んでいた。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。花魁・誰袖(福原遥)に狂歌を添えた扇をプレゼントする田沼意知(宮沢氷魚)(C)NHK

史実上でも、この時期に大金で身請けされた誰袖と、まもなく事件に巻き込まれる田沼意知。瀬川(小芝風花)を蔦屋重三郎と恋人同士に設定したときも思ったけど、思いがけない人たちをカップリングすることで、その人の行動の理由を強化したり、悲劇性をより高めるという化学反応を生み出した。しかも史実的には「まあ、なくもないな」というギリギリの忠実さを保ってるのだから、本当に森下佳子の配置の妙にうならされた。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第25回より。浅間山が噴火する様子を見る小田新之助(井之脇海)と元花魁のふく(小野花梨)(C)NHK

次回からは、農村で穏やかに暮らすことを誰もが祈っていた小田新之助(井之脇海)&ふく(小野花梨)にも、天明の大飢饉が直撃する模様。2人を農民にしたのはそういうことだったのか・・・とうなだれるような事態が、残念ながら起こるかもしれない。

そして来週は見事に、米不足や米価格の高騰が騒がれている2025年の世相と、完全にかぶるような展開となるようだ。これまで以上にドラマにリアリティを感じるとともに、今の米問題を乗り切るためのヒントのようなものが提示されることを、ひそかに期待している。

大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。7月6日の第26回「三人の女」では、田沼意次が米の値段を下げようと奮闘するところと、重三郎の元に産みの母・つよ(高岡早紀)が久々に姿を表すところが描かれる。

文/吉永美和子

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