京都で1カ月超えの公演決定! 劇団四季の「赤毛のアン」が今秋に

舞台写真より(撮影:阿部章仁)
今春から新たなアニメ版が放映されるなど、再び脚光を浴びている児童文学の傑作『赤毛のアン』。この作品のミュージカル版が現在、「劇団四季」で全国ツアーとして上演中だ。そして10月4日〜11月24日には、「京都劇場」(京都市下京区)で公演がおこなわれることが決定した。
『赤毛のアン』は、想像力豊かな赤毛の少女・アンが老兄妹の元に引き取られ、さまざまな騒動を起こしながら成長する姿を描いた物語。四季が上演しているのは、1965年にカナダで発表され、1980年に日本で初演したバージョンだ。数々の名シーンが歌と踊りとともに再現され、小説をそのまま立体化したような舞台は、ミュージカルファンはもちろん、熱心な原作ファンからも高く評価されている。
アンを演じるキャストの一人・林香純は、11歳のときにこの舞台に出逢い「席から立ち上がれなくなるぐらい感動した」と語る。アン役が難しいのは「飛躍する台詞がたくさんあって、それをちゃんと実感を持って言えるようにすること」と言うだけあり、楽しげにおしゃべりをした次の瞬間には、床に突っ伏して絶望に暮れたりと、まるでゴム毬のように言葉と感情がポンポン跳ね回る。アンを追いかけているだけでも、この舞台は飽きることがない。

またアンだけでなく、彼女の周囲の人々の心の動きも、歌とダンスで表現。特にアンを引き取ったマシュー&マリラは、どちらも口数が多くない設定だけど、ミュージカル版では心の内にあるアンへの愛情が、歌となってあふれ出る。原作を知る人なら「ああ、あの人はあの場面で、そういう気持ちだったのかもしれない」と、補完されていくような気持ちとなるだろう。

近年発表されるミュージカルは、音楽もダンスもかなりテクニック重視になっている印象だけど、この作品は製作が1960年代というだけあり、全体的に素朴でノスタルジックな雰囲気。でもその空気感が、自然の美しい片田舎が舞台の『赤毛のアン』の世界観と非常にマッチしている。アンがこの町に溶け込むまでの第一幕から、さまざまな別れと決断が迫りくる第二幕まで、彼女の成長をほほえましく見守ることができる。
この作品が40年以上も愛される理由について「大きな事件も魔法もないけど、日常の幸せが描かれている。大変な時代を生きている私たちにとって、忘れてはいけないものがたくさん詰まっているし、いつの時代にも人々に響くものがあると思います」と語った林。生きる力に満ちあふれたアンに元気をもらうととともに、見過ごされがちな「日常の小さな幸せ」を、再発見する機会になるはずだ。

劇団四季『赤毛のアン』ツアー公演は、9月23日まで計68都市で上演。京都公演のチケットは、S席一般1万円・学生6500円、A席一般8500円・学生4500円、B席6500円、C席3500円(曜日や時間帯によって料金の変動あり)。チケットは7月5日発売開始。
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