もらい泣き必至、生の芸に触れた女郎たちの涙【べらぼう】

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第11回より。大門の外に花魁たちを連れ出し、午之助と門之助を宴席でもてなす蔦重(横浜流星)(C)NHK
横浜流星主演で、数多くの浮世絵や小説を世に送り出したメディア王・蔦屋重三郎の、波乱万丈の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。3月16日放送の第11回「富本、仁義の馬面」では、重三郎が女郎の錦絵から浄瑠璃の正本という、ジャンル違いの本に挑戦する姿が描かれ、そのなかで初めて生の芸に触れた女郎たちに、もらい泣きする人があふれた。
■ 吉原の祭りに人気役者を招くには…第11回あらすじ
錦絵本『青楼美人合姿鏡』は、通には喜ばれたものの、思ったほど売れなかった。次の手を考える重三郎に、大文字屋市兵衛(伊藤淳史)が吉原の小さな催し「俄(にわか)」を、外から人が来るほど大々的なものにしたいと提案。それに乗った重三郎は、大人気の浄瑠璃の太夫・富本午之助(寛一郎)を招くために直談判に行くが、午之助に「俺は吉原は好かねえんだ」と断られる。

しかしそれは、かつて午之助が役者・市川門之助(濱尾ノリタカ)とお忍びで吉原を訪れたとき、重三郎たちと敵対関係にある若木屋与八(本宮泰風)に叩き出されたためだった。重三郎は料理茶屋に2人を呼び出し、非礼を詫びて花魁たちにもてなしてもらう。お礼に午之助が富本節を語ったところ、芝居小屋に行けない花魁たちは涙を流して聞き入った。その姿に感動した午之助は「俄」に参加することを快諾するのだった。
■ 錦絵本の次の一手、浄瑠璃本の出版に奔走
愛する瀬川(小芝風花)落籍の記念に華々しく売り出した『青楼美人合姿鏡』。一読した鶴屋喜右衛門(風間俊介)が「これは売れません」と半笑いするところで終わった前回。第11回はその続きから始まったが、それは鶴屋がなにか横槍を入れるのではなく「こんなの、マニアしか買わないよ」という予言だった。確かによく知らないアイドルのオフショの豪華本って、ファン以外は手を出す人はいなさそうだし、実際に売れなかった。敵役ながらも、さすがの慧眼である。

これにはSNSも「鶴屋は『ニッチだし高額』と」「よほどのオタクじゃないと手元に置きたいとはならないってことか」「オタク向けに5冊買ったら握手イベができればなあ」などの残念がる声が上がったところで、これまで『ウォーリーを探せ』状態だった平沢常富(尾美としのり)がこの本をベタ褒めするために、重三郎と初の会話を! これにも「平沢さんが喋ったwww」「ついに台詞つきで登場!」「蔦重の『どこかで会いました?』ってセリフに爆笑」という盛り上がりを見せた。
というわけで『青楼美人合姿鏡』は重三郎の初めての失敗となってしまったが、そこで須原屋市兵衛(里見浩太朗)に励まされ、即座に吉原自体を売り込む本ではなく、吉原に来ないと買えないようなヒット本を作ることに方向転換。そこで目を付けたのが浄瑠璃の「正本(しょうほん)」だが、グラビア&ガイド本しか作ってない編集者が、突然ミュージカルの公演パンフ兼スコア本に挑むようなもの。しかもトップアーティストに出待ちして、直接交渉を持ちかけるのだから、これは鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)ならずともあきれるほどの大胆さだ。

しかし数々の困難を、情に訴えつつも双方良しな関係を築くことで乗り越えてきた重三郎。ここでも午之助や門之助が、かつて果たせなかった吉原での遊びを、大門の外に花魁たちを連れ出すことで実現し、逆に花魁たちには2人の芸を生で観る貴重な機会を与えるという、どちらにも楽しくて嬉しい時間を作った。特に芝居小屋に行くことができない女郎たちが、初めて観るプロの芸に涙する姿には、思わずもらい泣きをしてしまった。
SNSでも「本来であれば決して叶わぬ時間を過ごし落涙する女郎たち。夢のような時間だったのだろう」「生まれて初めて見る、トップスター達の憧れの浄瑠璃・・・花魁たち泣いちゃうよね、そりゃ」「女郎達の前で唄う太夫の唄に吉原の風景が重なる場面に思わず泣いてしまう」「全吉原が泣いた」「この日を絶対忘れないだろうなぁ」と、女郎たちに共感する声があふれた。
■ 手を尽くす蔦重に、人気役者・午之助も感服
そして自分たちの芸を泣くほど感激してもらえて、しかもこのレベルで喜んでくれる人が、吉原にはまだまだいる! なんて聞けば、アーティストにとってこれほどやり甲斐を感じる現場はないだろう。しかも女郎たちの一生に一度になるかもしれない宝物のような時間を、自分が与えることができるだなんて・・・これは重三郎からの出演依頼に、食い気味で「やろうじゃねえか!」と応えるはずだ。

SNSでも「カブリ気味で即答! 男前!」「おおう、この役者さん方、粋だねえ」「日々磨いてきた芸に心を動かされる者を間近に見れば、そりゃあ芸人は嬉しいだろうな」「こんなこと言われて心動かない人はなかなかいないだろう。やるなー蔦重」「演技ではなく女郎たちの本音だからこそ、富本たちの心に響いたんですね」「重三、接待として隙が無さすぎる」と、午之助の男気と重三郎の接待名手ぶりに感心するコメントが集まった。
さらに、自分が名跡を襲名するのをただ指をくわえて待っていた鱗形屋ではなく、鳥山検校(市原隼人)に掛け合うなど手を尽くしてくれた重三郎に、吉原でしか販売できないのを承知で「直伝」(公式な正本)の出版を決めたところにも「太夫、恩には恩で返す漢の中の漢だな」「『ならばあいつを助けてやりたいねぇ』だって! どこまでもステキ」「富本豊前太夫・・・あんたカッケェよ・・・」という、沼にハマったかのような声も続出した。

かをり(稲垣来泉)の話から察するに、おそらく女郎を口説くのに、流行の芝居の一節や唄を真似た客は多かったはず。今までカラオケでしか聞いたことがなかった曲を、実際のアーティストが歌う姿を見て「本物は全然違った!」と感動するような気持ちの、その数十倍もの感情が女郎たちには押し寄せたことだろう。
そして、この情景に説得力を持たせるために、寛一郎が語りを、濱尾が舞をどれだけ特訓したかを考えると、頭が下がる思いがする。次回の俄の場でも寛一郎の見せ場があるはずなので、心待ちにしたい。
◇
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。3月23日放送の第12回「俄(にわか)なる『明月余情』」では、俄の祭で吉原が2つに分かれて争う一方、重三郎が謎の戯作者「朋誠堂喜三二」との対面を果たすところが描かれる。
文/吉永美和子
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