悲しい怪物…鳥山検校と瀬以のすれ違いにSNS嘆き【べらぼう】

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第13回より。瀬以(小芝風花)を問い詰める鳥山検校(市原隼人)(C)NHK
横浜流星主演で、数多くの浮世絵や小説を世に送り出したメディア王・蔦屋重三郎の、波乱万丈の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。3月30日放送の第13回「お江戸揺るがす座頭金」では、盲人たちの金貸し「座頭金」をめぐる騒動に、重三郎と瀬以も巻き込まれることに。特に鳥山検校と瀬以の切ない関係に、SNSでは悲鳴と同情の声があがっていた。
■ 瀬以と重三郎の仲を疑う鳥山検校…第13回あらすじ
鱗形屋が再び偽板に手を出したため、若木屋与八(本宮泰風)らは再び重三郎の細見を求めることになった。鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)から「女だけ売ってりゃいい」と恨み言を言われた重三郎は、すべての人がツキまくる世の中にならないかと平賀源内(安田顕)に愚痴をこぼす。そこで源内は、人を笑わせたり泣かせたりできる本を売る本屋は、人にツキを与えられる商いだと励まし、重三郎自身、本が運んでくる幸せがあったことを思い出す。

一方、鳥山検校(市原隼人)に身請けされた、重三郎の幼馴染・瀬以(小芝風花)は、検校に吉原に戻りたがっていると言われ、自分は所詮客のままに過ぎないと責められるようになる。瀬以の持っている本が、すべて重三郎絡みの物だと気づいた検校は、瀬以に重三郎との仲を問いただす。瀬以は「重三はわっちにとって光でありんした」と認めつつ、その思いが検校を傷つけていることを詫び、信じられぬなら命を取るように乞うた・・・。
■ 鱗形屋失墜…恨まれる重三郎に源内先生の金言
「光が多いところは、影も強くなる」とはよく言ったもので、『名月余情』発刊や、平沢常富(尾美としのり)の吉原案内本『娼妃地理記』製作決定と良いこと尽くしだった前回から打って変わり、この第14回では鱗形屋の不祥事を通じて、重三郎が自分の仕事に疑いを持つターンに入ってしまった。自分が絶好調であればあるほど、そこで仕事が減って困る人が現れる。その象徴となったのが鱗形屋。いろいろ不運が重なって気の毒だとは思うが、自分たちの没落を重三郎のせいにするのは、SNSで賛否が分かれたのは確かだ。

「うちから盗んだ商いって・・・鱗の旦那も蔦重のアイデア使ってちゃっかり本出してたやん」「蔦重の扱い方というか、上手い活かし方ができなかった時点で、社長的な意味ではダメだったのかも」「蔦重が遊びでやってるわけではないけど、その道一本でやってる人には面白くないのもわかる」「鱗の旦那は惨めだし、今は嫌なヤツ全開だけど、今まで描いてきた出版大好きな仕事人という側面もあるから憎めない」などの声が並んでいた。
そこで「他所は他所、うちはうち」と割り切れる人ならば、鱗形屋の声など負け犬の遠吠えにしか聞こえなかっただろうけど、その痛みを自分のこととして考えられるのが重三郎という漢。鱗形屋失墜による「棚から粟餅」を素直に受け取れない重三郎に、ナイスアドバイスをくださったのが、我らが平賀源内先生! 楽しい本を作ることで、ついてない人々を、ひいては世間を明るくすることができる・・・という、現在の出版関係者にも励みとなる、嬉しい言葉を。

SNSには「世の因果に苦しむ蔦重へ発破をかける源内先生に我々視聴者も救われる」「本が運んでくれる幸せには俺も覚えがあります」「蔦重は本で幸せになったから、本で商売してるんだもんな」「現代でもこの言葉に救われるクリエイターはたくさんいるはず」「昨年(『光る君へ』)に引き続き、創作の素晴らしさを全力肯定する大河だな」「書店関係者が浮かばれる・・・ありがとう源内先生・・・」などの感謝の言葉がつづられていた。
■ 鳥山検校が「モラハラ夫」に、瀬以の本音は
そうして割と短時間で、笑いながら本を読めるほど回復した重三郎に対して、回を増すごとに関係性がギクシャクしていたのが、瀬以と鳥山検校の夫婦。瀬以がまだ花魁だった頃の、吉原でのスマートな紳士ぶりから打って変わり、いざ夫婦になってみると、どうもモラハラな言動が目につくように。ついには書庫に瀬以を閉じ込めるわ、私物を物色するわ(現在だったら絶対スマフォを無断でチェックするタイプ)、昔なじみの男を呼び出すわと、気持ちはわかるけどやってはいけないことのオンパレードだった。

これにはSNSも「おう・・・鳥山様が闇落ちしちゃった」「相変わらずめんどくせえニュータイプぶりを発揮する検校」「人の心なんて見えないほうが幸せなのだけど、鳥山検校は鋭すぎるお方なので心が見えてしまい、それ故に傷ついてしまうのすげえ悲しい怪物の物語で大好きだよ」「検校様のサイコパス味、狂気がじわじわ伝わる演技が抜群にうますぎる。市原隼人って超人すぎないか?」など、市原の演技の称賛込みで、その狂気に震え上がる声が。
とはいえ瀬以も、別に検校に対して失望しているわけではなく、どうすれば重三郎とは別の方向で、大切に思っていることを伝えられるのか思い悩んでいたと、検校に刀を突きつけられることでようやく口に出せた。そして生まれたときから叩き込まれた廓言葉でないと、本音が話せないのか・・・ということに、結局「吉原の花魁」というのが彼女のアイディンティティだったということに、切なさと悲しさを感じさせられた。

この2人の関係について、SNSでは「検校のことを本当にビジネス夫婦だと思っていたら、瀬以はもっと楽に生きられたかもしれないな。旦那様のこと、好きなんだよな」「瀬以が心を取り繕っていたように、検校も妻に哀れまれたくなくてこれまでずっと気を張ってきたんだろうね」「蔦重を相手に話す時の廓言葉はウソで、検校を相手にするときは廓言葉が真実。その複雑さを演じ切る小芝風花お見事!」などの言葉が送られた。
前回の大河『光る君へ』のとき、藤原道長を演じた柄本佑が「ソウルメイトのような男女関係って、周りからすると一番嫌なパターン」というようなことを語っていたが、「吉原を良い場所にする」という強い気持ちでつながっている重三郎と瀬以のソウルメイトな関係も、やはり検校には脅威だったのだろう。そこでお互いが本音をぶつけ合い、ここから歩み寄ろうとしたところで、幕府の御用改が入るとは・・・。

もしかしてこれは、検校の取り締まり関わっている長谷川平蔵(中村隼人)が、かつて「花の井」と名乗っていた頃の瀬以にカモにされた復讐なのか!? と考えてしまうほどのバッドタイミングだった。しかし次回のサブタイを考えると、検校が幕府からなんらかの罰を受けることで、蔦重と瀬以の距離が一気に近づくという予感がするが・・・そうは上手くイカの塩辛! というのが森下佳子のお約束だけに、震えながら待ちたい。
◇
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。4月6日放送の第14回「蔦重瀬川夫婦道中」では、幕府の取り締まりに遭った鳥山検校と瀬以のその後とともに、重三郎が市中に自分の店を持つことを計画するところが描かれる。
文/吉永美和子
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