観るべき!万博で来日、音楽ライターが選ぶ注目アーティスト5選

ウルグアイのウーゴ・ファトルーソ Hugo Fattorusoが、日本の打楽器奏者のヤヒロトモヒロと07年に結成したデュオのドス・オリエンタレスで登場
「万博」といえば、開催期間中に世界各国からその国を代表するクラスのミュージシャンたちが続々とがやってきて連日ライブを行った、というのは年季の入ったワールド・ミュージック・ファンにはよく知られてきたところ。
例えば、1970年に開催された「大阪万博」では、ご存じブラジルのセルジオ・メンデス、ポルトガルのファドの女王のアマリア・ロドリゲス、結成間もない頃のキューバの名門楽団のロス・バン・バンなどが公演を行い、90年に鶴見緑地で開催された「花博」こと「花と緑の博覧会」でもブラジルのカエターノ・ヴェローゾ、インドネシアのデティ・クルニア、アルジェリアのライの帝王ことシェブ・ハレドらが来日して貴重なステージを実現させた。
今回の大阪・関西万博でも、Lmaga.jpでも複数のライブ・レポート記事で伝えられてきたように、ポルトガル、チリ、インドネシア、アイスランドなどから、日本ではなかなか観られない大物や実力派が、各国のナショナルデーに合わせて出演。
音楽だけが目当てでも毎日通いたいような状況となっているが、6月後半以降もワールド・ミュージック~非西欧圏のポピュラー音楽に興味があるなら、是非ともチェックしておきたい来日アクトが数多く決定している。今回はその中からいくつかの今後の注目公演をピックアップしてご紹介しよう。
文/吉本秀純
◆ 6月後半、マストでチェックしたいのはこの日、このアクト
まず、南米のウルグアイがナショナルデーを迎える6月17日には、1960年代から同国の音楽シーンの第一線で活躍し、南米ジャズ~フュージョン界屈指のキーボード奏者/アレンジャーとして精力的な活動を続けるウーゴ・ファトルーソが、日本の打楽器奏者のヤヒロトモヒロと07年に結成したデュオのドス・オリエンタレスで登場する。
5月に9年ぶりのアルバム『Rombo』を発表し、現在は日本全国を回るツアー中のドス・オリエンタレスだが、この日は万博出演のために来日中のウルグアイが誇るアフロ系音楽=カンドンべに欠かせない打楽器であるタンボールの名プレイヤー3名によるBarrio Sur、近年にウーゴのパートナーを務め続ける女性打楽器奏者のアルバナ・バロカスと合流したスペシャル編成でのステージを実現。82歳を迎えてなおマジカルな創造性を失わないキーボード・マエストロの魅力と、ウルグアイ固有のカンドンべ・グルーヴの妙をたっぷりと堪能してほしい。
さらに、同じ17日には、ポルトガルの鬼才ギタリスト/キーボード奏者にしてジャズ、インディ・ロック、フォーク、エキゾチカなどを消化した多彩な「スペースエイジ・ポップ」的音楽性でジャンルを越えて支持されてきたブルーノ・ペルナーダスも万博会場内でライブを行うことが決定している。これまではバンド編成で来日公演を行ってきた彼だが、今回はゲスト・プレイヤーにアルト・サックス奏者のホセ・ソアレスだけが加わるソロ形態でのパフォーマンスを予定しており、ギタリストとしての彼の個性をジャズ~アンビエント色が強い演奏で味わうことができそう。出演時間帯がドス・オリエンタレスと重なることがなければ、あまりにも贅沢なカップリングを楽しむことができそうだ。
◆ ブラジルからはまさかの大物登場で祭りの予感…
そして、後に語り草となりそうな超ビッグ・ネームの招聘によって驚きのラインナップが実現することになったのが、21日に開催されるブラジルのナショナルデー。まず、メインアクトを務めるゼカ・パゴジーニョは、ブラジル国民ならば知らない人はいないであろうサンバ・パゴージ界の大スターであり、1986年のデビューから現在に至るまで数多くのヒット曲を放ちながらシーンの頂点に君臨し続けている。
パゴージは、簡単に説明するならサンバをよりカジュアルかつポップにしたような派生ジャンルだが、伝統的なサンバへの理解とリスペクトも深く、いなせな節回しと陽気なキャラクターで幅広く愛され続けてきたゼカの歌声は、ブラジル音楽の本質が明快に詰まったもの。日本において彼のライブが体感できるのは極めて貴重なことであり、ブラジル音楽ファンならばこのためだけにでも駆けつける価値がある。
さらに、この日にはジルベルト・ジルの息子であるベン・ジル、80年代ブラジル・ロックの雄として知られたチタンス在籍後にソロとなり、マリーザ・モンチとカルリーニョス・ブラウンと組んだトリバリスタスでも存在感を示した才人アルナルド・アントゥネスも出演するとあって、よくご存じの方もあまり詳しくない方も2度とないだろうこの機会をお逃しなく!
◆ 7月以降は、このアーティストに注目!
7月以降はまだまだ詳細が明らかになっていない国が多く、スタート時間などに関しても未定のものが多いが、現時点で判明しているところでは、チェコのジャズ・シーンの新世代ピアニストとして注目を高めているニコル・ボーコヴァーが7月11日から14日にチェコ・パビリオン内に設営されたホールでライブを行う予定であることが伝わってきている。

チェコといえば60年代からヤン・ハマーやミロスラフ・ヴィトウスといった世界的な名手も数多く輩出してきたジャズが盛んな国であり、端正な演奏力の高さと中欧らしい叙情性を兼ね備えたプレイヤーが多いのが特徴的。ニコル・ボーコヴァ―も現代ジャズ的なシャープさとクラシックの難曲も弾きこなす演奏スキル、流麗なメロディアスさを失わない即興で、チェコ・ジャズの新たな地平を切り開いている。
また、チェコ・パビリオンでは毎月コンスタントに様々な文化プログラムを開催しており、音楽もクラシック、ポップス、ジャズなどと多彩。6月下旬から7月初頭にかけて日本ツアーを行うバーラ・ズメコヴァー・トリオ×3日満月も万博パビリオンへの出演を予定しており、詳細や最新情報はチェコ・パビリオンの公式ウェブサイトや公式アプリでチェックを。
続いて、8月4日のブルキナファソのナショナルデーに上演されることが決定しているブルキナファソ・オペラプロジェクト「LA-BAS OU ICI...」は、日本人作曲家の藤家渓子が2019年から現地の人々や伝統音楽を継承する音楽家たちと時間をかけて作り上げてきたもので、いわゆる西洋クラシック的なオペラとは大きく異なったプロセス、楽器編成で制作された画期的な作品。国境を接するマリやニジェールと同様に、ブルキナファソでも連鎖的なクーデターによって軍事政権が発足して混迷が続く中で、このようなステージが行われることに大きく注目しておきたい。
さらに、現在のところどのような形でライブを行うのかの詳細はわかっていないが、サハラ砂漠一帯に国境を跨いで暮らすベルベル系遊牧民のトゥアレグ人によるレベル・ミュージックとして日本でも親しまれてきた「砂漠のブルース」界隈において高い人気を誇ってきたアルジェリア出身のカデール・タルハニン(Kader Tarhanine)も、万博に出演するために8月2日から5日の間に大阪へやってくることが本人からアナウンスされており、こちらも貴重なステージとなること間違いなし。かなりの酷暑となることが予想される時期ではあるが、西アフリカ~サハラ砂漠から夢洲に届く「風」を心待ちにしたい。
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