朝ドラ覚悟の震災描写、おむすび配った女性は被災した語り部

『おむすび』第21回より、結ら被災者たちに塩むすびを配る女性 (C)NHK
今週の連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合ほか)第5週「あの日のこと」では、主人公の結(橋本環奈/少女時代:磯村アメリ)と米田家が被災した阪神・淡路大震災が描かれる。本日放送された第21回では平成7(1995)年1月17日、当時6歳だった結と、14歳だった結の姉・歩(仲里依紗/少女時代:高松咲希)の記憶がよみがえった。
地震発生後、米田一家は近所の小学校に避難する。歩は、親友の真紀(大島美優)の行方がわからず心配でたまらない。夜になり、結たちがろうそくの灯りのなか身を寄せあって寒さをしのいでいると、今日1日飲まず食わずだった被災者たちに、有志が作った塩むすびが配られた。このドラマの「核」ともいえる重要なシーンだ。今週描かれる震災について、第5週の演出を担当した松木健祐さんに聞いた。
■ 震災描写で大切にしたのは「時間」の表現
『おむすび』の制作陣は、阪神・淡路大震災を経験した多くの方に取材したという。松木さんが震災を描くうえでいちばん大切にしたことは「100人いれば100通りの感じ方があるということと、『時間』の表現です」と語り、こう続ける。
「大勢の被災者の方に取材して思ったのは、被災して次の日にはもう前向きになった人もいれば、1週間かかった人もいて、立ち直るまでに1カ月、1年、あるいはもっと時間がかかった人もいるということです。時間を重ねるにつれて、震災との向き合い方がみなさんそれぞれに変化していく。そして、変化して悪くなることさえある。地震発生から2時間後、3時間後、半日後でも、それぞれ状況が異なります。決して一括りにはできないんですね」。

第4週までの物語で、震災を経た米田家の結、歩、聖人(北村有起哉)、愛子(麻生久美子)、それぞれに違う思い、違う痛みを抱えてきたことが丁寧に描かれてきた。
これについて松木さんは、「同じ震災を体験したとしても、家族でさえ、同じように悲しみを共有することはできない。そのことを、米田家に体現してもらいました。米田家がこれまで歩んできた9年という時間の流れをどうやって想像させるかということに重きを置いて、脚本家の根本ノンジさんを中心に、話し合いを重ねました」と作劇の意図を明かした。
■「いのちのおむすび」を配った女性を演じたのは、神戸生まれ神戸育ちの俳優
第21回で小学校の教室に避難した被災者たちに塩むすびを配る女性に、結が「おばちゃん、なんで泣いてんの?」とたずね、こう答えるシーンがあった。
「おばちゃんな、生まれも育ちも神戸やねん。大好きな神戸の街が、あんなんなってるの見たら・・・」
この三浦雅美役を演じたのは、神戸生まれ神戸育ちで、実際に被災した俳優の安藤千代子。彼女は、神戸で震災の語り部の活動をしている。

松木さんは「安藤さんは、ご自身が大変な経験をされながら、震災をきっかけに『いつまたこのような日が来るかわからないから、やりたいこと、やれることをやろう』というマインドで舞台俳優や声優としての活動を始められ、今も続けていらっしゃいます。その前向きさと、素敵なお人柄にとても魅力を感じました」とコメント。
そして「脚本が出来あがってきて、雅美役を誰にしようかという話になって、ぜひ安藤さんにお願いしたいと思いました。安藤さんに脚本を読んでいただいたとき、『当時のことを思い出して、泣けてきます』とおっしゃっていました。私は、『今のその気持ちを大切にして、演じてください』とお話ししました」と振りかえった。
封印していた記憶が蘇ったあと、結、歩、聖人、愛子は、過去の震災とどう向き合っていくのだろうか。物語の先を見届けたい。
取材・文/佐野華英
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