兵庫のお菓子「ぽんせん」守るため…24歳のアイデアが話題に

看板商品のしょうゆ味のぽんせん、岩津ねぎのぽんせん(提供)
「ぽんせん」という昔ながらのお菓子を続ける「マルサ製菓」(兵庫県朝来町)。2024年7月に機械が老朽化で生産をいったん中止。本来であれば、2025年2月に復活予定でしたが、未だに完成せず…。
製造再開ができず工場の赤字がどんどん膨らむなか、3代目を継いだ24歳の佐賀建斗さんの思いついたアイデアがSNSで好評に。詳しくお話を聞きました。
■「ぽんせん」は作れないけれども、その代わりに?
ぽんせんとは、小麦粉と醤油をベースに作る、昔ながらの素朴な焼き菓子。焼くときに「ぽんっ」と空気が抜ける音がするのでこの名が付いたのだとか。創業から60年、看板商品を作れない期間が延長されて、佐賀さん親子は途方にくれます。
「そんななか事業の多角化として、もともとグッズは作りたいと思っていたので…お菓子以外の販売ができないかなと考えました」

パッケージにもプリントされている、ぽんせんを焼いている「おっさん」をデザインに起用。こちらは、初代が大阪の画家さんに頼んで描いてもらったものだそうで、福々しい笑顔のおっさんは愛嬌満点です。ステッカー440円と、ポーチ2200円(送料別)が完成。
「東京でファンミーティングをやった時に、名刺代わりにステッカーを配ったところ好評に。ステッカーってスマホに貼ってもらったりできるので、身近に感じられる存在になったのかと思います」
5月15日から販売をスタートし、6月12日時点でステッカーは140枚、ポーチは100点完売。「おっさんの表情がかわいい!」「復活応援しています」と、購入した人々はSNSで投稿して告知をサポート。

「みなさん、『マルサ製菓』を応援してやろうと思ってくださって、購入してくださっているんだと思います」
ファンミーティングを行えるほど、密かにファンが続出している「ぽんせん」。しかし、ここまでの約4年間は、試練が次から次へと押し寄せるような日々でした。
■次々と困難が降りかかる日々
「ぽんせん」は昔ながらのお菓子ですが、時代とともに馴染みが薄くなり、佐賀建斗さんの父の佐賀正明さんが継いだ時点で家業は赤字経営となっていました。
そんななか、2019年に火事で機械の損失、新型コロナウイルス、母が病で倒れて、製造規模は1/3に。また材料費は高騰するばかり。なんとか60年続いた「マルサ製菓」を守りたいという思いから、大学生だった佐賀さんは休学して家業を手伝うことを決意。

建斗さんは、お菓子作りを父に学び、販路拡大のための営業活動をおこない、火事の修繕のためにクラウドファウンディングを実施。そうやって前向きに続けてきたなかで、2024年夏に、機械が原因不明の故障で生産が不可能になってしまったのです。

「社長(父)は生活費を稼ぐために、地元で働き、わたしは東京に出てアルバイトをしながら、再開の時のための販路拡大の営業やイベントなども行っていきました。とにかくこだわりの素材を使って丁寧な製法で作るぽんせんを忘れないように、商品はなくても少しでも多くの方に魅力を伝えたいという思いもありました」と建斗さん。
今回の新規の機械を導入する際に、休学を続ける大学生ながらも建斗さんは、取締役に着任。
「背負うものが増え責任の重さを感じています。着任して、人生をかけてぽんせん作りに向き合う覚悟ができました。来年4月までは休学できるのでその間にしっかりぽんせん作りを極め、工場が軌道に乗ったら、大学に復学して卒業したいとも考えています」
■SNSでの応援が心の支えに
今回のグッズ販売をする上でも、大きな役割をになってくれたのがSNS。約4年前からX(@marusaseika_pon、当時はTwitter)をはじめ、会社の大変な状況を包み隠さずSNSに投稿してきました。
「作っている企業も少なく、知名度の低いお菓子ですが、味に自信はあります。コメントが書き込まれる、フォロワーが増える、そういった目に見える応援が心の支えとなりました。イベントなどもそうですが、SNS発信も製造を再開したときのために続けていこうと思っています」と建斗さん。

そんな重要な位置を占めるSNSですが、インスタグラムが4月から乗っ取り被害にあってしまい現状は凍結もできぬまま。「ずっと復旧作業に向けて取り組んでおりましたが、回復できませんでした。フォローしてくださってる方は通報してフォロー解除をお願いします。フォローされていない方も通報だけして頂ければ助かります」と呼びかけます。

現状は、新しく導入した機械を調整するため、試し焼きをするものの焦げたり、ムラがあったり納得いく状態にはならず。まだまだぽんせんの製造再開に向けて、先は見えないとのことですが「1日も早く、生産体制を整えてぽんせんを復活させたいですね」と意気込みます。
そのために、現状の醤油をはじめ、岩津ねぎ入りやサラダ塩味など約7種類に加え、ソース味などぽんせんの新商品の開発も予定。「販路も関西から飛び出し、全国に拡大していきたい」と、再開に向けて準備を着々と進めています。グッズは販売サイト「BASE」の「マルサ製菓」にて販売中。
取材・文/いなだみほ
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