カムカム再放送、今こそ響く「ひなたの道」というメッセージ

『カムカムエヴリバディ』より、安子(上白石萌音)(C)NHK
三世代のヒロインの人生を通じて100年の物語を描いた連続テレビ小説第105作『カムカムエヴリバディ』(2021年後期/NHK総合)が、11月18日より再放送される(毎週月〜金曜・昼12時30分〜)。初回放送開始から3年、いまだに朝ドラファンの間で熱量高く語り継がれる『カムカム』の制作統括をつとめた堀之内礼二郎さんがインタビューに応じ、本作への思いを語ってくれた(取材・文/佐野華英)。
→【後編】ジョーやるい、ひなたは「おむすび」見てる? カムカム再放送で最後の伏線回収
■「2025年春に最終回」という再放送のタイミングが重要だった
──今回、このタイミングでの再放送というのには何か特別な理由があるのでしょうか。
2025年は、安子(網本唯舞葵/上白石萌音/森山良子)が生まれた日でありラジオ放送が始まった日という、物語の始まりからちょうど100年という年でもあります。「ラジオ放送100年」というこのタイミングでもう一度『カムカム』を放送することで、私たちが放送をずっとやってきたことの意味も伝えられるし、有意義なことなのではないかと思いました。
さらに、ひなた(川栄李奈)とビリー(城田優)が条映撮影所を並んで歩いていく最終回のラストシーンが、「2025年の春」という設定でした。このたびの再放送で最終回が流れるのが、ちょうど2025年春。その瞬間をぜひみなさんと一緒に迎えたいということで、再放送のタイミングについては明確に意識していました。実は、本放送が終わって間もないころからダメ元で放送番組を決める編成の担当者にお願いし続けていたんです。「放送100年」という理由もあり、それが運よく叶いました。

■『カムカム』の登場人物は、今も心の中でずっと生きている
──SNSでは、現在放送中の朝ドラ『おむすび』について、野球部員で主人公・結(橋本環奈)に想いを寄せる幼なじみの陽太(菅生新樹)や、「甲子園に行ったら米田結に告白する」と宣言した翔也(佐野勇斗)に、『カムカム』の勇(村上虹郎/目黒祐樹)の姿を重ねる感想が多くありました(註:安子の幼なじみ・勇は「甲子園に出場できたら安子に告白する」と決めたものの、成就しなかった)。SNSには「勇ちゃんの二の舞になってしまう」とか「勇先輩に怒られるぞ」といった投稿が散見されました。『カムカム』のキャラクターがいつまでも朝ドラファンの間で語り継がれていることについては、いかがですか。
私も『おむすび』の陽太や翔也を見ていて、「勇に叱られたほうがいい」「今すぐ動いたほうがいい」と思っていました(笑)。こんなふうに『カムカム』の登場人物や言葉が、ずっと愛されていることが本当にうれしく、ありがたい思いです。
『おむすび』だけでなく、『カムカム』の本放送のときも、過去の朝ドラのことを例に出した感想はいくつもありましたし、本編の物語のなかでも過去の朝ドラの放送が描かれました。先の作品を「受け継いでいく」というのが朝ドラの良さなのかなと思っています。「毎日毎日、ちゃんとドラマを届けていく」というのが朝ドラの大きな役割であり、意義だと思いますし、『カムカム』もその大きな流れの一部なのだと思います。

今回、再放送にあたって脚本家の藤本有紀さんにコメントをいただいたのですが、「安子、るい、ひなたはもちろんのこと、すべての登場人物はいまも私のなかに生きています」とおっしゃっていただいて、本当にうれしい気持ちになりました。
「2024年の描写はドラマのなかにはありませんが実はとても特別な年です。いま誰がどこで何をしているか、私にはわかります」ともおっしゃっていて、その物語が見たいと、ワクワクしました。こうして藤本さんのなかにも、私のなかにも『カムカム』の登場人物はずっと生き続けています。視聴者のみなさんの心のなかにも、『カムカム』をずっと住まわせてくださっているなら、制作者としてこんなにうれしいことはありません。
■「生き続けていけば、つながっていくよね」ということを信じられる物語
──本放送開始から3年が経って、『カムカム』の物語が「育っていく」「熟成していく」というような感覚はあるのでしょうか。
本放送が終わった後も、私はトークショーに出演させていただいたり、「再会コンサート@岡山」などのイベントを企画したり、そのたびにカムカムの世界と触れ合っていました。制作チームのなかでは「堀之内はいつまで『カムカム』をやってるんだ」と言われる有様で(笑)。2022年4月放送の最終回から今日までの間、自分のなかでまさに物語が育って、熟成していく感覚があり、大きな支えにもなっています。
ドラマのなかにたびたび登場した「ひなたの道を歩けば、きっと人生は輝くよ」と「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備えよ」という言葉は、自分の机の前に貼っています。くじけそうになった時にそれを見ると「がんばろう」という気持ちにさせてもらえるんです。安子にとっての平川さん(さだまさし)のラジオ英語講座のようなものかもしれません。

制作している間はコロナ禍だったので、私たちは「最終回のころにはコロナ禍が明けていますように」と願いながらドラマを作っていました。ただ、放送が終わった後も、コロナだけでなく、戦争や地震など、悲しい出来事がたくさんありました。
『カムカム』という物語にこめた「明るい、平和な未来になっていますように」という願いは、100%は叶っていないかもしれませんが、それでもちゃんと世のなかは続いていて、生きていて、辛いことはあっても、笑える瞬間もある。そういうものが、つながっていく。
『カムカム』は、「生きて、しんどいこともあるけど生き続けていけば、つながっていくよね」ということを信じられる物語なのだと思います。この秋から再放送をお届けすることで、もう一度「100年の歩み」を1日15分、テレビの前のみなさんにも一歩ずつ一緒に歩いていただくことで、多くの方に希望を感じていただけたらうれしいですし、きっとそれが素敵な未来につがるのではないかな、と思っています。

◇
『カムカムエヴリバディ』の再放送は11月18日より毎週月〜金曜・昼12時30分から。本編に加え、11月13日〜15日に3日連続で放送された関連特番『0からわかる!カムカムエヴリバディ』『カムカムエヴリバディ あなたが選ぶ思い出のワンシーンTOP10 前編/後編』も、放送後1週間NHK+で視聴することができる。
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