初の「M-1決勝」で大注目、結成2年半の新星・ジョックロック

お笑いコンビ・ジョックロック(左から福本ユウショウ、ゆうじろー)
『M-1グランプリ2024』(12月22日開催)で、結成2年半の新星ながら、初の決勝進出を果たしたジョックロック(福本ユウショウ、ゆうじろー)。2024年は『NHK新人お笑い大賞』で準優勝に輝き、拠点である「よしもと漫才劇場」(大阪市中央区)でも頭角をあらわしてきているとはいえ、全国ではまだ知る人ぞ知るコンビ。今回のファイナリスト9組のなかで、もっともサプライズな存在ではないだろうか。
ただ、「発明」と言っても良い「2つ打ちツッコミ」は決勝の舞台を席巻する可能性大。今回はそんな2人に、決勝に向けての話を訊いた。(取材・文/田辺ユウキ)
■ 「ネタで行き詰まることはほとんどなくて」(福本)

──12月5日のファイナリスト発表では、名前が呼ばれた瞬間、ゆうじろーさんが福本さんに抱きつきましたね。
福本:僕たちのエントリーナンバーって6349だったんですけど、なぜか6346だと勘違いしていたんです。だから番号を呼ばれたとき「あ、違うか」と思っていたら、こいつ(ゆうじろー)がいきなり抱きついてきて・・・「なんや突然!」ってびっくりしましたね(笑)。そもそも緊張するから番号もあまり覚えないようにしていたんで、いろいろ喜ぶタイミングを逸してしまいました。
ゆうじろー:僕は「634・・・」と呼ばれたときに「俺らや!」と分かったんで。あと、福本さんに抱きついたのはあのときが初めてだったんですけど、なんだか兄であり、父でもあるような、すべてを包み込んでくれる感触でした。

──2023年も準々決勝まで進出されていましたし、2024年はさらに上へという意識も強かったのではないですか。
福本:「準決はいけるんちゃうか」と考えていましたが、まさか決勝まで来ることができるとは。ただ、今やっているネタは自分でもちゃんと「おもしろい」と感じています。なによりこのコンビでは、ネタで行き詰まることはほとんどないんです。今のシステムのネタをやる上ではこいつもかなり上手いですし。ただ、それ以外のところがまったくダメなんです・・・。
ゆうじろー:せっかく褒めてくれたのに。悪いことは言わんでいいじゃないですか!

福本:この前も、イベントで初めてご一緒する先輩コンビの方々が出番前に挨拶に来てくださって。こっちはもちろん存じているけど、丁寧に自己紹介していただいたとき、こいつ、ちゃんと聞き取れなくて「えっ、えっ?」とか聞き直したんです。そんなん、自己紹介に決まってるんやから話を合わせればええやないですか。それを「えっ、えっ?」って。そういうリアクションをよくミスるんです。
ゆうじろー:いやあ、いい加減な返事で濁したくないんですよ。それにやっぱり、年上だとか、年下だとか、そういう壁はなくしていかなきゃいけませんし。
福本:いや、やめてくれ!『M-1』決勝でも、ネタ終わりの平場が心配なんです。審査員の方や、司会の今田耕司さん、上戸彩さんへの受け答えが怖いです。点数が出たときとか、審査員さんのコメントで「えっ、えっ?」とかやりそうで・・・。点数が出ても「はぁ?」とか言ってしまうんですよ、こいつは。

──ただ、あのネタのシステムは決勝戦でもかなりハマりそうな気がします。そもそもゆうじろーさんとのかけ合いのなかで、福本さんは観客側を向いてツッコミを入れますよね。福本さんは、ゆうじろーさんに向けてあのツッコミをやるのは「コントすぎる」から、観客側を向くようになったとおっしゃっていました。
福本:お客さんへのあの語りかけって、メタフィクションなんです。漫才コンビってある意味、2人落語みたいなもの。2人で役を入れ替えるなどコント的なお芝居をやったりして、物語を伝えていく。ただ、僕がお客さんの方を向くことで現実との繋がりが生まれるようにしているんです。

──つまり、映画の手法で言うところの「第四の壁を壊す」ですね。突然、物語の登場人物が映画鑑賞者に語りかけるという。
福本:そうですね。舞台上でなにかを演じる僕らと漫才ってフィクションの一方で、お客さんはリアルなもの。その間には見えない壁があるんですが、僕のあのツッコミでそれを壊すというか。もともとこいつに向けてツッコミをやっていたけど、お客さんの方を向くようになったらウケるようになって。で、こいつはツッコミの間も演技を続けて、その物語の世界に存在しているという。
──ゆうじろーさんは「舞台装置」として演じていくと。
福本:彼がふってきたことを僕がやる。僕が言い出したら嘘っぽくなるんですけど、ネタ中は彼が神の視点ではあるんで。
ゆうじろー:・・・神っすか。僕が神?
福本:神でよろこぶな!そんなえぇ意味で言ってないわ(笑)。
ゆうじろー:でも僕は演技にはもともと興味があって。NSC生のときも演技選抜に入れたくらいなんです。稽古初日に遅刻して授業には参加できなくなりましたけど(笑)。ただ、いつもスッと役になりきれるし、漫才中に役柄や台詞が変わるときもスムーズに切り替えられる。昔からモノマネが好きで、動画投稿でもその辺にいる人のモノマネをしているのが力になっている気がします。

■ 「若い人にもツッコミが伝わるかどうか」(ゆうじろー)
──福本さんのツッコミってナレーション的でもあって。たとえばアニメ『ちびまる子ちゃん』って、ナレーションのキートン山田さんが登場人物にツッコミをいれますよね。あれに近い気がします。
福本:その話でいくと、徳弘正也先生の漫画『ジャングルの王者ターちゃん』が近いかもしれないです。シリアスな展開でいきなりギャグを入れてきてツッコんで、敵もボケて、そのあと何事もなかったように次の話に移行する。そこに、僕らのネタではツッコミを1つじゃなくて2つ打つ。手数を増やす意味もあるんですけど、なによりあれだけデカくツッコミを入れるんやったら、1つだけでは割に合わんなと。
ゆうじろー:福本さんのあのツッコミが、おもしろいか、おもしろくないかは僕が決めているんです。福本さんからツッコミのワードがLINEで送られてきて、パッと見たときにイメージが湧かなかったりしたら「これはちょっと難しいっすね」とか、素直に意見するようにしています。

福本:ツッコミの判断に関してはこいつに委ねています。自分はちょっと考えすぎたことを言っちゃうんで、伝わらへん場合もある。その点、こいつの目はお客さんに近いと思っているんです。
ゆうじろー:あと僕の方が10歳下ということもありますね(福本は1987年生まれ、ゆうじろーは1998年生まれ)。今の若い人に福本さんのツッコミが伝わるかどうかを考えています。自分たちのYouTubeチャンネルのサムネとか動画編集も僕が担当しているんですど、それも自分の世代に受け入れられやすいシンプルな感覚のものを作ろうって。

──『M-1』決勝後はお仕事も増えそうですね。
福本:なんとか結果を残して仕事を増やして、金銭的な余裕を作ってなんも考えず消費したい。芸人になって12年、自分のための買い物をしていないんです。大学生のときはバイト代で好きな漫画とか買えたんですけど、今は給料が入ってもすぐに家賃、税金でなくなって・・・今は給料日に一つも楽しみがないんです(笑)。生活苦で、2000冊以上あった漫画を全部売っちゃったんですよ。もし優勝することができたら、あの子たちを買い戻します。消費者として経済をまわします!
ゆうじろー:僕は、いろんな仕事ができて楽しそうだからお笑いの世界に入りました。映画、ドラマに出たり、声優をやったりしたくて・・・。特に出たいのが、サッカー番組。ずっとサッカーをやっていて、同級生にもプロサッカー選手がいるんです。だから『M-1』で注目してもらって、W杯のスペシャルサポーターに選ばれたいです!
◇
ジョックロックが出場する『M-1グランプリ2024』決勝の模様は12月22日・夕方6時半より、ABCテレビ・テレビ朝日系列24局で放送される。
また2人の所属する「よしもと漫才劇場」は10周年を迎え、12月31日の大晦日には10時間に及ぶイベントを実施。今年は 「年越しカウントダウン」も5年ぶりに開催される(オンラインチケット発売中)。
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